PASセルフケアセラピィ(PAS-SCT,Psycho-Analytic Systems Theory based Self-Care Therapy )とは,看護におけるこれまでのオレム・アンダーウッドのセルフケアプログラム実践を支援する技法の再体系化です。PAS-SCTは,看護職、高度実践看護師(Advanced Practice Nurse,APN)によるオレムならびにオレム・アンダーウッドのセルフケアプログラム看護を発展させた力動的技法ですが,ただその当該患者のみに対応する単一技法ではなく,病院,コミュニティ,家族等の集団,組織への介入技法です。PAS-SCTは,患者個人への直接介入に加えて,集団,組織も分析対象とする総合的介入技法です(小谷・宇佐美,2018)。
平成30年9月2日に、キャンパスイノベンションセンター田町(東京)で、PASセルフケアセラピイ看護学会第1回設立記念大会を開催いたしました。設立記念大会を2か月前に急遽決めましたが、100名の会場に、100名以上の参加を頂き、セルフケアへの看護・PASセルフケアセラピイおよび看護職・APN(Advanced Practice of Nurse,高度実践看護師)の能力開発と研究に関する関心の高さを改めて実感いたしました。
日本にセルフケアに関する看護理論を導入された南裕子教授の基調講演では、聖路加看護大学の公開講座で、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California,San Francisco,UCSF)のパトリシア・アンダーウッド臨床教授と同じUCSFのパトリシア・ベナー教授を日本にお迎えし、特にアンダーウッド臨床教授のところでは、セルフケアに関する看護理論が日本および精神看護学に導入された経緯について、そしてセルフケア理論とシステム理論がどのように統合される必要があったのかについて話されました。そしてセルフケアの考え方について、看護職としては当然だと考えられている排泄のケアについて本人にとって排泄ケアがどれだけ侵入的なケアなのか、セルフケアへの看護を提供していくときに本人の自己をどうとらえていくのか、が非常に重要であることが指摘されました。