ホーム > プリオン病/SSPE/PMLとは > 進行性多巣性白質脳症(PML) > 進行性多巣性白質脳症の第二次全国疫学調査結果

進行性多巣性白質脳症(PML)

進行性多巣性白質脳症の第二次全国疫学調査結果

1999~2004年に発症したPML患者の第二次疫学調査を行った。症例数は計32例、確実14例、ほぼ確実15例、疑い3例であり、基礎疾患としてエイズが11名(35%)、非エイズが21名(65%)であり、年度別ではエイズが漸増傾向にある。発症年齢は25~77歳、平均53歳。経過は81%の患者で進行性経過をとり、16%で進行停止ないし改善をみた。非エイズ患者の発病からの生存期間は1~75ヶ月(中間値7ヶ月)、エイズ患者では2~51ヶ月(中間値14.5ヶ月)であり、非エイズ患者では21名中18名、エイズ患者では11名中4名が死亡しており、それらの生存期間は平均10ヶ月、6.3ヶ月であった。初発症状は運動麻痺、認知機能障害、失語症、視力障害が代表的で、経過とともにそれらの頻度が増加するとともに多彩な症状が出現し、無動・無言状態化する。画像検査ではほとんど大脳初発であった。検査所見では髄液細胞数の増加例はほとんど無く、蛋白増加も軽度上昇例が1/3例にみられたに過ぎない。エイズ患者ではCD4(+)リンパ球数の平均値66/μlと高度の免疫不全状態で発症していた。治療面ではエイズ関連PMLでは高活性抗レトロウイルス療法(HAART)を行った9例中7例(78%)が1年以上の延命効果を示したが、非エイズPMLではインターフェロンα、副腎皮質ホルモン大量療法、免疫グロブリン療法は無効で、Ara-C投与1例で1年8ヶ月生存が得られ、膠原病では原病コントロールで59ヶ月、72ヶ月生存を認めた2例がある。

PMLの基礎疾患

年度別発生件数

〈難治性疾患克服研究事業〉プリオン及び遅発性ウイルス感染に関する調査研究班(水澤班)
PML分科会分担研究者:岸田修二・作成(平成18年2月)

このページの先頭へ