顔面けいれん

症状

手術の適応となる顔面けいれんは、片側顔面けいれんといいます。顔の半分が自分の意思とは関係なくピクピクとけいれんするもので、ふつうは目の周囲から始まりだんだん口元へと広がります。頻度は、最初は緊張したときなど時々おこるだけですが、徐々にけいれんしている時間が長くなっていきます。ひどくなるとずっと顔半分が引きつった状態になり、目が開けられなくなることもあります。
顔面神経が脳幹からでてくるところに血管が接触し、神経の付け根を圧迫することが原因で起こります。
病気自体は生命にかかわるものではありませんが、対人関係が億劫になったり、不快な気分になったりするということがあります。また、けいれんがひどいと片目が開けられなくなり日常に支障をきたすことがあります。

診断

顔面けいれんの症状が出やすい状態というのがあり、たとえば眼を強く閉じて開くと、まぶたの下にけいれんが誘発されます。口元を引き延ばすような顔をすると、まぶたにけいれんが出るのも、この病気の特徴です。手術治療を考える場合は、神経の付け根への圧迫がどの血管がどのように圧迫しているかをMRIで観察します。よく似た病気には、無意識にまばたきが多くなる眼瞼けいれんや顔面神経麻痺後のけいれんがあります。

治療

a)ボツリヌス毒素治療

ボツリヌス毒素を顔の筋肉に注射をすると、顔の筋肉の動きが少し弱くなり、けいれんがおこりにくくなります。毒素といっても安全なお薬で、細い針で目元や頬、口元にごく少量を注射します。根本的な治療ではありませんが、症状が緩和されます。一回注射をすれば3〜4ヶ月間効果が持続しますが、繰り返し投与が必要となります。投与量が多いと顔の動きが悪くなりますが、これも3〜4か月すると元に戻ります。

b) 手術療法

手術療法は神経減圧術(微小血管減圧術)と呼ばれます。けいれんしている側の耳のうしろに5〜10 cm の皮膚切開を行い、頭蓋骨に穴をあけ、硬膜という膜を切開し、小脳と骨との隙間から、顔面神経が脳から出てくる部分を観察します。ここで圧迫している血管を見つけて移動させます。有効率は90%前後と報告されています。
手術の合併症として、同じ側の聴力低下が挙げられます。このほか顔面神経の麻痺や、のどを動かす神経の麻痺等がおこり、飲み込みが悪くなったり声がかすれたりする可能性が僅かにあります。その他には髄液漏(脳脊髄液が傷から漏れ出る)、感染、稀に重篤な合併症が報告されています。

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