全70頁、京都・龍谷大学発行、1997年7月30日
貴重書解題序
龍谷大学では、平成六年三月、大宮図書館古典籍等保存調査委員会内規が制定され、四月から施行されました。この委員会の下に、ワーキンググループとして古典籍調査専門委員会が結成され、爾来、二年有余にわたって、本願寺第二一世宗主明如上人によって、龍谷大学に寄贈されました歴代宗主の蔵書である写字台文庫を中心に、調査が進められ、このたび、その成果は龍谷大学大宮図書館和漢古典籍分類目録・自然科学之部として、公刊される運びとなりました。
その自然科学分野(医学、薬学、本草学、天文学、暦学、数学等)の調査の過程において、約三七点の貴重書が発見されました。医学書を例にとれば、江戸初期に京都で出版された医学書、写本や講義録はいうに及ばず、内閣文庫にも、中国大陸にもまた、台湾の故宮博物院にもないような、明代前・中期の医学書も続々と発見されました。そこでワーキンググループの諸先生にお願いしてこれらの貴重書の解題目録を作成して、これを公刊することとなりました。龍谷大学大宮図書館和漢古典籍分類目録・自然科学之部とご併用していただけたら有り難いと思います。最後になりましたが、多忙な中、貴重な研究時間をお割きいただきました古典籍調査専門委員会の諸先生に対して、厚く御礼を申し上げますとともに、特に本書の執筆の労をとっていただいた真柳誠先生、およびそれを支えて下さった大宮図書館の職員諸氏の労に対して感謝申し上げます。