脊髄空洞症

脊髄空洞症とは

脊髄の中に水が溜まり、脊髄の内部に空洞が形成される病気です。この病気の多くは、後頭部の奥にある小脳が生まれつき脊髄の方へ下に落ち込んでいる(キアリ奇形といいます)ことが原因で起こります。他には脊髄損傷や、脳脊髄くも膜の癒着を起こすような病気でも起こることがわかっています。脳と脊髄を循環している脳脊髄液の流れが滞ることにより、脊髄内部に大きな空洞ができると考えられています。脊髄は脳の命令を全身に伝える神経線維の束ですから、この部分に空洞ができると感覚障害や運動麻痺が現れてきます。

脊髄空洞症の外科治療

手術法は空洞が発生している原因に合わせて選択しますが、手術の目標は空洞を縮小させることです。手術方法としては、主に次の2種類があります。

大後頭孔減圧術

頭蓋から脊柱管に移行する部分を拡げることによって、脳脊髄液の流れを良くするものです。本来頭蓋内に収まっているはずの小脳の一部が脊柱管内に下垂しているキアリ奇形の場合では、脳脊髄液の交通が良く改善されるため、治療効果が期待できます。


キアリ奇形による脊髄空洞症(左) 大後頭孔減圧術後(右)

脊髄空洞シャント術

脊髄空洞内に直接細いチューブ(カテーテル)を挿入し、空洞内にたまった脳脊髄液を他の場所に流すようにする手術です。空洞−くも膜下腔シャント(SSシャント)あるいは空洞―腹腔シャント(SPシャント)などの手技があります。これらの手術は、比較的簡便で有効ですが、人工チューブを用いるため,チューブがつまったり・抜け落ちたりする危険性があります。また、原因となっている基礎疾患(キアリ奇形など)の根本的な治療ではない点に注意が必要です。

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