頭蓋骨骨折
頭蓋骨骨折の分類・診断・治療
頭蓋骨骨折は頭蓋内外の交通の有無や骨折の形状により分類され、前者は脳表面を覆う硬膜損傷の有無により、開放性骨折あるいは閉鎖性骨折に分けられ、後者は線状骨折あるいは陥没骨折に分けられます。
頻度としては閉鎖性頭蓋骨線状骨折が多く、骨折自体が手術適応になることはほとんどありませんが、頭部への強い外力作用が推認される病態であるため注意が必要です。また、頭蓋内出血を合併した場合には緊急で開頭血腫除去術を行うこともあります。
一方、開放性頭蓋骨陥没骨折では創部の細菌などが頭蓋内に及ぶ可能性があり頭蓋内感染のリスクの危険が生じます。このような場合には受傷後早期の手術が必要となります。その他、閉鎖性頭蓋骨陥没骨折では陥没の程度が強い場合や審美的に容認し難い頭蓋骨変形がある場合などでは手術適応となることがあります。
その他の分類としては、骨折部位による分類があります。円蓋部骨折と頭蓋底骨折に分けられ、頭蓋底骨折では鼻腔や外耳道から血性髄液の流出、眼窩周囲や耳介後部の皮下出血が特徴的で、これらの身体所見は診断の一助となることもあります。さらに嗅覚障害、視力障害、顔面神経麻痺や聴力障害を認めることもありますので注意を要します。
診断には頭蓋単純撮影、頭部CT骨条件画像が有用です。3D-CTによる再構成像も骨折部位や形状の理解に有用です。