日本臨床神経生理学会専門医・専門技術師
筆記試験範囲の大綱(2012年改訂版)
専門医・専門技術師制度は筆記試験による認定が行われます。筆記試験は専門医,専門技術師それぞれについて「脳波分野試験」,「筋電図・神経伝導分野試験」があり,出題問題数はそれぞれ以下のように80問ずつです。
- 専門医(脳波分野試験)[80問]:
( 脳波関連専門問題[60問]+神経生理の基礎とME問題[20問]) - 専門医(筋電図・神経伝導分野試験)[80問]:
( 筋電図関連専門問題[60問]+神経生理の基礎とME問題[20問])
* 神経生理の基礎とME問題[20問]とは,医師レベルで知っていなければならない神経・筋系の基礎生理学と,医師として知っておくことが必要な脳波・筋電図分野に共通したME技術の問題が主となります。 - 専門技術師(脳波分野試験)[80問]:
( 脳波関連専門問題[60問]+神経生理の基礎とME問題[20問]) - 専門技術師(筋電図・神経伝導分野試験)[80問]:
( 筋電図関連専門問題[60問]+神経生理の基礎とME問題[20問])
* 神経生理の基礎とME問題[20問]とは,技術師レベルで知っていなければならない神経・筋系の基礎生理学と,技術師として知っておくことが必要な脳波・筋電図分野に共通したME技術の問題が主となります。
日本臨床神経生理学会
試験・認定委員会
- 「神経生理の基礎とME問題」試験範囲(専門医向け,専門技術師向け)
- 神経生理学の基礎
1)ニューロンとシナプス 2)静止膜電位と活動電位 3)興奮と抑制 4)末梢神経(脳神経系,体性神経系,自律神経系) 5)神経興奮伝導のメカニズム(神経伝達物質など) 6)大脳の構造と機能局在 7)脳幹・小脳の構造と機能 8)脊髄の構造と機能 9)反射の機序 10)単極誘導(導出)と双極誘導(導出)の考え方
11)遠隔電場電位と近接電場電位の考え方 12)その他,脳波・筋電図検査に必要な神経生理学 - ME技術と安全対策
1)電流と電圧 2)交流雑音(ハム) 3)抵抗,コンデンサ,コイルの特性 4)差動増幅器について 5)同相弁別比(CMRR) 6)電圧増幅器の入力インピーダンスと電極接触抵抗 7)時定数と周波数特性について 8)定電流刺激と定電圧刺激 9)A/D 変換について 10)サンプリング周波数と量子化精度 11)同期加算平均の原理 12)磁気刺激装置 13)感染予防対策 14)電気的安全対策(機能アース,保護アースなど) 15)B,BF,CF形装着部機器 16)シールドルーム 17)その他漏れ電流など
- 神経生理学の基礎
- 「脳波関連専門問題」試験範囲(専門医向け,専門技術師向け)
- 脳波検査に関連する脳の生理と解剖
1)脳波の発生機序 2)覚醒と睡眠機構 3)生体リズム機構 - 患者への対応と処置
1)検査の説明と同意 2)乳幼児の取り扱い 3)意識障害患者の取り扱い 4)患者急変への対応(痙攣,嘔吐,欠神,疼痛など) 5)その他緊急検査・ベッドサイド検査など - 脳波検査
1)脳波波形の種類と特徴 2)脳波電極の特性 3)電極配置法(10/20法など) 4)脳波導出法とその特徴 5)特殊導出法(AV,BNE,SD法,頭蓋内導出法など) 6)モンタージュ 7)アーティファクトの鑑別と対策 - 脳波計について
1)ディジタル脳波計の特徴 2)主要なJIS規格(フィルタ,弁別比,雑音,感度,周波数特性など) 3)各種刺激装置(光,音) - 正常脳波(判読法を含む)
1)新生児(低出生体重児を含む)・乳幼児・小児・成人・高齢者の脳波像の特徴 2)脳波賦活法(睡眠,光,過呼吸など) 3)検査に伴う危険(光誘発発作,モヤモヤ病の過呼吸など) 4)睡眠段階による脳波変化 5)REM睡眠時の生理的変化 6)睡眠脳波の加齢による変化 7)脳波の生理的変化 8)その他正常変異波形など - 臨床脳波(判読法を含む)
1)基礎(背景)活動の異常 2)てんかん性異常波(てんかん症候群と脳波) 3)てんかん性異常波と鑑別必要な波形とその意義(POSTS,Wicket spike,BETS,その他) 4)発作時脳波記録の注意点 5)脳炎・脳症,意識障害と脳波 6)脳血管障害,脳腫瘍,脳器質障害と脳波 7)周期性放電とバースト・サプレッション・パタン 8)その他 - 睡眠ポリグラフィ(PSG)
1)終夜睡眠ポリグラム(PSG)の記録法(小児を含む)と解析法 2)PSG検査に必要な各種生体現象 3)簡易型無呼吸モニタ検査 4)各種睡眠障害のPSGの特徴 5)睡眠潜時反復検査(MSLT)と覚醒維持検査(MWT) 6)その他 - 脳死判定
1)記録法(記録時間,高感度記録,電極間距離,雑音レベルなど)2)脳死判定時の雑音対策 3)脳死判定基準 - 脳波分析
1)分析の基本(周波数分析及び相関分析など) 2)脳電位マッピング 3)双極子追跡法の原理 - 脳誘発電位
1)検出法の原理(加算平均,S/Nなど) 2)SEP,AEP(ABRを含む),VEP,ERP検査法 3)各種誘発電位波形の臨床的意義 4)その他各誘発電位の周波数成分など - 画像検査とその他の機能検査
1)頭部CT 2)頭部MRI 3)fMRIの原理 4)MEGの原理 5)近赤外線スペクトログラフィの原理 6)SPECT検査 7)PET検査 8)眼球運動検査(電気眼振検査など) 9)その他自律神経機能検査など
- 脳波検査に関連する脳の生理と解剖
- 「筋電図・神経伝導関連専門問題」試験範囲(専門医向け,専門技術師向け)
- 筋・神経検査に関連する生理と解剖
1)神経線維の構造と生理学(軸索変性と再生,節性脱髄) 2)錐体路系と錐体外路系 3)大脳基底核の概要 4)筋の構造と収縮メカニズム 5)運動単位とサイズ原理 6)筋紡錘,α,γ,group Ia神経の機能 7)脊髄の解剖 8)種々の脊髄反射(腱反射など) 9)主な筋の支配神経と神経走行および走行異常 10)その他,筋電図検査に必要な神経生理学(瞬目反射など) - 患者への対応と処置
1)検査の説明と同意 2)乳幼児の取り扱い 3)患者急変への対応(痙攣,嘔吐,失神,疼痛など) 4)その他緊急検査・ベッドサイド検査など - 筋電計について
1)筋電計のブロック図 2)主要なJIS規格(感度,雑音など) 3)記録部の種類と周波数特性 4)その他電気刺激装置など - 筋電図検査
1)針筋電図と表面筋電図の違い 2)針筋電図と表面筋電図のフィルタ設定 3)針電極の種類 4)筋電図検査のノイズ対策 5)表面筋電図とクロストーク 6)線維自発電位・陽性鋭波など安静時異常電位の種類と臨床的意義 7)運動単位電位波形の成り立ちと異常発生のメカニズム 8)筋電図所見異常の経時的変化 9)干渉波の評価 10)表面筋電図の臨床応用 11)単一筋線維筋電図の概要 12)その他マクロ筋電図の概要など - 誘発筋電図(磁気刺激を含む)と神経伝導検査
1)電気刺激の極性・持続時間設定と最大上刺激の意味 2)刺激と運動アーティファクトと除去対策 3)神経伝導速度に影響する生理的要因 4)CMAP波形のパラメータと各々の臨床的意味 5)伝導ブロックと時間的分散の判定 6)神経走行異常とCMAP波形 7)SNAP波形のパラメータと生理的時間的分散 8)主な運動および感覚神経伝導検査の刺激・導出部位 9)脱髄および軸索変性疾患の伝導速度と誘発電位波形 10)F波,H波の鑑別と臨床的意義 11)手根管症候群の臨床像と神経伝導検査 12)その他の主な絞扼性神経障害と神経伝導検査 13)顔面神経麻痺における誘発筋電図 14)主な末梢神経・筋疾患の臨床像(ALS,筋ジスなど) 15)反復誘発筋電図(疲労検査) 16)正中神経と後脛骨神経の体性感覚誘発電位の適応と異常 17)電流知覚閾値検査の概要 18)C反射(LLRを含む)の概要 19)経頭蓋磁気刺激検査(運動誘発電位)の概要 20)脊髄誘発電位(術中モニタリング)の概要 21)MUNE(運動推定単位数)の概要 22)交感神経皮膚反応の概要 - 筋電図検査に関する安全対策
1)針刺し事故と安全対策 2)消毒と滅菌およびディスポーザブル電極などについて
- 筋・神経検査に関連する生理と解剖