補体検査

臨床研究に関するお知らせ

情報を公開して実施している臨床研究

承認番号 G154
研究課題名 新しい補体検査システムの構築による補体関連疾患の包括的登録と治療指針確立
研究責任者 和歌山県立医科大学 分子遺伝学講座 教授 井上徳光
(一般社団法人日本補体学会 会長)
研究期間 平成31年4月26日〜令和9年3月31日
公開文書 PDF


補体検査事業に関するお知らせ

 皆様には、平素より日本補体学会の補体検査事業にご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
補体検査に関して、現在、補体検査受託システムの再構築に向けて準備を進めているところです。なお、一部の補体検査は可能となっておりますので、補体疾患に関する検査やご相談などは日本補体学会検査事務局 (hotai-gakkai@umin.org)までご連絡ください。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 近年、補体関連遺伝子異常が関わる疾患群の再認識とその治療薬の開発によって、それらの疾患を診断するための補体検査の必要性が高まっています。一方、現在、臨床検査会社で測定できる検査は、C3, C4, CH50などごく一部に限られていることから、日本補体学会は、学会主導の補体関連検査体制の再構築と新規研究開発の進展を目指すことを決議しました。
 そして、補体関連疾患の病態解明や新規診断法の開発を目指し、補体に関連するタンパク質検査や遺伝子検査の体制を構築し、平成27年12月11日より検査の受付を開始しました。対象疾患は順次、拡大していく予定にしております。

検査体制

現在、受付可能な疾患は以下の通りです。
検査をご希望の主治医は下記の該当疾患をクリックし、お申し込みください。

  1. 血栓性微小血管症 Thrombotic microangiopathy (TMA)
  2. 遺伝性血管性浮腫 Hereditary angioedema (HAE)
  3. C3腎症 C3 glomerulopathy (C3G)
  4. 先天性補体欠損症

TMA及び先天性補体欠損症の検査受付について

補体検査で使用する検体や臨床情報の流れは、下記の図および「検査依頼のフロー」をご参照の上、「補体検査申込書」に記入し、補体検査事務局までお申し込みください。
なお、補体関連遺伝子検査を受けるためには、各施設での倫理審査委員会の承認が必要です。本検査体制構築の研究に関しては、既に旭川医科大学で倫理審査委員会の承認が得られております。詳細については、「倫理審査申請」をご参照ください(IDとパスワードは補体検査事務局までお問い合わせください)。

また、検査申し込みには「疾患登録」が必須事項です。検査結果のご報告にも必要ですので、「TMAレジストリー調査票」または「先天性補体欠損症レジストリー調査票」への記載をよろしくお願い申し上げます。

補体検査事務局:[E-mail] hotai-gakkai@umin.org

補体検査と臨床情報の流れ(TMA及び先天性補体欠損症)
検体検査と臨床情報の流れ(TMA及び先天性補体欠損症)

※クリックで拡大

  • 倫理審査申請をされる方はこちら↓
    倫理審査申請-閲覧医はIDとパスワードが必要です
  • <関連書類>↓↓↓
  1. ・検査依頼フロー(PDF)
  2. ・検査依頼に関する運用手順書(PDF)
  3. ・補体検査申込書(Excel)
  4. ・「TMAレジストリー調査票」(Excel)
  5. ・「先天性補体欠損症レジストリー調査票」(Excel)
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遺伝性血管性浮腫(HAE)の検査受付について

補体検査で使用する検体や臨床情報の流れは、下記の図および「検査依頼のフロー」をご参照の上、「補体検査申込書」に記入し、補体検査事務局までお申し込みください。
ただしHAEは、C1-インヒビター活性の測定や臨床症状により必ずしもさらなる検査を必要としない場合があります。それ故、サポートチームリーダー(東日本:大澤 勲(埼友草加病院・院長)、西日本:堀内孝彦(九州大学病院別府病院・教授))の判断により、学会による補体検査に進まない場合がありますのでよろしくお願い致します。
なお、補体関連遺伝子検査を受けるためには、各施設での倫理審査委員会の承認が必要です。本検査体制構築の研究に関しては、既に旭川医科大学で倫理審査委員会の承認が得られております。詳細については、「倫理審査申請」をご参照ください(IDとパスワードは補体検査事務局までお問い合わせください)。

また、学会による補体検査に進んだ場合には「疾患登録」が必須事項です。検査結果のご報告にも必要ですので、「HAEレジストリー調査票」への記載をよろしくお願い申し上げます。

補体検査事務局:[E-mail] hotai-gakkai@umin.org

補体検査と臨床情報の流れ(HAE)
検体検査と臨床情報の流れ(HAE)

※クリックで拡大

  • 倫理審査申請をされる方はこちら↓
    倫理審査申請-閲覧医はIDとパスワードが必要です
  • <関連書類>↓↓↓
  1. ・検査依頼フロー(PDF)
  2. ・検査依頼に関する運用手順書(PDF)
  3. ・補体検査申込書(Excel)
  4. ・「HAEレジストリー調査票」(Excel)
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C3腎症(C3G)の検査受付について

C3腎症は、日本腎臓病学会と共同で検査を進めております。補体検査で使用する検体や臨床情報の流れは、下記の図(補体検査と臨床情報の流れ)をご参照下さい。検査の担当は、水野正司(名古屋大学大学院医学系研究科・教授)になります。「補体検査申込書」に記入の上、下記メールアドレスまでお申し込みください。
なお、補体関連遺伝子検査を受けるためには、各施設での倫理審査委員会の承認が必要です。倫理審査に関しても、下記メールアドレスまでお問い合わせください。

また、検査申し込みには「疾患登録」が必須事項です。検査結果のご報告にも必要ですので、「C3腎症レジストリー調査票」への記載をよろしくお願い申し上げます。

補体検査事務局:[E-mail] mmizu@med.nagoya-u.ac.jp

補体検査と臨床情報の流れ(C3G)
検体検査と臨床情報の流れ(C3G)

※クリックで拡大

  • <関連書類>↓↓↓
  1. ・検査依頼フロー(PDF)
  2. ・検査依頼に関する運用手順書(PDF)
  3. ・補体検査申込書(Excel)
  4. ・「C3Gレジストリー調査票」(Excel)
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補体関連タンパク質検査

日本補体学会は、さまざまな補体関連疾患の病態解明や診断方法の開発を目指し、以下の4つの方向性で検査体制を整備いたしております。

  1. 1. 補体関連タンパク質検査
  2. 2. 補体関連遺伝子検査
  3. 3. 疾患登録(補体関連疾患レジストリー)
  4. 4. サポートチーム(医療関係者へのサポートシステム)

1. 補体関連タンパク質検査

標準化のすすむ世界の検査

世界標準の補体関連タンパク質検査システムを構築することを目指しています。検査システムを構築し補体関連タンパク質を測定することにより、補体関連疾患における補体系の関与や補体活性化の程度等を把握することが可能となります。しかし、補体関連タンパク質検査のほとんどは、まだ研究段階のため、現在、世界中で補体関連疾患の診断に有用な検査を開発しようとしています。現在、欧米では、以下の20項目の補体検査の標準化が進められています。

補体因子: C1q, C3, C4
機能: CH50, 第2経路 (AP)・レクチン経路(LP) 活性
制御因子: CFH, CFI, C1-インヒビター蛋白, C1-インヒビター活性
自己抗体: 抗C1q, 抗C1-インヒビター (IgG/A/M), 抗CFH, C3Nef
活性化産物: C3dg, C3a, Bb, sC5b-9

現在日本国内で測定可能な検査

2016年度より、日本補体学会も世界の標準化システムに参加しました。また、国際補体学会の外部精度評価 (External Quality Assessment)において、日本補体学会の補体検査の妥当性が評価されており、2018年秋より、年2回の外部精度評価を受けています。
(証明書 2016年, 2017年, 2018年秋, 2019年春, 2019年秋, 2020年春, 2020年秋, 2021年春, 2021年秋,2022年春 2022年秋 2023年春 )
現在、以下の表にある項目の検査について、検査を行うことが可能です。
日本補体学会では、今後,も補体関連疾患患者さんの血液や尿サンプル等を長期に保存し、補体関連タンパク質の検査方法の開発に活かします。

補体標準検査(血清及び血漿):
 C3, C4, CH50, sC5b-9, Ba, C5a, CFH, 抗CFH抗体, CFI
追加可能な検査(血清及び血漿):
 ACH50(第2経路), LCH50 (レクチン経路), C1q, C3a
HAEを疑う場合の検査:
 C1-インヒビター活性

補体検査のための検体の保存方法

検体採取および保存には、原則として(株)ファルコバイオシステムズからお送りする容器をご利用いただき、マニュアルに沿って保存していただきます。
それ以外に、補体検査のために検体保存をお考えの場合は、以下の点に注意してください。

・補体は血清中で容易に活性化するため、血清のほかに血漿(EDTA-2KまたはEDTA-2Na採血管で分離された血漿)として保存する。
・検体は、-80℃で保存する。

補体関連タンパク質検査責任者
大谷 克城(酪農学園大学)

2. 補体関連遺伝子検査

136補体関連遺伝子検査

 現在、136補体関連遺伝子のバリエーション同定検査を行っています (遺伝子の詳細については、補体検査事務局までお問い合わせください)。遺伝子検査は、(株)ファルコバイオシステムズに依頼し、次世代シークエンサーを用いて行っております。

サンガー法:
 次世代シークエンサーで検出されたアレル頻度が低いバリエーションのうち、以下の遺伝子に関しては、サンガー法で確認しています。
<疾患別の関連遺伝子>
 ・補体関連TMA (atypical hemolytic uremic syndrome : aHUS)および
  C3G:CFH, CFI, C3, CFB, CD46 (MCP), Thrombomodulin (THBD), DGKE
 ・遺伝性血管性浮腫(HAE):SERPING1(C1-インヒビターをコードする遺伝子)
 ・補体因子欠損症:原因と考えられる遺伝子のバリエーションを検出した場合
MLPA法:
 CFH-CFHR領域の欠失が疑われる場合には、MLPA法で確認を行います。
デジタルPCR法:
 CFH-CFHR領域の欠失が疑われる場合もしくはC4低下または欠損が疑われる場合には、デジタルPCR法で遺伝子のコピー数(CNV)を確認します。

補体関連遺伝子検査責任者
井上 徳光(和歌山県立医科大学)

3.疾患登録(補体関連疾患レジストリー)

 補体関連疾患は稀で、かつ疾患患者さんが複数の診療分野に及びます。そのため、疾患の情報や治療のための情報が、これまできちんと集約されてきませんでした。情報を一元的に集約することは、補体関連疾患の病態解明や新規診断法の開発のために、たいへん重要です。日本補体学会は、補体関連疾患の情報をまとめて管理するため、REDCap データベースシステム(以下、REDCap)を用いて、疾患登録を行っています。 REDCapとはアメリカVanderbilt大学が開発したシステムで、日本補体学会では、大阪市立大学医学部附属病院 臨床研究・イノベーション推進センターの学外提供システム(REDCap-SaaS)を利用して行なっています。REDCapへの患者情報の入力は補体検査事務局で行い、登録されたデータは、新谷 歩教授(大阪市立大学大学院医学系研究科)のサポートのもと、日本補体学会が管理しています。
 登録にあたり、調査票のご記入は患者さんの主治医に行っていただきます。該当の下記「レジストリー調査票」に必要事項をご記入いただき、調査票のファイルを補体検査事務局までご送付ください。また、直接REDCapへの情報入力をご希望の場合も、補体検査事務局までお申し出ください。
 検査申し込みには「疾患登録」が必須事項です。検査結果のご報告にも必要ですので、必ず行ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

補体検査事務局: [E-mail] hotai-gakkai@umin.org

疾患登録責任者 日高 義彦(和歌山県立医科大学)

● レジストリー調査票
  • 「TMAレジストリー調査票」(Excel)
  • 「HAEレジストリー調査票」(Excel)
  • 「C3Gレジストリー調査票」(Excel)
  • 「先天性補体欠損症レジストリー調査票」(Excel)

4. サポートチーム(医療関係者へのサポートシステム)

血栓性微小血管症 (TMA) サポートチーム
 日高義彦 和歌山県立医科大学(チームリーダー)
 澤井俊宏 滋賀医科大学小児科
 大塚泰史 佐賀大学小児科
 宮田敏行 国立循環器病研究センター
 井上徳光 和歌山県立医科大学

遺伝性血管性浮腫(HAE)サポートチーム
 堀内孝彦 九州大学病院別府病院内科(西日本チームリーダー)
 大澤 勲 埼友草加病院(東日本チームリーダー)
 若宮伸隆 酪農学園大学
 井上徳光 和歌山県立医科大学
 本田大介 順天堂大学浦安病院
 林 健志 NPO法人CREATE

C3腎症 (C3G) サポートチーム
 水野正司 名古屋大学大学院医学系研究科(チームリーダー)
 猪阪善隆 大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
 日高義彦 和歌山県立医科大学
 澤井俊宏 滋賀医科大学小児科
 若宮伸隆 酪農学園大学

先天性補体欠損症 サポートチーム
 塚本 浩 新小倉病院(チームリーダー)
 日高義彦 和歌山県立医科大学
 大谷克城 酪農学園大学
 井上徳光 和歌山県立医科大学
 若宮伸隆 酪農学園大学

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サポートチーム

進行中の検査プロジェクト

・妊娠高血圧症候群の遺伝的背景に関する研究
・腎移植後早期に発症したTMA患者を対象とした多施設共同後方視的要因解析研究
・同種造血幹細胞移植後血栓性微小血管症における補体介在性機序の探索
・正常妊婦における補体の生理的変化の検討

補体検査プロジェクトの申請について

2014年度から始まった「新しい補体検査システムの構築による補体関連疾患の包括的登録と治療指針確立」事業が、ようやく軌道に乗り始めました。最初は、2015年12月より血栓性微小血管症(TMA)に対する検査体制が構築され、補体関連タンパク質検査・補体関連遺伝子検査等が始まり、その後さまざまな検査プロジェクトが続いております。
今後、新たにその他の補体関連疾患の検査体制を確立できるよう、新規の補体検査プロジェクトの申請・承認システムを構築いたしました。

※詳しくは下記をご覧下さい

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サポート企業

本検査体制の構築には、以下の企業からのサポートにより成り立っています。

アレクシオンファーマ合同会社
CSLベーリング株式会社

学会からのお願い
現在、補体系の関与が強く疑われている様々な難治性疾患が報告されています。しかし、海外では検査ができるにもかかわらず、日本では補体関連検査が十分実施できないために、診断がつかない場合があります。今後、補体関連疾患の的確な診断や治療のための補体検査体制の充実には、より多くの企業のサポートが必要です。
補体関連疾患治療の新規研究開発や検査体制充実のサポートにご興味のある企業の御担当者さまは、日本補体学会事務局 (E-mail:hotai-gakkai@umi.ac.jp) まで、是非ご連絡ください。

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お知らせ

神戸常盤大学の補体異常を示す症例解析の終了について

 これまで補体異常を疑う臨床症例についての補体学的な解析の相談や補体成分の測定などを神戸常盤大学・保健科学部・医療検査学科の補体チームが、お引き受けしていましたが、平成27年3月をもちまして終了しました。これまで、ボランティアで測定を実施してきましたが、補体各成分の活性測定に必要となる試薬の入手が困難なこと、測定者の大学での業務が過密なこと、責任者の退職などで、測定を継続することが困難となりました。
なお、すでに測定の結果をご報告した症例について、ご質問がある場合は以下にご相談ください。

神戸常盤大学・保健科学部・医療検査学科
〒653-0838 神戸市長田区大谷町 2–6-2
TEL:078-611-1821  FAX:078-643-4361

助教  北野 悦子   E-mail:e-kitano@kobe-tokiwa.ac.jp

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