硬膜動静脈瘻

硬膜動静脈瘻とは

本来、動脈と静脈は毛細血管でつながっていますが、脳を覆う硬い膜(硬膜、こうまく)の中で動脈と静脈が直接つながってしまった病気です(シャント疾患)。海綿静脈洞部や横・S状静脈洞部に好発します。60〜70歳代の方に比較的多く、頭部の打撲などが原因となる場合もありますが、多くの場合、原因ははっきりしません。

硬膜動静脈瘻の症状

症状は発症した部位にもよりますが、代表的なものは、目の充血、物が二重に見える、眼球が少し飛び出す、耳鳴り(脈拍にあわせたザーザーという音)などです。硬膜動静脈瘻では、脳梗塞や脳出血といった重篤な脳卒中を引き起こすこともあります。

硬膜動静脈瘻の治療

治療の目的は上記の症状を治し治療すること、あるいは将来起こりうる脳卒中を予防することです。主な治療法は脳血管内治療で、カテーテルを異常な血管のつながりの部分まで入れて、動脈と静脈がつながっている部分を金属コイルで閉塞させる場合や、動脈から液体状の塞栓物質を異常な血管に流し込んで閉塞させる場合があります。また、部位によっては開頭手術や放射線治療を行う場合もあります。

この病気は、まず眼科や耳鼻咽喉科に受診することも多いですが、十分に診断できない場合もあります。原因不明の充血や耳鳴りと診断された時は、脳神経外科専門医の受診をお勧めします。


図:脳硬膜動静脈瘻による目の充血
(画像にカーソルを合わせると、カラーに変わります)


図:脳血管撮影検査(右総頚動脈写)
硬膜動静脈瘻により眼静脈(矢印)に逆流している。

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