Saitama Society of Oncological Pharmacotherapy

主訴からirAEを検討する|下痢の場合

irAEによるかと思ったら違う疾患が疑われた場合

【患者さんチェックリストから想定する疾患】(手引書P.26)を患者から電話連絡を受けた際に使用します。


手順1

【主訴から想定する疾患】(手引書P.5-6)「下痢」にチェックします。想定される疾患には○印がついているので関連性を検討してください。主訴「下痢」の場合、「下垂体機能低下、甲状腺機能亢進症、副腎機能低下、悪心・嘔吐、下痢・腸炎、膵炎・膵機能低下」が想定される疾患です。


手順2

手順1でチェックした主訴(下痢)が分類されている症状(消化器症状)に関する【症状別のStep3】(手引書P.17-18)で、さらに検討してください。

  •  ・「レッドフラッグサイン」に該当する症状はないか
  •  ・Step1:irAEを見逃さない
  •  ・Step2:irAEと決めつけない
  •  ・Step3:対応が後手に回らない

の順に検討していきます。

該当しないことを確認します。

「1日4回以上の下痢をしている」「数日間、下痢が止まらない」「(ストマの場合)すぐに袋が一杯になってしまう」の場合は、鑑別前でも緊急対応を考慮します。


チェックを入れた症状に対して、見逃してはいけない疾患に○印が付いています。

「下痢」にチェックし、いつから症状があるのか、増悪しているかを確認します。下痢で特に見逃してはいけない疾患として、「下垂体機能低下、甲状腺機能亢進症、副腎機能低下、悪心・嘔吐、下痢・腸炎、膵炎・膵機能低下」が挙げられるため、これらの可能性がないかを確認します。


該当する症状にチェックし、irAE以外の疾患(基礎疾患の再発・再燃、他の疾患)の可能性がないかを検討してください。

主訴「下痢」の場合、免疫チェックポイント阻害薬以外の薬剤による可能性や、食物・動物由来の消化管感染症の可能性、既往に消化管疾患がないかを検討します。

今回の聴取で、酸化マグネシウム錠の内服と、数日前に生ものの摂取をしていたことが判明しました。


疑ったirAEの対応が遅れないよう、検査漏れがないかを確認します。

疑ったirAEに関連する検査で未測定のものがあれば、測定依頼を検討します。

これらの検査項目と【専門医へ引き継ぐまでの間に実施を考慮する追加検査】(手引書P.9-10)から総合的に検討してください。