病原体に対して生体はまず自然免疫系による防御機構で対応するが、ついで病原体由来の抗原特異的な獲得免疫系の活性化が誘導され、病原体の再侵入に備えている。CD40は抗原提示細胞(APC)に発現し、この獲得免疫系で重要な役割を果たしている分子である。CD40がT細胞依存性の液性免疫に重要であることは、CD40のリガンドであるCD154の異常がX連鎖型高IgM症候群の原因であることからも明らかであるが、細胞性免疫においてもCD40は重要な分子である。近年の研究より、CD40は単にAPCであるB細胞、マクロファージおよび樹状細胞のみでなく気道上皮、線維芽細胞を含む他の細胞にも発現していることが明らかとなった。当初は活性化T細胞上にのみ発現すると考えられていたCD154も血小板を含め他の細胞に発現することが示されている。当研究室では作製したCD40ノックアウト(遺伝子欠損)マウスを用いてCD40分子の生体における役割について研究している。