代謝性アシドーシスと慢性腎臓病
腎機能低下に伴う代謝性アシドーシスの発症
腎臓は滴定酸の排泄を担っています。滴定酸は主にアミノ酸をエネルギーとして利用した結果として生じます。(アミノ酸の燃えかすと捉えてもらってよいかと
思います。)従って、腎機能低下の進行によって、滴定酸が体内に蓄積し、代謝性アシドーシスが進行します。
腎機能が比較的保持されている段階では、滴定酸のアニオン(主にSO42-やPO33-とそのプロトン結合物)はアンモニウム(NH4+)塩として尿中に 排泄されます。腎機能低下が進行するに従い、ナトリウム(Na+)塩として排泄されるようになり、さらに腎機能が低下すると排泄不十分となり滴定酸アニオ ンが蓄積するようになることが想定されます。
ナトリウム(Na+塩として排泄されると体内にはクロール(Cl-)が蓄積し、その結果、高クロール性アシドーシス(高Clアシドーシス)を呈するよう になり、滴定酸アニオンが蓄積するとアニオンギャップ開大性アシドーシス(Gapアシドーシス)を呈するようになります。従って、腎機能低下の進行とも なって、高Clアシドーシスが発症し、Gapアシドーシスへシフトして行くと推測されます。
このように、腎機能低下の進行に伴い発症する代謝性アシドーシスのタイプの推測はされていたのですが、実際に推測とおりに発症しているかは明らかにされ ていなかったのです。そこで、慢性腎臓病(CKD)患者を対象に糸球体濾過量の低下に伴い発症する代謝性アシドーシスをしらべてみました(文献)。
文献の結果をまとめたのが図です。赤線がGapアシドーシス、緑線が高Clアシドーシス、青線が乳酸アシドーシスの程度を示しています。図で示されて いるように、CKDステージG4まで(G1~G3)はGapアシドーシスのひとつである乳酸アシドーシス、CKDステージG4では高Clアシドーシス、 CKDステージG5ではGapアシドーシスが、おのおの進行する傾向が明らかになりました。
この結果から、CKDステージ進展による代謝性アシドーシスの発症の特徴が以下のように推測されます。
腎機能が比較的保持されている段階では、滴定酸のアニオン(主にSO42-やPO33-とそのプロトン結合物)はアンモニウム(NH4+)塩として尿中に 排泄されます。腎機能低下が進行するに従い、ナトリウム(Na+)塩として排泄されるようになり、さらに腎機能が低下すると排泄不十分となり滴定酸アニオ ンが蓄積するようになることが想定されます。
ナトリウム(Na+塩として排泄されると体内にはクロール(Cl-)が蓄積し、その結果、高クロール性アシドーシス(高Clアシドーシス)を呈するよう になり、滴定酸アニオンが蓄積するとアニオンギャップ開大性アシドーシス(Gapアシドーシス)を呈するようになります。従って、腎機能低下の進行とも なって、高Clアシドーシスが発症し、Gapアシドーシスへシフトして行くと推測されます。
このように、腎機能低下の進行に伴い発症する代謝性アシドーシスのタイプの推測はされていたのですが、実際に推測とおりに発症しているかは明らかにされ ていなかったのです。そこで、慢性腎臓病(CKD)患者を対象に糸球体濾過量の低下に伴い発症する代謝性アシドーシスをしらべてみました(文献)。
文献の結果をまとめたのが図です。赤線がGapアシドーシス、緑線が高Clアシドーシス、青線が乳酸アシドーシスの程度を示しています。図で示されて いるように、CKDステージG4まで(G1~G3)はGapアシドーシスのひとつである乳酸アシドーシス、CKDステージG4では高Clアシドーシス、 CKDステージG5ではGapアシドーシスが、おのおの進行する傾向が明らかになりました。
この結果から、CKDステージ進展による代謝性アシドーシスの発症の特徴が以下のように推測されます。
- G1からG3では末梢への酸素運搬能力の低下が進行し乳酸アシドーシスを発症
- G4ではおそらく体液貯留傾向により末梢への循環はもちなおし乳酸アシドーシスを呈しにくくなるが、尿細管でのNH4+産生能力が低下し滴定 酸をNa+塩として排泄するようになり高Clアシドーシスを発症
- G5では滴定酸排泄できず体内に蓄積するようになりGapアシドーシスを発症