ちょっと待て、ファイト一発・ペットボトル

H23.6/1記載

難民キャンプや下痢等の脱水で推奨されている経口補液は、水分とミネラルの補給に有用であることは否定しないが、児童・生徒が課業にて、それ程の極限状態に追い込む事は、教育的配慮を欠いた虐待だろう。

米国小児科学会によると、栄養ドリンクやスポーツ飲料は推奨しないこととした。学会誌ペディアトリックスに2011年5月29日に掲載された(doi: 10.1542/peds.2011-0965) 。
水以外の成分については通常の食事で摂取するべき物で、運動中は自分の好きな時に好きなだけ安全な水を呑めるように配慮すべきであるとしている。
ミネラル(ナトリウムなど)やビタミンは通常の食事だけで十分としている。
糖分については、肥満や齲歯の原因になるので回避すべきとしている。
アミノ酸についても通常の食事でバランス良く食べるべきで、特定の成分を偏って摂ることに対する弊害を危惧している。

この夏、冷房を控えて脱水にならないようにスポーツ飲料を摂りすぎると、
糖尿病性昏睡などが多発する事が危惧される。
昏睡に到らなくても、糖尿病やその手前にあるメタボの場合は、高血糖により利尿が促され、却って脱水になる恐れもある。
誤用濫用は戒めるべきである。

通常の食事から塩分をとれば、ホメオスターシスが維持されている健康なヒトなら、電解質異常は起きにくい。トップアスリートは体重制限を行うために、必要な塩分等を取れない状況に追い込まれている。そのためスポーツ飲料として必要とする場合があるのは否定しないが、通常の食事をとれていれば、不必要である。日本人の平均食塩摂取量約11 gは、ナトリウム約4000 mgであるが、厚労省は男性 9 g 女性 7.5 g、高血圧の患者は5gを推奨している。北米ではもう少し厳しい。米国成人のナトリウムの推奨摂取量は、1500mgから2300mg(食塩相当量にすると3.8gから5.8g)とされているが、平均的な米国人は1日にナトリウムを3400mg(同8.6g)以上とっている。
1dlあたりナトリウムを、ポカリスエットは49mg(食塩0.12g)、アクエリアスは34mg(食塩0.08g)含んでいる。1缶が350mlなら食塩0.44g、500mlのロング缶なら0.6gである。折角減塩しようとしているのに足してどうする?汗で塩をせっかく追いやったのにまたとるのでは運動による生活習慣病に対する良い影響が打ち消されてしまう。
通常の生活では食べた塩分の殆どは尿に排泄される。もし汗で失われても、尿からの排泄を抑える事で、体内のナトリウムが低下しない。汗の塩分量は1Lで食塩1g程度である。体重が運動後あるいは熱暑での労働後、2%や3%減少する様ならば塩分を改めて摂取することも考慮しても良いが、先に言ったように、5g余計に塩分を取っているのが日本人であるので、1%くらいの発汗=体重減少に対しての塩分補給は考慮しなくても良い。考慮しなくて良いのでDAKARAには「脂質・糖質・食塩ゼロ」で入っていない。糖質も入っていない。
塩分摂取を考慮すべき場合は、下痢等の体液喪失であり、その場合は経口補液を交えるが下痢では今度はポカリスェットでは薄すぎる。

米国の小児科学会は子供の肥満に注目していて、学校で売る牛乳は無脂肪か低脂肪にするように勧奨しているくらいである。運動を取り入れるのは体重をコントロールするためでもあり、それを打ち消す様なカロリー摂取には否定的である。
ポカリ1缶350mlは94.5kCalでロールパン1つと同じである。ラジオ体操30分、平泳ぎ10分のカロリー消費相当する。
下痢で食べられない子供や高齢者の養分補給には致し方ないとしても、食事に重ねるのには多すぎるカロリーである。まして、運動して減量して高脂血症や糖尿病をコントロールしようとする成人には全く不向きである。

タンパク質については、肉体労働や激しいスポーツをする成長期の子供には1.2gから2.0g/体重kgの摂取が求められる。
しかし、それは通常の食事で摂る事が求められる。腎障害の進行などのリスクもあるので、生活習慣病を抱える成人は1~0.8g/kgに抑えた方が良い。
血管拡張作用(アルギニン)や脂肪代謝促進(カルニチン)は大規模な検証試験は経ていない。タウリンはカフェインに似た作用があり、「低Ca2+状態では陽性変力作用を、また高Ca2+状態では陰性変力作用を示したことから、タウリンは細胞外液中のCa2+濃度に応じて二相性の作用を示しCa2+modulatorとしての役割を果たす」と大正製薬の添付文書にも記載されている。効能としては心不全の適応があるが実際に処方されていないから、薬効はなかろうと安心するか?それとも強心剤を使って良い物だろうかと立ち止まるかはヒトぞれぞれではある。カフェインが血管収縮を起こすように、タウリンも冠動脈の攣縮を起こす可能性があるので、やはり偏ったアミノ酸摂取で、薬効が出る程のアミノ酸摂取を行うのは、好ましくないと考えられる。特に、レッドブルのような栄養ドリンクではカフェインとアルコールが併用になる事が多いので、催不整脈などが危惧される。同じ1本でも体重の少ない学童では体重あたりの摂取量が多くなる。日本製のレッドブルではタウリンが除かれているが、欧州ではアルコールとの併用も含めて注意喚起がなされている。

ビタミンについては、二面性がある。一つは商品である食品の変性を抑えるために抗酸化作用を利用するというもの。リンゴジュースが茶色にならないようにビタミンCを加える様な場合である。
一方で、通常の食事が摂れていればビタミンを食事以外から摂取する必要はない。糖質が多過ぎて糖質の代謝に必要なビタミンが不足する様な場合・脚気や壊血病なら、それこそ糖質の塊であるスポーツ飲料や栄養ドリンクを止めて普通の食事に戻さないと不健康という物である。
抗酸化作用があるビタミンは色々あるが、ビタミンである必須作用に抗酸化作用そのものは含まれておらずビタミンの本態ではない。サプリメントとして摂取して動脈硬化疾患が減るどころか増えたり腎機能が落ちたりインスリン抵抗性が改善し無かったり、薬物としてのビタミン摂取が体のためになるというのは伝説に過ぎない。

カフェインやガラナといった興奮剤の摂取は小児にとっては言わずもながである。アドレナリン様作用で有酸素運動中の代謝率をあげるが、利尿作用があるので脱水は促進する方向がある。一過性に精神を昂らせて疲労を忘れさせるが、コーヒー同様に心理的な依存や、中断後の頭痛や不安の増加など身体的な依存も生じさせる。
コーヒー1杯は60mgのカフェインが入っている。コーラでは350mlに34mgとされている。
カフェインも問題だが、されにエフェドリンなどの興奮剤が「憧れのスポーツ選手」の愛用品だったりすると、子供は手を伸ばしがちになる。
風邪薬遊びということでは実際に死亡例もあり、そうでなくても子供で急死の中に服用の重複や用量の間違いがある。タミフルの様に新薬ばかり目の敵にされるが、麻黄を含む漢方は中枢神経や心血管への作用を持っていることを忘れては逝けない。そこに、先ほどのタウリンの様な成分が複合してくると、一つ一つは安全でも、「過失の競合」となってしまう。
ハーブ系だから安全とかいうことも無いのである。

温度や湿度をみて、練習の中止や、練習中の休憩時間を長くとる事、こまめにとる事。
日陰をつくり、通風を良くする。換気扇や扇風機を十分使う。
それが、作業管理や作業環境管理が、特定の銘柄の熱中症対策飲料や食品の優劣より、百倍も千倍も必要な配慮なのだ。


騙して合点

H23.7/14記載

2011年7月13日の騙してガッテンは、いつもの様に酷かった。
前半は調子良かった。幾ら暑い部屋に居ても汗で出る塩は1-2g/日程度だから、日常生活(家事や事務)なら塩分補給は必要ない。そして、高血圧学会の注意事項を説明してくれていた。[夏の水分と塩分摂取についてのお知らせ]

血圧が正常な人も高血圧の人も,水分は十分に摂ることが望まれます。
塩分は高血圧の人は夏でも制限することが望まれます夏は発汗により塩分(ナトリウム)やカリウムなどのミネラルもいくらか失われますが,日本人の食塩摂取量は平均1日10グラム以上と多く,必要量(1日1グラムほど)をはるかに超えています。
高血圧の人は,原則としては夏でも塩分は制限すべきで,食塩摂取は1日6グラム未満が望まれます。
高血圧の人は,塩分の補給は控えめにすることが望まれます。通常の食事を摂っている方は,意識的に食塩摂取を増やす必要はありません

しかし、後半戦は怠かった、牛乳を勧め出したのである。乳糖不耐性なら下痢になり脱水に繋がる。高脂血症は酷くなる。血糖は上がる。
トレーニングした後で牛乳を飲むとアルブミンが増えるから血漿循環量が維持され脱水になりにくい?
腎不全の患者が、肝不全の患者が、蛋白制限を忘れて、成長期の高校生並みにガブガブ呑んだら駄目でしょう。
トレーニングとセットというのは、老人の耳には届かない。
糖尿病や高脂血症の食事療法では、良質なタンパク質でカルシウムの補給にもなるので、1単位(200ml程度)の牛乳かヨーグルトを勧めてはいるが、それも水分補給の手段や熱中症の予防を押し出して、幾らでも呑め、そういう性格の物ではない。そして、高齢者に多い腎機能障害の場合には単純に高タンパクを勧められる物ではない。
そして肥満防止の為に、白人の国では成分無調整の牛乳は、子供の給食には出さないくらい、高脂肪なのである。


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