風邪薬は早く治す薬ではありません

幼児用の薬の飲み合わせには注意しましょう by 米 FDA H18.1/12 週刊MMWR

 子供は薬の代謝が活発であるが、それでも小さいので用量は少ない。合剤は便利、イ、ロ、ハとニとか4つ呑まないで一緒になっているから。でも 気を付けるべきなのは、「風邪薬」という単独成分の薬は無いというyこと。多くは「配合剤」であり、解熱(アセトアミノフェンなど)、鼻水止め(抗ヒスタ ミン剤など)、咳止め(エフェドリンなど)が含まれている。何とかとかんとかと2つの風邪薬を一緒に飲んでも含まれる成分に違いがないこともあり、投与量 が単純でないが、2倍になってしまうようなこともある。
米CDCが今回乳児の風邪薬の服用後の死亡について警告をだした。 2005年に2つの州から、3件の死亡が、検死官などから報告され た。
咳止めの麻黄や片仮名で言うとエフェドラの仲間のpseudoephedrineが4,743から 7,100 ng/mLの高濃度で含まれていた。米国の2-12才の基準では投与後の血中濃度の標準は180-500ng/mlなのでかなりの濃度である。このうち2 症例では、処方された薬と店頭の売薬を同時に飲んでいたと言うことで、店頭の薬は2才未満の投与を想定していないので1回投与量は乳児には多かったのであ ろうし、同じ成分が医院からの処方薬に含まれていれば至適用量であったといえども2倍にはなっていたので、中毒域に達していた可能性は否定できない。
気分を高揚させるために乱用したり、やせ薬として知らずに摂取して、心臓発作やけいれんなどを起こし、東 京都や日本の厚労省からも注意書きが出 回っている。そもそも、覚せい剤の原料でもあり、劇薬にも指定されている。
麻黄は漢方の咳止めの中にも入っている。天然だからという、不用意な発想から、小児や適切でない患者への風邪薬の投与は慎みたいものであろう。

幼児用PLは「2 歳未満の乳幼児には投与しないこと記載H18.7/28」

風邪薬は鼻水を止めたり、熱を下げたり、症状の緩和に用いるもので、原因を除去する訳ではありません。沢山呑んだり、早く呑めば、「治る」訳ではあ りません。症状がとれて無理が利くだけで、その結果呑んだ人があちこちで向いて、感染を拡げる可能性も出てきます。昨年、 米NEJM誌に、鼻水止めの抗ヒスタミン剤塩酸プロメタジンの副作用が掲載された(Strake et al. )。これは、眠気を催すのだが、眠気の次に中枢性の呼吸抑制も来すようで、その結果、1969 ~2003年の間に、22例の呼吸抑制が報告されていた。22名のうち7名は2歳未満で、少ない量といっても副作用を生じている事もあった。副作用を起こ した例での投与は0.45~6.4 mg/kgで、9人/22例の塩酸プロメタジン投与量は1mg/kg以下であった。これを受けて2006年4月FDAは注意喚起した(FDA)。
幼児用PLにはメ チレンジサルチル酸プロメタジンとして2.25mg(塩酸プロメタジン換算0.54mg/幼児用PL1g)含まれている。能書[pdf] にも2歳未満の乳児の用量は設定されていないが今回の安全性情報による注意喚起に至った(医薬品・医療機器 等安全性情報226号)。

[][痛みとお母さん] [子供に栄養ドリンクは禁止]


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