会長挨拶
会長 池内 健
新潟大学脳研究所 遺伝子機能解析学分野 教授
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第44回日本認知症学会学術集会の会長を拝命しました新潟大学の池内です。学術集会を開催するにあたり、一言ご挨拶申し上げます。学術集会の会期は、秋の深まりを感じる2025年11月21日(金)~23日(日)、会場は新潟市の朱鷺メッセになります。本学術集会のテーマは「共生社会の構築に向けて No one left behind」としました。認知症の共生社会の構築に向けて、私たちがどのような貢献ができるのかを考える機会になることを願っております。学術集会のポスターは「誰一人取り残すことなく、多職種で力をあわせて共生社会の構築を目指す」、そのような願いを込めて作成しました。
私が初めて認知症学会(当時は、痴呆学会と呼ばれていました)に参加したのは、2003年の第23回大会でした。当時、私は留学から帰国したばかりで、認知症領域での知り合いがおらず、不安を感じながら学会に参加したことを思い出します。それ以降、毎年認知症学会に参加しており、多くの方と知己を得ることができました。私自身、認知症学会に育てていただいたといっても過言ではありません。認知症学会が、年々学際的に大きく発展している中、脳研究の長い歴史のある新潟の地で本学術集会を開催できるのは、大変光栄なことと感謝しています。
2023年末に初めての抗アミロイドβ抗体薬が臨床実装され、認知症の診療は新たなステージを迎えています。アミロイドPETや脳脊髄液検査が保険収載され、血液バイオマーカーの臨床実装も着実に近づいています。このような最先端の知見を学術集会で共有するとともに、新たな診断技術や治療法を、認知症の方やご家族に本当の意味で役立てるためには我々は何をすべきか議論したいと思います。また、認知症の医療に次なるブレークスルーをもたらすためには、多様な基礎研究を推進することが重要であり、本学術集会における大きなミッションと考えています。さらには、認知症の予防やリハビリテーション、そして介護やケア、社会的側面まで幅広いトピックスを取り上げます。一般演題では、メディカルスタッフが応募できるカテゴリーを追加しました。ご参加の皆様におかれましては、ご自分の専門のセッションのみならず、専門外のセッションにも積極的に足を運んでいただき、認知症をめぐる多様な研究の進歩を感じていただけましたら幸いです。
多くの方に現地参加いただき、新潟の秋の味覚と銘酒を楽しんでいただければありがたく思いますが、ご都合によりオンラインでのご参加となる方もおられるかと思います。第一会場は、ハイブリッド開催としてライブ配信をいたします。また、学術集会終了後には教育講演、シンポジウムを中心にオンデマンド配信を行います。皆様の本学術集会へのご参加を心からお待ち申し上げます。