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発達性ディスレクシアの定義(発達性ディスレクシア研究会, 2016)

発達性ディスレクシアは、神経生物学的原因に起因する障害である。
その基本的特徴は、文字(列)の音韻(列)化や音韻(列)に対応する文字(列)の想起における正確性や流暢性の困難さである。
こうした困難さは、音韻能力や視覚認知力などの障害によるものであり、年齢や全般的知能の水準からは予測できないことがある。
聴覚や視覚などの感覚器の障害や環境要因が直接の原因とはならない。

発達性ディスレクシアとは、(FactSheetより抜粋) FactSheetのPDFファイルはこちら

「ディスレクシア(dyslexia)」とは?
「ディスレクシア」は直訳すると「読みの障害」となります。「ディスレクシア」は、本来は読めないという問題だけをさします。
例えば、「音韻性ディスレクシア(phonological dyslexia: 音韻性失読)」、や「表層性ディスレクシア(surface dyslexia: 表層性失読)」などの用語がありますが、ここでのディスレクシアは読みの障害のみを示しています。

 一方、「ディスレクシア」には、後天性の脳損傷によって生じる読みの問題も含まれます。そのため、脳損傷の既往がなくて生じている場合は、「発達性ディスレクシア」と呼ぶのが好ましいと考えられます。また、後天性のディスレクシアは読みの問題単独で出現しますが、「発達性ディスレクシア」では、「読み」に問題があると、多くは「書字」の問題を伴います。そのため、日本語では「発達性読み書き障害」という用語がよく用いられています。

「読み」とは?
 ここでの「読み」は、単語や文字を音に変換する段階(decoding)をさしています。したがって、「読み」の障害は発音の問題を除く、
「音読」など「音韻化」の障害を意味します。読解できているかどうか、という点までの処理過程をさすわけではありません。また、「書字」とは、音(音韻)や音(音韻)列を想起もしくは与えられてから文字や文字列に変換する段階(encoding: spellingに相当)をさします。このdecodingやencodingに相当する情報処理を英語圏ではskill(スキル:技能)と呼ぶことがあります。

 一方、日本では「読書(どくしょ)」と表記する場合、少なくとも二通りの意味で使われているようです。たとえば大城(1983)は 「読書(どくしょ)能力」を金子書房の「読書・読解能力検査」にて測定しています。また、上田ら(2005)は、「読書(どくしょ)能力」を 音読の所要時間や音読の正確性に関して測定しています。すなわち、「読書(どくしょ)」という用語は、「書」を読むという意味でのいわゆる 「読書(どくしょ)」のことで、読解を表す場合と音読という意味で使われる場合があるようです。 一方、「読み書き」は前述のように音読や書字という技能(スキル)をさします。送り仮名があるかないかで、意味が大きく異なることになります。

「発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)」
 英語圏では、developmental dyslexiaと呼ばれます。発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)とは、脳損傷によるものを除く、聴覚や視覚などの感覚障害がないとしても、また知的発達が正常であるとしても文字がなかなか習得できない障害です。

 日本語話者では約8%いると報告されています(Uno et al.2009)。学習障害(LD: Learning Disabilities, Learning Disorders)のひとつに分類されます。努力しても文字の習得が困難なのですが、周囲には努力していないと思われ、なかなか理解してもらいにくい障害です。知的発達に遅れがないにも関わらず、小学6年生になってもひらがなが完璧に習得できていない重度の児童から、毎週の漢字テストは、なんとかいい点をとれても、二か月後にはその漢字をほとんど覚えていないという軽度の児童まで様々です。多くの発達性ディスレクシアのある児童・生徒にとって特別支援教育での対応が必要です。正確な診断評価には客観的な検査が必須です。

「発達性ディスレクシアの定義」
 国際ディスレクシア協会の定義では、「Dyslexiaは、神経生物学的原因に起因する特異的学習障害である。その特徴は、正確かつ(または)流暢な単語認識の困難さであり、綴りや文字記号音声化の拙劣さである。こうした困難さは、典型的には、言語の音韻的要素の障害によるものであり、しばしば他の認知能力からは予測できないものであり、また、通常の授業も効果的ではない。二次的には、結果的に読解や読む機会が少なくなるという問題が生じ、それは語彙の発達や背景となる知識の増大を妨げるものとなり得る(2003)。宇野訳)」と、記述されています。

 医学界では、発達性ディスレクシアに関する定義は明確ではありませんが、WHOのICD-10 における「学習能力の特異的発達障害(ICD-10 )学力(学習能力)の特異的発達障害(Specific Developmental Disorders of Scholastic Skills)」の一部やアメリカ精神医学界のDSM-Wでの学習障害 (Learning Disorders)、DSM5での(Specific Learning Disorder:日本語訳はこれから発表される予定です)の一部に相当すると思われます。「学習障害の定義」(p9)をご参照ください。

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