イベント情報
文部科学省学術変革領域研究「学術研究支援基盤形成」コホート・生体試料支援プラットフォーム(CoBiA) 共催
令和5年度 第2回リアルワールドデータ研究のための統計学セミナー
経時測定データの統計解析の考え方とその活用 〜RやSASでの実装をふまえて〜 レポート
開催日 | 2024年2月29日(木) 13時00分 〜 16時00分 |
---|---|
開催形式 | Zoomによるオンライン開催 |
URL | https://sites.google.com/kurume-u.ac.jp/rwd2024 |
令和5年度もバイオメディカルデータ解析支援の一環として、臨床研究の実施における支援のためにオンライン開催にてリアルワールドデータ研究のための統計学セミナーを2月29日に開催した。全国から517名の参加登録があり、昨年を超える登録者数に本セミナーへのニーズの高さが垣間見られた。
はじめに、バイオメディカルデータ解析班・班員の室谷健太(久留米大学バイオ統計センター教授)からCoBiA事業に関する概要と支援応募の方法、本セミナーの講師の紹介等が行われ、セミナーが開始された。
第1部では五所正彦(筑波大学)教授から「経時測定データ解析のための知っておきたい三手法」と題して、同一個体を繰り返し測定したデータが持つ特徴と、なぜ、単純な解析ではいけないのか、という議論から初めて、当該分野で中心的な役割を持つ三つの統計手法(線形混合モデル、一般化推定方程式法(GEE法)、一般化線形混合モデル)に主眼を置いて大変丁寧な解説を頂いた。それぞれの手法から得られる結果の解釈と使い分けについて、示唆に富む講演がなされた。
第2部では石井亮太(筑波大学)助教から「RとSASによる経時測定データ解析の実践」と題して、第1部で学習した三手法を統計ソフトウェアRおよびSASでどのように実行し、解釈を進めていくか、といった実践的な講演をいただいた。講師のご厚意で事前に実習資料の共有も参加者に行われ、セミナー参加者が自身のパソコンで手を動かしながら確認をし、質問ができるインタラクティブな時間となり、大変学習効果の高い講演であった。講演後の質疑応答でも多くの質問が参加者から出され、活発なディスカッションも行われた。
最後に、中杤昌弘(名古屋大学大学院准教授)より終わりの挨拶が行われセミナー閉会となった。今年度は517名もの事前参加登録(うち科研費取得登録者は87名(16.8%))であった。経時データ解析はコホート研究では必須の手法であるものの、基礎から実装までまとめて学習できる機会はそこまで多くない。リアルワールドデータ研究に対するニーズの高さを再認識することが出来た。次年度も多くの研究者のニーズに沿ったテーマのセミナーを通じて、研究者の支援を継続していきたいと考えている。