血小板減少症
【血小板減少症と輸血】
血小板は止血反応に重要な役割を果たしています。一般に血小板数が100 x 103/μL以下を血小板減少症としますが、その全てが治療の対象となるわけではありません。血小板輸血は出血症状や観血的手技の有無などによって適応が異なりますが、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)やヘパリン起因性血小板減少症などは血小板輸血によって病態が悪化する可能性がありますので、血小板輸血は慎重に適応を考えなければなりません


【血小板減少症の分類】
造血障害
骨髄中の巨核球の減少/消失
白血病
骨髄異形成症候群
再生不良性貧血
発作性夜間血色素尿症(一部の患者)
癌性骨髄症(一部の患者)
骨髄抑制薬
(インターフェロンα-2b,化学療法薬)
Wiskott-Aldrich症候群
 
骨髄中に巨核球が存在
アルコール誘発性血小板減少症
ボルテゾミブの使用
HIV関連血小板減少症
骨髄異形成症候群(一部)
ビタミンB12または葉酸欠乏症
May-Hegglin異常症(MYH9異常症)
May-Hegglin異常
Sebastian症候群
Fechtner症候群
Epstein症候群
灰色血小板症候群
 
消費亢進
免疫学的機序の関与
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
 
脾機能亢進
うっ血性脾腫を伴う肝硬変
 
その他の消費亢進
溶血性尿毒症症候群(HUS)
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)
抗リン脂質抗体症候群
膠原病関連疾患
薬剤性血小板減少症
HIV関連血小板減少症
EBウイルス感染症
CMV感染症
敗血症
妊娠(妊娠性血小板減少症)
HELLP症候群
新生児同種免疫性血小板減少症
輸血後紫斑病
サルコイドーシス
ゴーシェ病
フォンビルブランド病Type2B
播種性血管内凝固症候群(DIC)
 

この表は、血小板減少症の発生機序から大別したものです。実際には一つの病態でも、複数の要因が関与している場合(例えばITPは「消費の亢進」が主な原因ですが、骨髄における産生低下も病態形成に関与しています)や、複数の病態が合併している場合(急性白血病ではDICや敗血症の合併は稀ではありません)などもあり、原因の特定/病態の把握が困難な場合も多く認められます。