セミナーのご案内

第一回 医師向け 人工呼吸管理 基礎教育プログラム 質問・回答

★ARDS

  1. Q1:ARDSにおいて含気量が問題となっていましたが、含気量はCT上で測定しているのですか? 測定方法をご教示ください。
  2. Q2:ARDSにおいて含気量が半分になると換気量を減らす必要があり、その理由は炎症応答の増加とのことでした。そのメカニズムが理解できません。ご教示ください
  3. Q3:ARDSで含気量が減り、換気量を減らすと血中二酸化炭素濃度上昇が起こると思いますが、それは転帰に関係ないのでしょうか? 頭蓋内圧上昇患者も同様でしょうか?
  4. Q4:2012年のJAMAでARDSでない呼吸不全にも肺保護戦略が有用であるとの報告があったと思うのですが、ARDSの有無に関らず呼吸不全に対する人工呼吸では肺保護戦略をとるべきと考えてよいのでしょうか?

CTでは測定できません。
肺保護換気のゴールを理解するために、開存した肺胞(肺気量)に応じた換気量を設定する必要のあることを説明しました。これは、研究レベルの話題です。残念ながら単一のスライスで得られた画像情報から肺全ての状態を類推することは不可能であり、臨床的に可能な何らかの方法を見いだすべきタイミングに来ています。

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半分の肺の容積しか入らないのに無理にいつもどおりの量をいれると2倍に拡張させられることになり、VILIが発生して炎症反応が惹起される、という流れになり得ます。
肺保護換気のゴールを理解するために、開存した肺胞(肺気量)に応じた換気量を設定する必要のあることを説明しました。これは、研究レベルの話題です。残念ながら単一のスライスで得られた画像情報から肺全ての状態を類推することは不可能であり、臨床的に可能な何らかの方法を見いだすべきタイミングに来ています。

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CO2そのものには細胞毒性はありません。CO2上昇は血管拡張から脳圧上昇を起こすことと呼吸性アシドーシスが発生しうること(その結果循環抑制がおこる)が問題です。腎が代償してくれれば(pHが正常範囲になれば)CO2が100でもヒトは困りません。ですから、CO2を高く維持して管理する場合は頭蓋内病変の有無と腎機能に注意してください。

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major surgeryの術中術後管理では人工呼吸期間を短縮するという報告もあります。でも、結論は出ておらず議論は続いています。たとえば、風邪をひいて強い咳をすると、気道内圧は100 cmH2O を越えます。でも、風邪をひいて ARDS や VILI/VALI を生じる人はいません。これは、肺胞壁にかかる圧が均一であるためです。同じ換気圧や換気量でも肺内病変が不均一であると、その境界面に過剰な圧分布が生じる可能性があります。正常肺で人工呼吸を行う際に、『肺保護換気』を行うべきか?という質問でありますが、正確な応えとしては、『分かりません』。健常者がマラソンを走ってる際に、一回換気量も分時換気量もかなり増大していますが、 ARDS を生じません。こうした健常者のデータも含んで客観的な臨床研究が待たれます。

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