補体検査

 近年、補体関連遺伝子異常が関わる疾患群の再認識とその治療薬の開発によって、それらの疾患を診断するための補体検査の必要性が高まっています。一方、現在、臨床検査会社で測定できる検査は、C3, C4, CH50などごく一部に限られている事から、日本補体学会は、学会主導の補体関連検査体制の再構築と新規研究開発の進展を目指す事を決議しました。
 そして、この度、日本補体学会は、補体関連疾患の病態解明や新規診断法の開発を目指し、補体タンパク質検査や遺伝子検査体制を構築し、平成27年12月11日より検査の受付を開始しました。現在、受付可能な疾患は以下の通りです。順次、疾患は拡大していく予定にしておりますので、事務局までご連絡ください。なお、申込みには、補体検査フローチャートをご覧いただき、補体検査申込書に記入の上、補体検査事務局(e-mail: hotai-gakkai@umin.org)までお願いします。なお、補体関連遺伝子検査を受けるためには、各施設での倫理審査委員会での承認が必要です。補体検査で使用する検体や臨床情報の流れは、下記の図をご参照下さい。本検査体制構築に関しては、既に旭川医科大学で倫理審査の承認が得られておりますので、下記の倫理審査申請をご参考にしてください(IDとパスワードは事務局までお問い合わせください)。

補体検査における検体と臨床情報の流れ
検体検査と臨床情報の流れ

※クリックで拡大

  • 倫理審査申請をされる方はこちら↓
倫理審査申請-閲覧医はIDとパスワードが必要です

検査実施中の疾患

・血栓性微小血管症 Thrombotic microangiopathy (TMA)
・遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema)

検査準備中の疾患

・骨髄移植後血栓性微小血管障害症(Post-Bone marrow transplantation TMA)
・C3腎症 (C3 glomerulopathy)
・先天性補体因子欠損症
↑ページのトップへ

検査体制

 一般社団法人日本補体学会は、様々な補体関連疾患の病態解明や診断方法の開発を目指し、補体検査や遺伝子検査を行うために、以下の4つの方向性で検査体制を整備いたします。

  1. 1.補体関連タンパク質検査
  2. 2.補体関連遺伝子変異検査
  3. 3.補体関連疾患レジストリー (疾患登録)
  4. 4.医療関係者へのサポートシステム
↑ページのトップへ

補体関連タンパク質検査

世界標準の補体検査システムを日本でも構築する事を目指しています。現在、欧米では、以下の20項目の補体検査を構築しようとする動きがあり、その標準化を進めています。日本も世界の標準化システムに参加を予定しています。

標準化が進む世界の検査

C3
機能: CH50, 第2経路 (AP)・レクチン経路(LP) 活性
古典経路・レクチン経路: C1q, C4
制御因子: CFH, CFI, C1-inhibitor蛋白, C1-inhibitor活性
自己抗体: 抗C1q, 抗C1インヒビター (IgG/A/M), 抗CFH, C3Nef
活性化産物: C3dg, C3a, Bb, sC5b-9

日本で進行中の検査

これらの補体検査システムを構築する事により、補体関連疾患における補体系の関与や補体活性化の程度等を測定する事が可能となります。しかし、補体関連タンパク質検査のほとんどは、まだ研究段階のため、現在、日本ばかりでなく世界中で補体関連疾患診断に有用な検査を開発しようとしています。今後、補体関連タンパク質検査の充実をはかっていくため、補体関連疾患の患者等の血液や尿サンプルを日本補体学会では長期に保存します。
 なお、国際補体学会の外部精度評価(External Quality Assessment 2016)におきまして、C3, C4, sC5b-9, 抗CFH抗体(定性) についての妥当性が証明されています。(証明書)

現在測定可能な補体検査
血清及び血漿:C3, C4, CH50, sC5b-9, Ba, C5a, CFH, 抗CFH抗体

必要なサンプル ・血漿(EDTA-Kを含む採血管で採取され分離された血漿) 2 ml
・血清 2 ml
・尿 4ml

特に、TMAにおいては、血漿交換等の治療を行う前の急性期の血液や尿サンプルの採取が重要です。上記サンプルの-80℃での保存をお願いします。

なお、補体学会に依頼される場合には、(株)ファルコバイオシステムズより上記検体採取用容器をお送りします。

↑ページのトップへ

補体関連遺伝子検査

115補体関連遺伝子検査

 現在、115補体関連遺伝子の変異同定検査を行っています (遺伝子の詳細については、事務局までお問い合わせください)。遺伝子検査は、(株)ファルコバイオシステムズに依頼し、次世代シークエンサーを用いて行っております。補体関連atypical hemolytic uremic syndrome (aHUS) の素因遺伝子と考えられている下記遺伝子に関しては、日本補体学会がサンガー法でその変異の確認を行います。

サンガー法で確認する遺伝子

CFH, CFI, C3, CFB, CD46(MCP), Thrombomodulin (THBD), DGKE

遺伝性血管性浮腫の遺伝子解析について

 C1-inhibitorの遺伝子情報を明らかにすることは、遺伝性血管性浮腫の確実な診断・治療をおこなうために重要であると考えます。

  1. 1) 遺伝子の解析方法 :
    解析には、通常の方法で採血された(EDTA-2Na採血)10mlの血液を用います。採血した血液からDNAを抽出し、PCR増幅、電気泳動等にて解析を行います。
  2. 2) お問い合わせ先 :
    同意取得に関すること、血液の送付方法、その他検査結果の解釈やこれまでの遺伝子解析情報についてなどのご質問・ご相談は下記でお受けしております。

九州大学病院別府病院内科  堀内孝彦
TEL : 0977-27-1640
E-mail : xxxxxx@beppu.kyushu-u.ac.jp (xxxxxxにhoriuchiと入れてください。)

  • 遺伝子解析のお申し込みは下記まで
    NPO法人血管性浮腫情報センター 事務局
    URL : http://create2011.jp/
    E-mail : create23jp@yahoo.co.jp
  • 費用など
    依頼者の方から解析に必要な費用をいただくことはありませんが、詳細はお問合せ時にご連絡します。
↑ページのトップへ

疾患登録

 補体関連疾患は、複数の診療分野に疾患が及ぶ事が多く、かつ稀な疾患であるため、全国的な疾患の蓄積を行っています。日本補体学会は、Japan REDCap Consortiumに参加し、大阪大学医学部未来医療開発部データセンターの新谷歩教授のサポートのもと、アメリカVanderbilt大学が開発したREDCapデータベースシステムを用いて、疾患登録を行っています。疾患登録は、REDCapシステムに直接入力していただく事により、登録された疾患の情報を閲覧する事ができます。REDCapへの入力をご希望の方は、「ユーザーID発行申請書」に記入の上、補体検査事務局(e-mail: hotai-gakkai@umin.org)まで送付ください。
なお、REDCapへの入力が困難な場合には、「TMAレジストリー調査票」に記入し、補体検査事務局(e-mail: hotai-gakkai@umin.org)までご返送ください。

  • 「ユーザーID発行申請書」(Excel)
  • 「TMAレジストリー調査票」(Excel)

REDCapユーザー登録から入力までの流れ

1. 利用規約への同意の上、下記の要領でユーザー登録を行なう。
 ↓
2. 大阪大学REDCapシステム「ユーザーID発行申請書」に必要事項を入力し、日本補体学会補体検査事務局にメール(e-mail: hotai-gakkai@umin.org)で送付
 ↓
3. 大阪大学REDCapシステムより、ユーザー登録通知メールが届く。初回ログイン時用マニュアルを参考にシステムにログイン。
パスワードの変更、設定
 ↓
4. 権限がアサインされるとメールが届く。
 ↓
5. https://rdc01.dcc.med.osaka-u.ac.jp/redcapにアクセス。日本補体学会用REDCap入力マニュアルを参考に入力開始。

※詳しくはこちらのファイルをご覧下さい

  • REDCapユーザー登録から入力までの流れ(PDF)
  • 初回ログイン時用マニュアル(PDF)
  • 日本補体学会用REDCap入力マニュアル(PDF)
↑ページのトップへ

サポートチーム

血栓性微小血管症 (TMA) サポートチーム

日高義彦 信州大学小児科(チームリーダー)
澤井俊宏 滋賀医科大学小児科
大塚泰史 佐賀大学小児科
宮田敏行 国立循環器病研究センター
井上徳光 大阪国際がんセンター研究所

補体検査プロジェクトの申請について

2014年度から始まった「新しい補体検査システムの構築による補体関連疾患の包括的登録と治療指針確立」事業が、ようやく軌道に乗り、最初に血栓性微小血管症(TMA)に対する検査体制が構築され、補体タンパク質検査・補体関連遺伝子検査等が2015年12月より始まりました。
 この度、他の補体関連疾患の検査体制を新たに確立するために、それらの補体検査プロジェクトを申請・承認するシステムを構築しました。

※詳しくは下記をご覧下さい

↑ページのトップへ

お知らせ

サポート企業

本検査体制の構築には、以下の企業からのサポートにより成り立っています。

アレクシオンファーマ合同会社
CSLベーリング株式会社

現在、炎症性の難治性疾患の原因の一つとして、補体系の関与が強く疑われています。しかし、補体関連検査が十分でないために、診断がつかず、治療への遅れが出ています。今後、さらに補体検査体制を充実させるためには、多くの企業のサポートが必要です。
補体関連疾患の検査体制の充実と新規研究開発の充実のサポートにご興味のある企業は、一般社団法人日本補体学会事務局 (e-mail: hotai-gakkai@umi.ac.jp) まで是非ご連絡ください。

神戸常盤大学の補体異常を示す症例解析の終了について

 これまで補体異常を疑う臨床症例についての補体学的な解析の相談や補体成分の測定などを神戸常盤大学・保健科学部・医療検査学科の補体チームが、お引き受けしていましたが、平成27年3月をもちまして終了しました。これまで、ボランティアで測定を実施してきましたが、補体各成分の活性測定に必要となる試薬の入手が困難なこと、測定者の大学での業務が過密なこと、責任者の退職などで、測定を継続することが困難となりました。
なお、すでに測定の結果をご報告した症例について、ご質問がある場合は以下にご相談ください。

神戸常盤大学・保健科学部・医療検査学科    
〒653-0838 神戸市長田区大谷町 2–6-2    
TEL:078-611-1821  FAX:078-643-4361

助教  北野 悦子   E-mail:e-kitano@kobe-tokiwa.ac.jp

↑ページのトップへ