理事長挨拶
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
理事長 今井富裕
会員の皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。さて、2021年12月15日の社員総会において、選挙での理事選任および推薦理事、監事が承認され、新理事会が発足致しました。その後に開催された臨時理事会において、正門由久前理事長の後任として、理事長を拝命致しました。長い歴史と伝統のある日本臨床神経生理学会理事長の重責を全うできるように、全力でその職務に取り組んでいく所存です。
この挨拶では、私が描いている本学会の将来像を実現していく上で考えていかなければいけない課題を述べたいと思います。課題を列挙することによって、会員の皆様に近い将来に向けての構想を理解していただけると思います。
まずインターネットを活用した学会活動あるいは学会運営の改良です。この変容には、コロナ禍が大きく関わっています。たとえばコロナ禍で開催された2回の学術大会では、国内外をつなぐオンラインでの講演やQ&Aあるいはオンデマンドで視聴できる発表等、コロナ禍前には想像していなかったハイブリッド方式の学会運営が行われました。コロナ禍が終息した後、以前のような現地参加のみの開催方式に戻るでしょうか?多くの会員の皆様が感じているように私も完全に従前に戻ることはないと思っています。なぜならば、すでに我々はWeb開催の良い点をたくさん体験してしまったからです。
インターネットの活用は学会の開催方式に変化をもたらしただけでなく、今回の理事選挙で用いられたWeb投票を初めとする選挙制度の改良、検査・診断技術向上のための学会主催事業の充実、地域差のないe-learning教育・研修システムの構築、SNSによる広報活動の新規開拓など、学会の発展に向けて多くの可能性を感じさせます。しかしながら、本学会が技術系の専門集団であるという特徴から実技の研修が必須であり、学術大会や主催セミナーだけでなく、地域別のオンサイトでの関連講習会の充実も重要になります。本学会には、脳波・筋電図・モニタリングなどの多分野が神経生理学という学問に統合されています。したがって、地域によっては脳波の勉強はできるけれども筋電図の勉強はしにくい、あるいはその逆という状況がみられます。そういう意味でも地域差のない教育・研修システムの構築が必要です。
本学会で修練をつんだ会員の皆様にはぜひ専門医・専門技術師の資格を取得していただき、身に付けた検査・診断技術を十分に生かしていただきたいと思います。そのためには試験・認定制度の整備が必須です。特に、すでに審査での認定が始まっているモニタリング分野については、認定試験の実施に向けての制度整備が喫緊の課題になっています。これらの認定制度を整備することは、結果として、本学会の認定施設で認定会員が実施した診断や検査技術に対するインセンティブをさらに向上させることにつながっていくと考えられます。
多分野・多職種の基礎・臨床研究が一体となって臨床神経生理学という学問の発展に寄与することや、海外向けセミナーを通じて国際貢献していくことは本学会の重要な使命であり、理事・役員とともに国内外の期待に応えられるような学会運営を目指していきます。これからも会員の皆様をはじめとする多くの方々からのご支援ご協力を賜れば幸甚です。
2021年12月吉日
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
理事長 今井富裕