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Akio Horiguchi MD
Dept of Urology, NDMC

検査evaluation

尿道狭窄症の診断に必要な検査は以下の通りです。

逆行性尿道造影 (Retrograde Urethrography, RUG)
尿道狭窄部、特に前部尿道の評価に有効な検査法です。尿の出口(外尿道口)から造影剤を注入してレントゲン撮影をします。尿が排出される向きと逆に造影剤を注入するので”逆行性”です。
正常な逆行性尿道造影
白い部分が造影剤です。左側から造影剤を注入しています@振子部尿道、A球部尿道、B膜様部尿道です。
球部尿道狭窄症の尿道造影

矢印が狭窄部位です。
球部尿道がリング状に狭くなっています。
振子部尿道狭窄

矢印が狭窄部位です。

排尿時膀胱尿道造影 (Voiding Cystourethrography, VCUG)
逆行性尿道造影に引き続いて行います。尿道造影で膀胱へ注入された造影剤を排出できるかレントゲン撮影をして調べる検査です。特に後部尿道狭窄の評価に有用な検査です。自力で排尿できない方も、どの部位まで尿が通っているかを確認するために必要な検査となります。


膀胱内(円の中)に貯まった造影剤が排出されている様子です。
尿の出口(外尿道口、矢印)から尿が勢いよく排出されているのが分かります
尿流測定検査 (Uroflowmetry, UFM)
自力で排尿ができる方のみ行います。どのくらいの勢いで、どのくらいの時間で、どのくらいの尿量が排出できるか調べます。手術前後で比較し、治療効果の判断材料にします。
尿流測定検査機器
左の簡易トイレに排尿します。便器の下にセンサーがついています。尿の勢い、排尿にかかった時間、排尿量を右の機械で測定します。
正常な尿流量波形
横軸は排尿を開始してからの時間経過(秒)で、縦軸は1秒あたりの排尿量を示しています。尿が出始めてすぐに勢いのピークを迎え、すぐに排尿が終わっています。頂点の高いベルのような形は正常な波形です。
尿道狭窄症の尿流量波形
勢いが弱く、排尿に時間がかかるため、ピークが低い細長い箱のような波形になります。


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骨盤MRI検査
骨盤骨折による後部尿道断裂や重度の球部尿道外傷では、手術前に瘢痕の程度や周囲臓器との位置関係を確認するためにMRIを行います。
正常尿道のMRI検査所見
体を前後に貫く向きで撮影した写真です。左側がお腹側、右側が背中側です。
@球部尿道、A膜様部尿道、B前立腺部尿道です。
骨盤骨折による後部尿道断裂のMRI所見
矢印の部分で尿道が断裂しています。


膀胱ろうの作成
重度の狭窄により自力で排尿ができなくなり、尿道カテーテルを入れている方は、新たに膀胱ろうを作成して尿を排出するルートを変更する必要があります。尿道カテーテルによって瘢痕が拡大して狭窄が長くなることを防ぐためと、手術中に狭窄部位をわかりやすくするためです。少なくとも尿道再建手術の3ヶ月前には尿道からカテーテルを抜いて、尿道を十分に休ませてあげる必要があります。膀胱ろうの作成と交換は、お近くの医療機関で可能ですので、遠方からお越しの方はそのためにわざわざ通院していただく必要はありません。

軟性膀胱尿道鏡による狭窄部の観察
狭窄部分を直接観察します。膀胱ろうが入っている方は尿道側(外尿道口から観察)と膀胱側(膀胱ろうから観察)の両方から観察いたします。尿道造影で見られる狭窄の範囲と瘢痕化した尿道の範囲は必ずしも一致しないので、必ず手術前にチェックしておきます。痛みの少ない、柔らかい内視鏡を用います。

口腔内の観察
口腔粘膜を採取する場合は、手術前に虫歯や口内炎などがないか口の中を診察します。

尿路感染のチェック
手術前に尿の感染がないかチェックし、感染がある場合は抗生物質でコントロールいたします。

全身麻酔の準備
全ての尿道再建手術は全身麻酔下で行います。心電図や胸部レントゲン検査、採血など一通りのチェックを行い、手術が安全に行えるかどうかの確認を行います。

バナースペース

防衛医科大学校 泌尿器科

〒359-8513
埼玉県所沢市並木3-2

TEL 04-2995-1511

尿道狭窄症の本を
出版しました

より詳しい情報をお求めの方は、こちらをご参照ください。