脊髄動静脈奇形

脊髄動静脈奇形とは

正常血管は、動脈から毛細血管、さらに静脈へと構造が変化します。しかし、正常な血管構造がなく、動脈から静脈へと直接に血流が移行する(動脈と静脈が直接吻合している部分をシャント部(短絡部)と呼ぶ)奇形疾患が存在します。脊髄血管に発生する場合を、特に脊髄動静脈奇形と呼びます。脊髄動脈から脊髄静脈へと血流が直接に移行するため、脊髄静脈に過剰な負担がかかります。このような状況になると、脊髄がうっ血状態になり、正常な脊髄への血流が維持出来ず(脊髄血行障害)、四肢の運動感覚障害が徐々に進行します。あるいは、その過剰な血流負担から動脈瘤あるいは静脈瘤を合併し出血を来すことがあり、突然に痛みあるいは四肢の運動感覚障害が出現します。
脊髄動静脈奇形は大きく4つのタイプに分類されます。それぞれに症状、治療方針および予後が若干異なります。
 @ 脊髄内部に血管奇形が存在(髄内型)
 A 脊髄周囲あるいは辺縁に血管奇形が存在(脊髄辺縁型)
 B 脊髄を包む硬膜の周囲に血管奇形が存在(硬膜型)
 C 脊髄を包む硬膜の外あるいは脊椎骨周辺に血管奇形が存在(硬膜外型あるいは脊椎型)

脊髄動静脈奇形の診断

初期診断にはMRIが重要です。しかし、シャント部など細かい血管の評価はMRIでは困難であり、造影CT検査、さらには脊髄血管撮影(カテーテル検査)が必要です。

脊髄動静脈奇形の治療

治療は、シャント部を閉塞し、動脈から静脈に直接血液が流れ込む状態を止めることです。方法としては、血管内塞栓術と直達手術があります。これらの使い分けは、病変のタイプや関与している血管などにより変わり、二つの方法を併用して行うこともあります。髄内型は完治が非常に困難で、血管内塞栓術や外科手術などにより病変の一部を治療するにとどまっています。最近では放射線治療など新たな方法も行われてきています。


脊髄動静脈奇形 術前と胸椎後方到達法による直達手術後

血管内塞栓術

太ももの付け根から細い管(カテーテル)を入れ、血管の中からシャント部を治療していきます。これは局所麻酔でも行うことができます。

外科手術

手術でシャント部まで到達し、これを直接確認して切断します(直達手術)。これは全身麻酔が必要となります。

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