Dandy-Walker 症候群

概念:

第4脳室と連続した後頭蓋窩正中の嚢胞と小脳虫部の完全あるいは部分欠損を認める先天的病変です。小脳テント、静脈洞交会や横静脈洞の挙上を伴います。

発生頻度:

出生25,000~35,000に1例程度で、欧米に比べ本邦では稀です。ほとんどが孤発例(遺伝性ではなく)で、胎生第21週以前に胎内診断された患児では、約半数に染色体異常を認めます。

発生原因:

諸説ありますが、胎生期菱脳蓋板の前膜様部の異常説が現在有力です。すなわち、吻側菱脳蓋板の退化が生じないため、同部位が後方へ突出して第4脳室が嚢胞状に拡大し、小脳虫部の形成不全をきたすとされます。病因としては、母親の糖尿病、飲酒、ワーファリンの内服、胎児期のサイトメガロウイルス、風疹感染などの催奇因子の報告があります。先天性症候群との合併や染色体異常の報告もみられ、原因遺伝子を検索する研究が進んでいます。ZIC1, ZIC4の遺伝子の欠損などが報告されています。

症状:

水頭症による症状と全身合併症による症状を呈します。頭痛、嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状、頭囲拡大が多く、半数に精神運動発達の遅れを認めます。失調や眼振などの小脳症状は少なく、水頭症の合併は約90%で、出生時には15%、生後3ヶ月までに75%が明らかになります。

画像診断:

頭部MRIでは第4脳室と交通する後頭蓋窩正中の巨大嚢胞、回旋挙上し小脳テントに接する小さな小脳虫部、小脳下虫部の欠損、中脳水道、第3脳室と側脳室の拡大、小脳テントと横静脈洞の上方偏位、拡大した後頭蓋窩を認めます。胎生24〜28週までに超音波検査にて出生前診断が可能です。後頭蓋窩くも膜嚢胞、巨大大槽、Blake’s pouch cystなどと鑑別する必要があります。(図1)


図1:Dandy Walker症候群

合併奇形:

中枢神経系の合併奇形では脳梁欠損が最も多く、予後不良を示す指標の一つであるとされます。その他、後頭部脳瘤、多脳回や異所性灰白質、小脳の脳回異常などがみられ、全身合併症は四肢、心血管系、泌尿器系、皮膚など多臓器にわたって認められます。

治療:

脳室腹腔シャント術、嚢胞腹腔シャント術、あるいはその両者の併用が勧められます。最近では内視鏡的第3脳室底開窓術による治療の有効例も報告されています。

予後:

合併する中枢神経系・全身性の先天的病変に左右されてしまいます。死亡原因はシャント機能不全、心不全や呼吸器疾患が多くを占めます。全身合併症や染色体異常の検索が、予後の評価に重要です。

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