脳動静脈奇形
脳動静脈奇形とは
本来、動脈は組織(脳など)へ栄養や酸素を送り、その組織から出た老廃物は静脈を通って心臓へ戻ります。動脈の流れは速いですが、動脈と静脈の間には毛細血管があるので普通は静脈の血液はゆっくり流れます。動静脈奇形とは拡異常血管の塊(ナイダス)を通じて動脈と静脈が直接つながり血液が勢いよく静脈へ流れ込んでいる病気で、脳にできるものが脳動静脈奇形です。この病気は出生前に脳の血管が作られる過程で発生する生まれつきの病気(先天性疾患)とされています。
脳動静脈奇形の症状と診断
多くは無症状で経過しますが、年1〜2%の確率で脳出血やくも膜下出血をきたすとされています。また、頭痛やてんかん発作をきたす場合もあります。男性、20〜30代の若年者に多く、概ね50歳代までに発症すると言われています。また、脳ドックなどで偶然に発見されることも少なくありません。
脳動静脈奇形の治療
無症状の場合や一度も出血を起こしたことがない場合、基本的に血圧管理などの内科治療が基本となります。出血を起こしたことのある脳動静脈奇形では、より積極的な治療を検討します。治療法は、開頭術、脳血管内治療、放射線治療があります。どの治療法も一長一短があり、一つの治療法だけでなく複数の治療法を組み合わせることも多いためその選択は慎重に行う必要があります。症状があるのか、あるならどのような症状か、出血したことがあるのか、大きさや脳のどの部位にあるのかなど様々な条件を考慮に入れ、患者さんごとに治療方針を検討する必要があります。脳神経外科専門医としっかり相談しながらすすめてください。