イベント情報
文部科学省新学術領域『学術研究支援基盤形成』コホート・生体試料支援プラットフォーム 共催
第5回 遺伝統計セミナー
『ゲノムコホート研究における遺伝統計学』レポート
5度目の開催となる遺伝統計学セミナーは、SARS-CoV-2の感染拡大の影響に配慮し、オンライン開催として、2020年12月14日(火)から17日(金)の4日間にわたり開催された(開催時間は、毎日午後17時から午後20時の3時間)。オンライン開催にもかかわらず、全国から70名の参加登録があり、前回を上回る参加者数となった。
若井建志名古屋大学医学研究科教授による 開催のあいさつ |
オンライン講義の一場面 |
1日目は、本プラットフォーム分担者であるJ-MICC研究主任研究者の若井建志・名古屋大学大学院教授による開会の挨拶があり、今回の開催への期待が述べられた。続いて、熊坂秋彦氏・株式会社スタージェンから、遺伝統計学概論の講義が行われた。参加者の質問に対してはチャットを用いることで時間内に対応することができた。
2日目は、中園一幸氏・株式会社スタージェンによるゲノムワイド関連解析(Genome-wide association study; GWAS)の実習講義が行われた。遠隔でのハンズオンセミナーのため十分な個別対応ができるか心配されたが、バーチャル小部屋を用いた総勢7名のサポートメンバーの迅速な対応により脱落者を出さずに実施することができた。
3日目は、清水厚志・岩手医科大学医歯薬総合研究所生体情報解析部門教授、岩崎基・国立がん研究センター部長、田中恵太郎・佐賀大学医学部医学科社会医学講座教授、中村保幸・滋賀医科大学客員教授 、松尾恵太郎・愛知県がんセンター分野長、濱谷陸太・ハーバード公衆衛生大学院生による特別講演がそれぞれ行われた。
4日目は、中杤昌弘・名古屋大学准教授、小巻翔平、須藤洋一・いわて東北メディカルメガバンク機構両助教による、関連解析後に利用される各種データベースの利用法についてのハンズオン講義が行われた。参加者のサポートに対しては、2日目と同様の対応がなされた。
以上をもって、盛況のうちに全日程を終了した。事情によりオンタイムで参加できなかった事前参加登録者については、講演者から公開の許可が得られたものに限り、後日、録画データの閲覧ができるよう配慮された。
オンライン実習講義(2日目)の一場面 |
参加者からの質問に対する個別遠隔対応の様子 |
今回は、ウェブツールを用いたオンライン講義、および実習といったこれまでになかった試みであるため、演者の方には事前リハーサルなど多大なるご協力を賜った。実習での遠隔サポートでは、その性質上、従来の対面サポートと同様のスピーディーな対応ができない場面も見られたことは、今後、同様の講習会を開催する際に考慮すべき点ではあるが、全日程を通して、大きなトラブルもなく、予定された全てのスケジュールを無事終えることができたことは、主催者にとっても大きな収穫であった。一方でウェブ開催では参加者同士の交流はほぼ不可能であり、またセミナー後に講演者と受講者で夜を徹しての深い議論などの機会も持てないことはウェブ開催の課題として残った。なお、各地の研究者の要請に応え、次回講習会についてもすでに検討が始まっており、今後も研究者支援のため、研究活動に役立つ場の提供を進めていきたい。
岩手医科大学 いわて東北メディカル・メガバンク機構
生体情報解析部門