三叉神経痛

三叉神経痛とは

三叉神経痛とは顔に痛みのでる病気です。顔面の感覚を脳に伝える神経が三叉神経ですが、この三叉神経を通して、顔を痛く感じるのが三叉神経痛です。様々な原因が考えられますが、多くは三叉神経が脳(脳幹)に入るところなどで、血管によって圧迫されることにより起こります。

症状

三叉神経痛の顔の痛みは非常に強く、突発的な電気が走るような痛みが数秒から数十秒あります。洗顔、食事などの動作で誘発されます。時期によって痛みが変動するのも特徴です。三叉神経には左右それぞれに三つの枝があって最初の枝が額、2番目の枝が頬、3番目の枝が下あごに分布しています。この枝の範囲にあわせて痛みがおこるのが特徴です。

診断

三叉神経痛の診断には、痛みの症状や病気の経過の詳しい聞き取りがもっとも大切です。しかし痛みが典型的でない場合や、患者さんの症状の訴えがあまりはっきりしない場合は、診断は必ずしも容易ではありません。三叉神経痛の数％は、脳腫瘍が原因で起こります。そのため、MRIは診断に必須ですが、さらに神経が血管に圧迫されている様子が直接確認できることもあります。
区別しなくてはいけない病気として、帯状疱疹後三叉神経痛（顔面のヘルペス後の痛み）、副鼻腔炎（蓄膿症）、特殊な脳梗塞、抜歯後の疼痛、群発頭痛、舌咽神経痛などが挙げられます。

治療

a）薬物治療

通常はまず薬を飲んで効果を観察します。カルバマゼピンというお薬で、8割以上の人で一時的には痛みが消失あるいは改善します。他にはプレガバリンも用いられます。

b) 手術療法

手術療法は神経減圧術（微小血管減圧術）と呼ばれます。痛みと同じ側の耳のうしろに5～10 cmの皮膚切開を行い、頭蓋骨に穴をあけ、硬膜という膜を切開し、小脳と骨との隙間から、脳幹部に三叉神経が入る部分を観察し、ここで神経を圧迫している血管を移動させます。
5～6年程度の経過では、7割から9割の患者さんで痛みが改善／消失したという成績が報告されています。

c) その他の治療

定位放射線治療は特殊な装置で頭を固定し三叉神経にピンポイントで放射線を照射します。ガンマナイフはその一つです。定位放射線治療は、6～8割の患者さんに有効であると言われています。神経ブロックは、三叉神経に直接針を刺して薬の注射や熱凝固で痛みをとる方法です。これらの治療は高齢者や全身麻酔の手術にリスクがある方に行われることが多いです。

三叉神経痛