がん早期診断マーカー精度検証支援 第4回公募(乳がん・血清または血漿)公募要領

250625

【目的】

乳がんは女性でもっとも罹患率の高いがんであり(2020年)、女性の部位別がん死亡数(2023年)の順位も4位である(人口動態統計)。集団検診としてマンモグラフィーや超音波エコー検査が実用化されているが、受診率の伸び悩みが問題になっており、がん検診以外の健診に組み込みやすい血液検査による方法が望まれる(参照:国立がん研究センター「最新がん統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html、「がん検診」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening/index.html)。
そこで今回は、血液試料(血清または血漿)による乳がんの早期診断を試みる研究グループに、乳がんと臨床診断される以前に採血され凍結保存された試料(および対照となる試料)を提供し、早期診断マーカー候補の精度の検証を支援する。ただし本プラットフォームの趣旨から、対象は文部科学省の科学研究費(以下「科研費」)を取得している研究グループとする。

【支援内容】

本研究支援では採用者に対し、日本多施設共同コーホート研究(以下「J-MICC研究」)のベースライン調査での採血後、1年未満以内に乳がんと診断された新発生例 約100例および非がんコントロール(以下「対照」)約100例の試料を提供する。

予定症例の詳細 

ベースライン調査時の採血後、1年未満を経過した乳がん罹患症例。診断までの期間は、半年未満が60例、半年以上1年未満 40例(実際に提供される試料では若干異なる場合があります)。採血時点で、がんの既往歴(調査票による)を持つ者は除外している。

対照の詳細 

症例1例につき、以下の変数をマッチした対照1例を選択する。1)性、2)採血時年齢(同一5歳階級:35〜39、40〜44... 、65〜69歳)、3)調査地区、4)採血年(同一年)。採血時点で、がんの既往歴(調査票による)を持つ者は除外する。採血後1年経過期間中、がん(乳がん以外も含む)を発症していない症例。

付帯情報 

症例・対照の別、性、年齢(採血時)、診断年月、採血年月、採血から診断までの期間、組織型、がんの進展度(手術前および手術後。上皮内、当該臓器限局、所属リンパ節転移、隣接臓器浸潤、遠隔転移、不明)、採血から血液試料凍結までの時間。
ただし、がん罹患に関する個々の症例の付帯情報は、「がん登録等の推進に関する法律」に基づくデータ利用制限のため採用者に提供できないことから、データの解析は、J-MICC研究中央事務局の研究者が実施し、個々の症例の情報が同定できない形で結果を採用者に報告する。測定条件設定などのために必要な場合には、最低数(2-3例程度)の対照検体について、対照であることを測定前に採用者に連絡する。

血液試料(血清・血漿)の詳細 

血液試料は1本が300μlに分注されているため、1度融解し、各採択課題の必要量に応じて分注後、再凍結する必要がある。このため、融解凍結の影響が大きいマーカーは検討困難。決まった容器(チューブ、プレートなど)がある場合には、採用者がJ-MICC研究中央事務局に容器を送付し、事務局で当該容器に分注する。容器に指定がない場合には、同事務局で用意した汎用マイクロチューブに分注する。

【支援応募条件】

本支援に応募する研究者は以下の条件を満たす者とする。

  1. 応募者が科研費を取得していること(研究代表者、研究分担者ともに可)。
  2. ヒト乳がん症例10例以上とヒト非がんコントロール10例以上を用いて、当該マーカーの感度(がん症例で陽性となる割合)、特異度(非がんコントロールで陰性となる割合)が確認されていること。
  3. 本支援による研究はJ-MICC研究との共同研究として実施し、共同研究の条件(下記)に合意できること。

【支援条件】

  1. J-MICC研究中央事務局員、「がん早期診断マーカー精度検証支援」審査委員など、J-MICC研究関係者が応募および検証支援に際して知り得た秘密は厳守する。
  2. 本支援による成果を論文発表する際、J-MICC研究側の著者を5名含めること。
  3. 乳がん症例・対照1例あたりの血液試料量は、採択課題全体(3課題程度を予定)の合計で300μl以内とする。必要量が少ない方が採択の可能性が高くなる。
  4. 客観的な測定のため、乳がん症例と対照の区別は原則として知らせない状態で、課題が採択された研究グループに試料を渡す。測定条件設定などのために必要な場合には、最低数(2-3例程度)の対照検体について、対照であることを測定前に採用者に連絡する。
  5. 課題採用者は、所属研究機関で必要な倫理審査を受ける(J-MICC研究側では倫理審査済)。
  6. 課題採用者は、当該マーカーの測定値を中央事務局に提出し、中央事務局が感度・特異度を算出、課題採用者に報告する。同時に上記「付帯情報」についても必要な解析を行い、結果を課題採用者に提供する。
  7. (6) で中央事務局に提出された当該マーカーの測定値は課題採用者に帰属し、J-MICC研究側では研究終了後に処分する。
  8. 本支援に係る費用の課題採用者からの徴収は行わない。
  9. J-MICC研究側は、本支援に関連して生じた知財に関する権利を一切主張しない。

【応募方法】

本プラットフォームのウェブサイト のフォーム(「がん早期診断マーカー精度検証支援」用)に必要事項を入力する。
当該マーカーの詳細については、課題審査に差し支えないと思われる範囲であれば記載しないことも可能。ただし当該マーカーの感度(がん症例で陽性となる割合、何例中何例が陽性であったかを明記)、特異度(非がんコントロールで陰性となる割合、何例中何例が陰性であったかを明記)は必ず記載のこと。また他の参考資料を「コホートによるバイオリソース支援活動」事務局(下記)に送付しても良い。
なお「コホートによるバイオリソース支援活動」事務局から、課題審査に必要な追加情報の提出を求めることがある。

【問い合わせ先】

コホート・生体試料支援プラットフォーム「コホートによるバイオリソース支援活動」事務局
若井 建志
電話 052-744-2132、E-mail: wakai.kenji.y2@f.mail.nagoya-u.ac.jp

【今後のスケジュール】

7月1日 応募開始
9月30日 応募締切(延長する場合があります)
10月1日 〜 10月31日 「がん早期診断マーカー精度検証支援」審査委員による審査 
11月1日(予定) 採択通知
  血清・血漿試料提供 
課題採用者の所属研究機関での倫理審査が終了次第実施。

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