一般社団法人日本呼吸療法医学会
会員各位
一般社団法人日本呼吸療法医学会
公益社団法人日本臨床工学技士会
一般社団法人日本クリティカルケア看護学会
3団体合同人工呼吸器安全使用のための指針作成委員会
委員長 大塚 将秀
人工呼吸器は生命維持管理装置であり、人工呼吸療法には致死的な合併症を伴う可能性があります。そのため多方面から注意喚起がなされていますが、関連する医療事故は後を絶ちません。
この要因の一つとして、危険性の周知と安全管理対策が十分でないことを挙げざるを得ません。日本呼吸療法医学会はこの事態を重く受け止め、「人工呼吸療法における無事故の実現」を学会活動の重要な目標の一つとして掲げ、2001年に「人工呼吸器安全使用のための指針」を、2011年に同改訂第2版を発出しました。日本臨床工学技士会も、2001年に「医療スタッフのための人工呼吸療法における安全対策マニュアル」を、2016年に「安全な呼吸回路の提言」を発出しています。しかし、その後も事故事例の報告や関連する注意喚起が続いていることをふまえ、新たに集積された知見なども加味して日本呼吸療法医学会・日本臨床工学技士会・日本クリティカルケア看護学会で、「3団体合同人工呼吸器安全使用のための指針」の初版を作成することとなりました。
人工呼吸器安全使用のための指針第2版の作成後、マスクを用いて陽圧換気を行う非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilation:NPPV)が普及しました。一定の条件下で使用すればその大きな効用を享受できますが、気管挿管下人工呼吸療法の代替となる簡便な治療法と誤認されている可能性もあって使用は急速に拡大し、従来の人工呼吸療法が行われていた部署とは異なる分野でも利用されるようになっています。NPPVは、患者とのインターフェースが異なるだけで陽圧換気の一方法であり、挿管下の人工呼吸療法と同様の安全管理を必要とします。したがって、人工呼吸器安全使用のための指針改訂第2版に記載の内容でカバーできるはずではありますが、使用する装置や呼吸回路の構成などが異なることに加え、挿管下人工呼吸療法を通常提供する医療スタッフ以外にも多くの使用者がいることを考慮して、指針第2版とは独立したガイドラインを作成しました。しかし、簡便性のため安易に使用されている風潮およびそれに起因すると考えられる事故の発生が続いていることを憂慮し、またNPPVも挿管下の人工呼吸と変わらない立派な陽圧換気であるという認識を定着させたいという思いを込めて、今回はNPPVを包括する指針としています。
記載内容の多くは急性期における人工呼吸・NPPV療法を想定しているため、慢性期や在宅での管理には馴染まない記述もあるかと思います。とくに在宅では医療従事者でない患者自身もしくは家族などがその主たる管理を担うことになりますが、これらの分野でも本指針の内容を参考にして管理体制を十分に協議することと、関係者全員に対する教育を十分行うことが重要であります。
いくつかの項目では、ほぼ同じ内容を繰り返し記載した部分もあります。これは、指針の一部を読んだ場合でも重要な事項を網羅して把握できるように配慮したことによります。
本指針(案)は、3団体の会員から選出された委員で綿密に検討され、各団体の理事会で承認を得てこのたび全会員に向けてパブリックコメントを募集する運びとなりました。なお、「策定の方針と要点」は別添の資料のとおりです。指針(案)は十分吟味して作成しましたが、誤字脱字や矛盾のある記載が残っている可能性があります。会員各位のご協力をいただいてより完璧な指針としたいので、忌憚のないご意見をお寄せください。
1.ご意見・情報の提出方法
ご連絡先(氏名、ご所属)を明記のうえ、E-mailにて事務局までお送りください。
| ご意見・情報の提出 一般社団法人日本呼吸療法医学会 事務局 |
| E-mail kokyu@medica.co.jp |
2.ご意見・情報の提出締切日
2025年11月17日(月)まで(必着)

