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メンデル講演会

第10回 和田賞・キトロギア奨励賞受賞講演会

(公財)日本メンデル協会 主催

   日時:2023年10月21日(土)13:30~17:30
   会場:東京大学・理学部2号館・大講堂(4F)

   開催形式:現地とオンラインのハイブリッド開催
   参加費:無料・事前登録制 (10月20日金曜正午申し込み締め切り)
   登録:現地参加もオンラインもいずれもHPの申込フォームよりお申しみください。 
   対象:ご興味やご関心のある方 (高校生、大学生、院生、一般の方々)
   運営:大会会長・風間裕介(福井県立大学)、大会実行委員長・吉田大和 (東京大学)
     
第10回和田賞講演会

<プログラム>
【はじめに】(13:30~13:40) 
   ご挨拶   
     河野重行(日本メンデル協会会長・東大名誉教授)[10min]

【メンデル協会より】(13:40~13:50)  
   キトロギア A to Z
    風間裕介(キトロギア編集委員、福井県立大学)[10min]

【奨励賞受賞講演】(14:20~15:20)
   植物細胞における転写活性領域の観察        
    澁田未央 (山形大・理) [30min]

   植物細胞の極性化と形態形成の画像解析 
    檜垣匠 (熊本大・院先端科学) [30min] 
 

【和田賞受賞講演】(15:30~16:20) 
   重イオンビームを用いた変異誘発法の開発
   ―物理学者との楽しく実りある研究生活―   
    阿部知子 (理研・仁科センター)[50min]


【おわりに】(16:20~16:30)
    松永幸大(東京大学・院新領域・先端生命)[10min]

【茶話会】(16:30~17:30)2階ラウンジ



*ポスターは、上の画像を直接クリックすると拡大し、またダウンロードもできます。

注1)事前登録の〆切は2023年10月20日(金)正午です。
注2)ポスター左のQRコードの登録サイトから登録しますと、ZoomのURLを後日送信いたします。
注3)東京大学の会場担当は吉田大和と茂木祐子です。日本メンデル協会の担当は幸光萬里と狼美保子です。
   ご不明の点はホームページをご覧になりお問い合わせください。

第9回 和田賞受賞記念講演会

新春講義「20億年前の細胞誕生からあなたまで」

(公財)日本メンデル協会 主催
機能性バイオ共創コンソーシアム 共催

   日時:2023年1月7日(土)13:00~15:00
   配信:東京大学・理学部2号館・大講堂(4F)よりオンライン
   参加:無料・事前登録制(HPの申込フォーム) 
   締切:ウェビナー開始時間まで
   対象:ご興味やご関心のある方 (高校生、大学生、院生、一般の方)
   後援:和田薫幸会、黒岩同門会 
     
第9回和田賞講演会

<プログラム>
13:00~13:10
 はじめに―キトロギアと和田賞について―   
   河野重行(日本メンデル協会会長・東京大学名誉教授)

13:10~13:30
 シゾンで真核生物の謎を解く   
   吉田大和(東京大学・大学院理学系研究科・准教授)

13:30~13:50
 シゾンと動物培養細胞を用いた二次共生の人工的構築       
   松永幸大(東京大学・大学院新領域創成科学研究科・教授)

13:50~14:00 休息(10分)
  

14:00~14:50
 和田賞受賞記念講演
 20億年前の細胞誕生からあなたまで
  ―ミトコンドリア、葉緑体、ペルオキシソームの分裂装置の発見と遺伝の分子機構の解明から―  
   黒岩常祥(日本学士院会員・東京大学名誉教授)



*ポスターは、上の画像を直接クリックすると拡大し、またダウンロードもできます。

注1)事前登録の〆切はウェビナー開始時間までです。
注2)上の申込フォームより登録しますと、ウェビナーのURLを自動送信いたします。
注3)講演会場は東京大学・理学部2号館・大講堂(4F)ですが、一般参加はなしで、
       オンライン配信のみといたします。
注4)機能性バイオコンソーシアムの担当は細川聡子と八木洋子です。日本メンデル協会の担当は
      幸光萬里と狼美保子です。ご不明の点はそれぞれのホームページをご覧になりお問い合わせください。

令和4年 (2022) 第19回メンデル講演会

(公財)日本メンデル協会 主催
長野県下諏訪町 共催
 駐日チェコ共和国大使館 後援
チェコセンター東京 後援


今年は特別展「メンデル生誕200年」を諏訪湖博物館で7月16日(土)~8月21日(日)に開催します。今年の第19回メンデル講演会は、特別展「メンデル生誕200年」のイベントとして開催します。 詳しくは「メンデル生誕200年」のページをご覧ください。

 日時:8月20日(土)13:30~16:30
 会場:下諏訪総合文化センター・小ホール (会場は従来通りですのでご注意ください)
 司会:河野重行(日本メンデル協会会長)

 草場 信(広島大学教授) メンデルの遺伝子
 澤村京一(筑波大学准教授) メンデル遺伝の近代化― 百年前の遺伝学
 小出 剛(国立遺伝学研究所准教授) 新たな遺伝学― 行動や性格は遺伝するのか?


メンデル講演会への参加は当日参加も受け付けますが、コロナ感染症対策もありますので、(1) 諏訪湖博物館に電話(0266-27-1627)でご予約いただくか、(2)このサイトで事前にオンライン登録してくださるようお願いいたします。オンライン登録が完了しますと事前にリマインダーなども送らせていただくこともできます。

第19回メンデル講演会
   *ポスターはここからダウンロードできます。
   *また、右の画像を直接クリックしてもダウンロードできます。

 

<今回の講演要旨>

メンデルの遺伝子

草場 信先生(広島大学教授)

メンデルが遺伝の法則の発見に用いた7つの「メンデルの遺伝子」の実体は科学者の興味を引いてきましたが、いまだに明らかになっていないものが少なくありません。本講演では、まず、皆さんにメンデルが発見したことについて、もう一度思い起こしてもらいながら、「メンデルの遺伝子」に関してこれまでに分かっていることをご紹介します。また、メンデル自身は解析することがなかった遺伝の法則の「例外」についても解説したいと思います。

メンデル遺伝の近代化ー百年前の遺伝学

澤村京一先生(筑波大学准教授)

メンデルの遺伝法則は人々にすんなりと受け入れられたわけではありません。1900年に再発見された後も、紆余曲折がありました。ベートソンはメンデル遺伝の伝道者であり、すべての遺伝現象をこの法則で説明しようとしました。一方、モーガンはメンデル遺伝に懐疑的だったのですが、ショウジョウバエの白眼変異を見つけて転向しました。2人は当初ことごとく意見が対立し、同じ現象から違った解釈を導き出すこともありました。この講演では、2人の対立を通して近代遺伝学確立の歴史を紹介します。

新たな遺伝学― 行動や性格は遺伝するのか?

小出 剛先生(国立遺伝学研究所准教授)

皆さんは、「お友達の社交的なところが親御さんにそっくりで、遺伝の影響を考えた」なんてことはないでしょうか? では、実際に行動や性格は遺伝するのでしょうか? 実はこの問題、メンデルの法則による明確な説明はできないのです。では、行動や性格の個人差は、どのような遺伝的しくみによりつくられているのでしょうか? これまで、行動や性格の遺伝子を探す試みが数多く進められてきました。この講演では行動や性格はどのような性質のものなのか、その遺伝的しくみを明らかにするための研究はどのように進められてきたのかを概説して、私たちがこの遺伝の問題をどのように理解すべきかお話ししたいと思います。


令和3年 (2021) 第18回メンデル講演会


第18回メンデル講演会 11月28日(日) 13:30~  下諏訪総合文化センター
教科書とは一味違うメンデル遺伝学
  河野重行先生(日本メンデル協会会長・東京大学名誉教授)

中学や高校の理科の教科書は難しくなる一方です。「メンデル遺伝学」を中学3年で習うようになっているのを知っていましたか? 皆さん「生物は好きだったけれど遺伝の授業から嫌いになった」という方が多いようです。そこで、今回は、教科書には書いていない「メンデル遺伝学とっておきの話」をしましょう。「蘭の受粉」から始まって、「エンドウ」の話も出てきます。ウマやロバ、ヒトの遺伝もあって、太鳳ちゃんも出てきます。化け猫やシッポの短いネコ、黒ラブ(ラブラドール・レトリバー犬)の遺伝も紹介しましょう。

健康寿命を延ばす食と運動のコツ
  石浦章一先生(東京大学名誉教授)

平均寿命が延びると、それに比例して自立した生活ができる期間、すなわち健康寿命も延びます。困ったことに、日常生活に支障が出る期間も延びることが分かっています。健康寿命をできるだけ平均寿命に近づけるためには、毎日の節制(すなわち食と運動)が大切であることははっきりしています。今回の講演では、元気に過ごすための食べ物の選択、そして誰でもできる運動についてお話します。もう1つ大切なことがありますが(頭を鍛えること)、これは誰でもできるとは限りません。今回は特別にその秘訣を紹介します。

第18回メンデル講演会

  *右のポスター画像をクリックするとダウンロードできます。


令和2年 (2020) 

令和2年は新型コロナウィルス感染拡大防止のため中止しました。なお、来年度は開催予定です。

令和1年 (2019) 第17回メンデル講演会


第17回メンデル講演会 11月23日(土) 13:30~15:30  下諏訪総合文化センター
染色体異常をみつける
  (国研)量子科学技術研究開発機構・高度被ばく医療センター 數藤由美子先生

私たちは普段から放射線にさらされて暮らしていますが、放射線事故ではより大きな線量の放射線を被ばくすることがあります。被ばくによって生じた染色体異常の多さは放射線量と関係性があるので、染色体を検査することで、個人線量計を身につけていなかった人についても線量を推定することができます。今回は、線量推定に役立つ染色体異常をどのようにして検出するのか、人工知能などを導入した最新の技術開発を交えてお話します。

日本メンデル協会の創始者篠遠喜人博士の肖像
  東京大学名誉教授・法政大学名誉教授 長田敏行先生

下諏訪町出身の篠遠博士は、日本で最初の遺伝学研究室である東大藤井健次郎博士の下で学ばれ、遺伝学の振興にあたられました。特に、遺伝学創始者メンデルの活動が、日本では余り知られていないことに思いを寄せ、メンデルの活動の詳細を広く知らしめることに意を配りました。その結果、1984年に日本メンデル協会を創立し、講演会を行うとともに国際科学雑誌キトロギアを刊行しています。これらの現状を紹介し、併せて今後の展望と課題について話題を提供します。 

メンデル講演会の様子

メンデル講演会の様子(下諏訪総合文化センター) 


第2回 キトロギア創刊90周年記念講演会およびキトロギア奨励賞受賞講演会

第2回キトロギア創刊90周年記念講演会およびキトロギア奨励賞受賞講演会

生命科学の継承とその営み

ーキトロギアが育んだ最新研究とメダカの染色体―

日時 :2019年 6月22日(土)15 :00 ~17 :45
場所: 東京大学・理学部2号館・大講堂(4F)本郷キャンパス
※本郷三丁目駅(地下鉄大江戸線駅より徒歩6分、丸の内線駅より徒歩8分)
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/campus-guide/map01_02.html


主催 :(公財)日本メンデル協会
協賛 :(一財)和田薫幸会
後援 :(公社)日本植物学会
*右のポスターは、ここからダウンロードできます。

はじめに
      河野重行(日本メンデル協会会長・ 東京大学名誉教授 )(15:00 ~15:05)

キトロギア90年の歴史と染色体研究
       日詰雅博(キトロギア編集長・愛媛大学名誉教授)(15:05~15:15)

<キトロギア奨励賞受賞講演>

     染色体の観察と分析を通じた高等植物の種分化と分類への新たな視点(15:15~15:40)          佐藤杏子(富山大学・理学部・研究員)

     色素体とミトコンドリアの分裂リング:その構造と分子機序の解明へ向けて
                                (15:40~16:05)
        吉田大和(東京大学・大学院理学系研究科・准教授)


休息(10分)


<90周年記念講演>

       ゲノム多様性からヒトの進化史を解明する(16:15~17:00)
         大橋 順(東京大学・大学院理学系研究科・准教授)

  脊椎動物における性決定機構の多様性と進化

   ーダイナミックに入れ替わるメダカ性染色体の謎を追ってー(17:00~17:45)

      酒泉 満(日本メンデル協会理事・新潟大学名誉教授


第1回キトロギア創刊90周年記念講演会および和田賞受賞記念講演会


生命科学の継承とその営み

ー細胞遺伝学が育んだ植物研究の歴史と成果 ー

日時 :2019年 3月30日(土)15 :00 ~17 :30
場所: 東京大学・理学部2号館・大講堂(4F)本郷キャンパス
※本郷三丁目駅(地下鉄大江戸線駅より徒歩6分、丸の内線駅より徒歩8分)
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/campus-guide/map01_02.html


主催 :(公財)日本メンデル協会
協賛 :(一財)和田薫幸会
後援 :(公社)日本植物学会 ・横浜市立大学木原生物学研究所

・はじめに―キトロギア創刊 90 周年について―
       河野重行(日本メンデル協会会長・ 東大名誉教授 )15:00 ~15:10


・Cytologia Focus から見る植物染色体の最新研究
       松永幸大(東京理科大学・理工学部・教授 ) 15:10 ~15:30


・イネの遺伝と進化 ―お米の品質, トランスポゾン, 形態形成から考えるー
       平野博之 (東京大学・ 大学院理学系研究科・教授) 15:30 ~16:10


・休息(10分)


・キトロギア前史 ―メンデルからキトロギアの時代までー
       長田敏行( 東京大学名誉教授 ・法政大学名誉教授)16:20 ~16:40


和田賞授賞講演会

   近代コムギ遺伝学の曙
   ーコムギ細胞遺伝学の幕開けに寄与したコムギ系統の来歴 ー
       常脇恒一郎(日本学士院会員・京都大学名誉教授)16:40 ~17:30

講演の様子

理学部2号館大講堂での講演の様子 


平成30年 (2018) 第16回メンデル講演会

メンデル講演会   11月24日(土)13:30~

記憶力を鍛える
東京大学名誉教授・同志社大学生命医学部特別客員教授 石浦章一先生

私たちは自分では気づかないペースでゆっくりと老化している。今回は「記憶力を鍛える」という話題でお話ししますが、「なぜ覚えられないか、記憶には種類があるか、遺伝子はこれらにどう関係しているか、記憶力を増進させることはできるのか」などについてお話しします。特に、普段の運動、食事、サプリメント、薬の良し悪しについても触れたいと思います。

メンデル生誕200年に向けて
東京大学名誉教授・法政大学名誉教授 長田敏行先生

今春3月8日には「国際メンデルデー」がありましたが、その折話題になったのは2022年にはメンデル生誕200年を迎えるということで、これを世界的に祝おうという方向に向かっております。(公財)日本メンデル協会は、第2回の「メンデル特別展」を予定しておりますが、これを通じて、この世界的企画にも参画の予定です。改めてメンデル法則発見の現代的意義を考えてみたいと思います。

平成29年 (2017) 第15回メンデル講演会

メンデル講演会   12月2日(土)13:30~

脳の老化を防ぐ
東京大学名誉教授・同志社大学生命医学部特別客員教授 石浦章一先生

私たちの脳の神経細胞は40歳を過ぎると必然的に減少しますが、過去の記憶は鮮明に保持されております。しかし、老化に伴う高次機能の低下は気がつかないところで起こっております。今回は、その例を提示し、老化を防ぐ方法についてお話し致します。

細胞を視る、測る!
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 馳澤盛一郎先生

メンデルが遺伝の法則を発見する際に用いたエンドウの形質のひとつに青豆形質がありますが、ダイズでは母性遺伝(非メンデル遺伝)する青豆形質も知られています。今回は良く似た形質でありながら全く異なる遺伝様式を持つ両遺伝子の同定と機能についてお話します。

平成28年 (2016) 第14回メンデル講演会

メンデル特別展

日本語版英語版の詳しいご案内

 催しのご案内
   ・ギャラリートーク 10月8日(土)13:30~14:30 「メンデル企画展の意図」
    諏訪湖博物館・赤彦記念館
   ・ギャラリートーク 11月12日(土)13:30~14:30 「メンデル遺伝と私たち」
    諏訪湖博物館・赤彦記念館
   ・メンデル講演会 12月3日(土)13:00~16:00 町民センター(下諏訪総合文化センター)
    講演会の演題は下記をご覧ください
   ・メンデル資料の公開 10月8日~12月18日 DVD
    諏訪湖博物館・赤彦記念館

メンデル講演会   12月3日(土)13:00~16:00

野生メダカの生物学
新潟大学大学院理学研究科 酒泉 満先生

メダカは日本古来の野生生物ですが,日本で開発された研究用の動物として世界的に活躍しています。メダカと日本人の来し方,実験動物としての特徴,系統と分類,雄と雌の違いなどについて分かり易く解説します。

メンデルの遺伝子・非メンデルの遺伝子
広島大学大学院理学研究科 草場 信先生

メンデルが遺伝の法則を発見する際に用いたエンドウの形質のひとつに青豆形質がありますが、ダイズでは母性遺伝(非メンデル遺伝)する青豆形質も知られています。今回は良く似た形質でありながら全く異なる遺伝様式を持つ両遺伝子の同定と機能についてお話します。

放射線の染色体に及ぼす影響
放射線医学総合研究所 数藤由美子先生 

放射線が生体に当たると、遺伝物質の本体であるDNAに傷を与える作用があり、その影響は染色体の異常としても観察されます。今日はさまざまな染色体異常を紹介し、またそれが被ばく放射線量の推定に利用されていることをお話します。

平成27年 (2015) 第13回メンデル講演会

11月21日(土)13:30~

メンデルの遺伝法則発表から150年!
東京大学名誉教授・法政大学名誉教授 長田敏行先生

今年は、メンデルが遺伝法則を最初に発表してから150年目にあたります。メンデル遺伝学は古典的遺伝学ともいわれますが、それは決して古くなってカビの生えたものではなく、現代の分子生物学・分子遺伝学の基礎でもあり、バイオテクノロジーの基礎でもあります。また、メンデル遺伝学は過去に政治の影響を受けたこともあります。これらをまとめて、改めて遺伝学の意義を考えてみたいと思います。さらに、2016年には日本メンデル協会所蔵の資料をもとに、メンデル企画展を準備しておりますので、その準備内容の概観をお伝えしたいと思います。

藻類バイオは何をもたらすか?
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 河野 重行先生

小さな単細胞の藻(微細藻類)を使った食品や化粧品が話題になっています。東京オリンピックには微細藻類で作ったジェット燃料で世界中から客を迎えようというキャンペーンもあるくらいです。微細藻類の物質生産能には定評があります。地球上の二酸化炭素の増加を抑えるために、二酸化炭素の収支がゼロ(カーボンニュートラル)になるように、藻類バイオによる物質やエネルギーの生産が望まれています。こうした取組みは世界中で始まっていて、チェコやスイスといった長野県のような海のない山国でも盛んに研究されています。今回はそんな研究の一つを紹介しましょう。

平成26年 (2014) 第12回

11月22日(土)13:30~

メンデルブドウは日本へ来て100年を迎えた!
法政大学生命科学部教授・東京大学名誉教授 長田敏行先生

メンデルは、今日ほとんどの人により遺伝学の祖として認識されているが、当時そのように思われていたわけではない。まず、修道院の院長であり、むしろ学問的業績としては、実用的動植物の品種改良、気象学の先駆者として知られていた。その一環としてメンデルはブドウの交配を行い、修道院の中にはメンデルブドウが生育していた。1913年ブルノを訪問された東京帝国大学教授三好学博士はブドウの提供を受け、翌年シベリア鉄道を経由して、それは日本に届けられた。それから100年経過するが、メンデルについては一般に知られていない事実も多いので、それらを中心として知られざるメンデルを紹介する。 

「放射線被ばく事故と染色体異常 」
放医研・ 緊急被ばく医療研究センター 生物線量評価室長 数藤由美子先生

染色体分析は、染色体異常を伴う疾患の診断や出生前診断に利用されているが、放射線被ばく事故の緊急時の医療においても重要な役割を果たしている。生体に強い電離放射線が当たると、遺伝物質の本体であるDNAに傷を与える。傷が正常に修復されないと、DNAが折りたたまれた染色体の構造に異常を生じさせる。当たった線量と生成された染色体構造異常の頻度との間には一定の特徴的な関係がみられる。そのことを利用して被ばく線量が推定でき、診断に役立てられてきた。今回は、東京電力福島第一原子力発電所事故(2011年)を例に、私たちの施設で行う染色体分析の実際について紹介する。 

平成25年 (2013) 第11回メンデル講演会

11月9日(土)13:30~

「藻類バイオとは何か?」
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 河野 重行先生

「大気中の酸素のほとんども、白亜の海岸も、シェールガスさえもが、20数億年前も前の地質時代に、地球上で大繁殖した1/10ミリにも満たない小さな藻(微細藻類)の大繁殖に由来します。微細藻類の物質生産能には定評があります。地球上の二酸化炭素のこれ以上の増加を抑えるために、二酸化炭素の収支がゼロ(カーボンニュートラル)になるような、藻類バイオよる物質やエネルギーの生産が望まれています。今回はヘマトコッカスとクロレラが作るアスタキサンチンとオイルを話題にします。アスタキサンチンは、赤い色をしたカロテノイドの一種で、抗酸化力が強いので化粧品や健康食品などに使われています。ヘマトコッカスはそれを作る微細藻類です。クロレラはご存じの方も多いでしょう。クロレラも微細藻類です。デンプンやオイルを貯蔵するので、バイオ燃料の原材料として注目されています。」 

「イチョウの生命誌 」
法政大学生命科学部教授、東京大学名誉教授 長田 敏行先生

 「イチョウには多くの不思議が伴っています。イチョウの生命誌をたどると植物の進化や植物の地上での発展をたどることが出来ます。特に、1896年平瀬作五郎により精子が発見されたことはこの植物の進化上の特異性を示します。一見遺伝とは関係ないようにも見えますが、同年ソテツにおいて精子を発見した池野成一郎が、やがて日本遺伝学会を発足させたように両者は関連しています。 にも拘らず、イチョウの生命誌について一般に知られている点は少ないので、これらの広くは知られていない不思議を紹介し、植物進化について述べます。 」 

平成24年 (2012) 第10回メンデル講演会

11月17日(土)13:30~

「ダーウィンと花の二形成:花の性について考えよう」
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 河野 重行先生

 「数年前にダーウィン生誕200周年記念ということで多くのイベントが催されたので、改めてダーウィンに興味を持たれた方も多いかと思います。進化論で有名なダーウィンにはそのもととなった『種の起源』の他にも多くの著作があります。『植物の受精』や『花のかたち』といった著書があります。『植物の受精』や『花のかたち』といった著書では、花の性を考えるうえで重要な実験と思索を繰り返しています。これにはダーウィンの血筋と家族の若すぎる死が深く関わっているようです。今回は、ダーウィンの実験を手掛かりに、植物でも性染色体をもった雌雄異株植物が生じてくる花の性とその進化について、雌雄異株植物ヒロハノマンテマの例を考えてみましょう。」

「顕微鏡で見た世界:遺伝毒性を染色体で検査する 」
東京大学名誉教授 平井 百樹先生

 「諏訪圏の「ものづくり」の特徴のひとつとして、精密機器・光学機器の製作があげられています。皆様もそのような分野の実績を身近に感じておられるのではないでしょうか。私は永年にわたり顕微鏡やカメラを用いた研究をしていますが、海外の研究仲間が来日のおりに近隣地域の工場を案内した経験があります。さて今回はヒトの染色体の話をいたします。私たちの環境は、遺伝子・ゲノムに異常をもたらすおそれのある因子(化学物質や放射線等の物理作用)に満ちています。それらが実際に子孫に影響を及ぼす「遺伝毒性」の程度はどのくらいなのか。これを実証するには、長期にわたる膨大な疫学的調査が必要で、ただちに判定することは困難です。しかし実験的に推定する方法はあります。ヒトの血液細胞に環境因子を処理して、染色体に生じた異常を顕微鏡で検査する方法がよく利用されます。誘発染色体異常の顕微鏡観察結果を画像で示し、研究の現況を紹介します。」

平成23年 (2011) 第9回メンデル講演会

11月5日(土)13:30~

「染色体からみたヒトの遺伝と健康」
東京大学名誉教授 平井 百樹先生

「染色体は遺伝子の本体であるDNAが折り畳まれた構造体です。染色体に生じた異常は、遺伝的な障害や発癌などの健康への障害の生成と関連します。環境中にある、染色体に異常を生じさせる多様な因子が、どのように遺伝や健康の障害と関連するかを知るには、まだ多大な研究が必要です。環境因子のひとつである放射線を例にとり、誘発された染色体異常を分析する最新技術を画像で紹介し、この分野の研究の現状を説明します。」 

「人類生存の条件」
法政大学生命科学部教授・学部長、東京大学名誉教授 長田 敏行先生

「今日人類が地球上で生存できる条件については、多くの議論があります。すなわち、「食糧の将来はどうなるか?」であり、また、「エネルギー供給はどうなるか?」です。特に、東日本大震災とそれに関して発生した福島第一原発事故との関連で切実な問題となっております。これらについて、広い意味での遺伝、ないしバイオテクノロジーが関係する点について紹介したいと思います。」 

平成22年 (2010) 第8回メンデル講演会

11月6日(土)13:30~

「体や心の問題に遺伝子はどこまでかかわるか?」
東京大学医学部元教授 中込 弥男先生

 「さまざまな動物は、大きく異なる寿命を示し、ショウジョウバエは2か月ほど、ハツカネズミは2年、犬は20年、ヒトは80年、チョウザメは150年です。それぞれの動物は、寿命が近づくとボケの症状を示します。環境の影響で老化や寿命が決まるのなら、動物の種類によって、ここまでの違いが出ることは考えられません。寿命にも老化にも遺伝子がかかわっているのです。その他、酒の強さ、運動能力、心の問題など、あらゆるところに遺伝子がからんでいます。どのようにかかわるのか、考えてみましょう。」 

「食料サステイナビリティについて」
法政大学生命科学部部長・東京大学名誉教授 長田 敏行先生

 「 今日この地球上に人類がこのまま生存できるためには、どのような配慮が必要かが考えられております。現在の日本の状態からすると食料の危機は程遠いようにも見受けられますが、世界的規模では決して安泰なものでなく、やがて飢餓を心配しなければならない事態が予想されており、特に2050年に向けて懸念が表明されています。その背景は何であり、そのためには、我々はどうしたらいいのか、食料生産を増やす方法があるのかなどを、最近のバイオテクノロジーの進歩も交えて紹介したいと思います。」 

平成21年 (2009) 第7回メンデル講演会

11月14日(土)13:30~

「森の魔術師たちの遺伝学」
東京大学大学院教授 河野 重行先生

 「森が深くなり陽光が届かなくなると、それまで繁茂していた低木や笹はなくなり、林床がコケで被われるようになる。ひんやりした林床で落ち葉をかき分けたり、倒木の樹皮をはがしたりしてみると、トビムシやダニ、昆虫の幼虫に混じって、黄色や赤の色鮮やかな模様が目に入る。これが変形菌(粘菌)で、数ミリから1センチ程度の不思議な形状のキノコを作る。金属のような光沢のものまであり、南方熊楠や昭和天皇までもが虜になった「森の魔術師」といわれるゆえんである。その粘菌が巨大なミトコンドリアをもつことはあまり知られていない。今回は粘菌の性とミトコンドリアの遺伝学を紹介しよう。」 

「酒古今東西」
東京農業大学名誉教授 吉沢 淑先生

「ワインは 最も美味しい薬、最も楽しい食品、最も価値ある飲料 古代ギリシャの医聖ヒポクラテスのワイン賛歌である。古来、人と酒の関係は深く、東西南北殆どの地域で、それぞれ多様な酒造、飲酒形態があり、時間の経過と社会の変化に合わせて複雑な変化を遂げてきた。日本を中心に、世界の酒造の特徴と酒質への影響、飲酒の楽しみの相違を比較し、現代人にとっての酒の意義、効用を考えてみたい。 」

平成20年 (2008) 第6回メンデル講演会

11月8日(土)13:30~

「マイクロサテライトと母性遺伝」
東京大学大学院教授 河野 重行先生

「犯罪捜査や親子鑑定、浮気や食品偽装の調査にと、今やDNA鑑定は引っ張りだこです。DNA鑑定が証拠として認められるようになって随分たちますが、そこで使われているマイクロサテライトやミトコンドリアDNAは、一般の人にはあまり知られていないようです。今回はその原理と応用を紹介しましょう。ヒトでは少々生々しいので、海藻を使った研究を中心にお話しします。信州はテングサを使った寒天製造の本場ですからあながち無関係というわけでもありません。海藻や植物プランクトンを含む藻類の生殖様式は実に多様で、雌(♀)と雄(♂)の差がハッキリしない種から卵と精子へをつくる種など、雌(♀)と雄(♂)の進化を一望することができます。マイクロサテライトをつかって、母親からしか起こらない遺伝(母性遺伝)が何時頃起こったのかを明らかにする研究を紹介しましょう」

「花をめぐって」
東京大学名誉教授・法政大学教授 長田 敏行先生

「昨年は植物の生殖の中で最も目立つ花成ホルモン(フロリゲン)についてお話ししました。学問でいう花は目立たない部分も含め見えない現象が多いのですが、一般に花と言えば色鮮やかなとかきれいなとかのイメージだと思います。今回は花が咲く機構についての概略と目に見える特徴についてもお話しようと思います。赤・青・黄など花の色とは何であり、生物学的にどのような意味があり、人類との関わりはどのようであるか。最近のバイオテクノロジーでは今まで存在しなかったような花の色を出すことができます。この背景になった先端技術などを紹介しましょう。」

平成19年 (2007) 第5回メンデル講演会

11月10日(土)13:30~

  • 「母性遺伝と利己的DNAの振る舞い」
    東京大学大学院教授 河野 重行先生
  • 「花成ホルモン(フロリゲン)について」
    東京大学名誉教授 長田 敏行先生

平成18年 (2006) 第4回メンデル講演会

11月 2日(土)13:30~

  • 「植物の花と性」
    東京大学教授 河野 重行先生
  • 「メンデルの発見の革新性とその背景について」
    東京大学教授 長田 敏行先生

平成17年 (2005) 第3回メンデル講演会

11月12日(土)13:30~

  • 「母性遺伝 母親からしか伝わらない?」
    東京大学教授 河野 重行先生
  • 「植物バイオテクノロジーの現況とその必要性」 
    東京大学教授 長田 敏行先生

平成16年 (2004) 第2回メンデル講演会

12月 4日(土)13:30~

  • 「くらしと遺伝」
    上智大学名誉教授  廣川 秀夫 先生

平成15年 (2003) 第1回メンデル講演会

11月15日(土)13:30~

  • 「遺伝子は語る」
    信州大学理学部教授 伊藤 健夫 先生
  • 「遺伝子と我々の健康」
    日本人類学会理事長 中込 弥男 先生