主訴からirAEを検討する|発疹・水疱の場合
irAEではないかと考えたパターン
手順1
【主訴から想定する疾患】(手引書P.5-6)の主訴から該当する項目「発疹・水疱」にチェックします。主訴から想定する疾患として、「インフュージョンリアクション、皮膚障害」があることを念頭におきます。。主訴「発疹・水疱」が分類されている症状(皮膚障害)について、手順2でさらに検討します。
手順2
手順1でチェックした主訴(発疹・水疱)が分類されている症状(皮膚障害)に関する【症状別のStep3】(手引書P.21-22)で、さらに検討してください。
- ・「レッドフラッグサイン」に該当する症状はないか
- ・Step1:irAEを見逃さない
- ・Step2:irAEと決めつけない
- ・Step3:対応が後手に回らない
の順に検討していきます。
該当しないことを確認します。
「発疹・水疱」について、症状の部位と範囲の確認します。
レッドフラッグサインに該当する場合は、鑑別前でも皮膚科専門医への相談を考慮します。
参考資料:多形紅斑型薬疹(EM)の皮疹の見方と重症度判定、および免疫チェックポイント阻害薬(ICI)使用に関連したEMと重症薬疹での診療の手引き :重篤副作用疾患別対応マニュアル(スティーブンス・ジョンソン症候群、多形紅斑、中毒性表皮壊死融解症)
チェックを入れた症状に対して、見逃してはいけない疾患に○印が付いています。
患者に認められる症状「皮膚の変色、水ぶくれ、皮疹」にチェックし、いつから症状があるのか、増悪しているかを確認します。特に見逃してはいけない疾患として、「SJS、TEN」が挙げられるため、これらの可能性がないかを確認します。
該当する症状にチェックし、irAE以外の疾患(基礎疾患の再発・再燃、他の疾患)の可能性がないかを検討してください。
主訴「発疹・水疱」の場合、基礎疾患の有無、骨髄移植後のGVHDの可能性がないかを検討します。また、「ICI以外に併用している薬剤の確認」では、ICIが投与薬剤の皮膚症状を修飾、重症化させる可能性があるため、注意が必要です。
疑ったirAEの対応が遅れないよう、検査漏れがないかを確認します。
疑ったirAEに関連する検査で未測定のものがあれば、測定依頼を検討します。
これらの検査項目と【専門医へ引き継ぐまでの間に実施を考慮する追加検査】(手引書P.9-10)から総合的に検討してください。
皮膚生検を救急外来で行うのが困難な場合、施設内の担当医へ依頼してください。