酸塩基異常診断 実際篇 診断アプローチの比較はこちら
血液ガス分析値に基づく酸塩基異常の診断
Henderson-Hasselbalchの式(Henderson-Hasselbalchの式)で解
説したように、[HCO3-]値が血液ガス分析値として報告されるなら血液ガス分析結果から酸塩基異常を診断してよいと考えられます。
そこで、[HCO3-]値が血液ガス分析で得られる場合の酸塩基異常診断の提案です。
以下の診断は、動脈血サンプルを対象した診断です。
[HCO3-]の診断には25を用いる方が適当かもしれませんが、一般に24が使われているので24を採用しました。
正常値
動脈血サンプル
pH 7·38–7·42、pCO2 38–42 mm Hg、[HCO3-] 23–27 mM
静脈血サンプルでは
pH 7·36–7·38、pCO2 43–48 mm Hg、[HCO3-] 24–28 mM
を用いることを推奨します。
理由はHenderson-Hasselbalchの式をご参照ください。
>>Henderson-Hasselbalchの式静脈血サンプル 上の診断は、動脈血サンプルを対象した診断です。
[HCO3-]の診断には25を用いる方が適当かもしれませんが、一般に24が使われているので24を採用しました。
正常値
動脈血サンプル
pH 7·38–7·42、pCO2 38–42 mm Hg、[HCO3-] 23–27 mM
静脈血サンプルでは
pH 7·36–7·38、pCO2 43–48 mm Hg、[HCO3-] 24–28 mM
を用いることを推奨します。
理由はHenderson-Hasselbalchの式をご参照ください。
>>Henderson-Hasselbalchの式
そこで、[HCO3-]値が血液ガス分析で得られる場合の酸塩基異常診断の提案です。
以下の診断は、動脈血サンプルを対象した診断です。
[HCO3-]の診断には25を用いる方が適当かもしれませんが、一般に24が使われているので24を採用しました。
正常値
動脈血サンプル
pH 7·38–7·42、pCO2 38–42 mm Hg、[HCO3-] 23–27 mM
静脈血サンプルでは
pH 7·36–7·38、pCO2 43–48 mm Hg、[HCO3-] 24–28 mM
を用いることを推奨します。
理由はHenderson-Hasselbalchの式をご参照ください。
>>Henderson-Hasselbalchの式
- pH値に従いアシデミアかアルカレミアかを診断
- pH <7.38(アシデミア)
- PCO2 >40 mmHgなら呼吸性アシドーシスが原発異常
- PCO2 ≤40 mmHgなら代謝性アシドーシスが原発異常
- 理由は、Henderson-Hasselbalchの式
- [H+] = 24 x PCO2/[HCO3-]
- [H+]: nmol/L, [HCO3-]: mmol/L, PCO2: mmHg
- を変換して
- [HCO3-] = 24 x PCO2/[H+]
- [H+] >40(nmol/L)なのでPCO2/[H+] <1、[HCO3-] = 24 x PCO2/[H+]より [HCO3-] <24
- pH >7.42(アルカレミア)
- PCO2 <40 mmHgなら呼吸性アルカローシスが原発異常
- PCO2 ≥40 mmHgなら代謝性アルカローシスが原発異常
- 理由は、[H+] <40なのでPCO2/[H+] >1、[HCO3-] = 24 x PCO2/[H+]より [HCO3-] >24
- pH 7.38-7.42(正常範囲)
- PCO2 =40 mmHgなら異常なし
- PCO2 <40 mmHgなら呼吸性アルカローシスと代謝性アシドーシスの合併
- 理由は、[H+] =40としてよいので、
- PCO2/[H+] <1、[HCO3-] = 24 x PCO2/[H +]より [HCO3-] <24
- PCO2 <40 mmHgなら呼吸性アシドーシスと代謝性アルカローシスの合併
- 理由は、[H+] =40としてよいので、
- CO2/[H+] >1、[HCO3-] = 24 x PCO2/[H +]より [HCO3-] >24
- 原発異常に対する代償性変化を確認 代償性変化が不充分な場合は合併する異常の原因を探る。
- 呼吸性原発異常に対する代謝性代償変化
- 急性代償と慢性代償がある(下記表参照)が、急性か慢性かの判断は困難であり、また、[HCO3-]の正常値に誤差があるので厳密 に代償性変 化を求める必要もない。
- 従って、慢性代償が生じていることを過程して代償性変化が充分か否かを診断する。
- 呼吸性異常に対する代謝性変化は
- 呼吸性アシドーシス、呼吸性ア ルカローシス ともに Δ[HCO3 -]はΔPco2の半分
- と考えて、代償性変化が充分か否か診断
- 代謝性原発異常に対する呼吸性代償変化
- 代謝性アシドーシス ΔPco2はΔ[HCO3-]相当
- 代謝性アルカローシス ΔPco2 はΔ[HCO3-]の半分
- と考えて、代償性変化が充分か否か診断
- 代謝性アシドーシスに対 す る代償には過換気なので、他の代償よりも起こしやすいと覚える。
- 原則 対象となる変化の半分、代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償は倍
- 代謝性アシドーシスの場合
代償性変化
・代謝性アシドーシス
ΔPco2=1.0-1.3 × Δ[HCO3-] (限界Pco2 >15)
・代謝性アルカローシス
ΔPco2=0.5-0.7 × Δ[HCO3-] (限界Pco2 <60)
・呼吸性アシドーシス
急性:Δ[HCO3-]=0.1 × ΔPco2 (限界[HCO3-] <30)
慢性:Δ[HCO3-]=0.35 × ΔPco2 (限界[HCO3-] <42)
・呼吸性アルカローシス
急性:Δ[HCO3-]=0.2 × ΔPco2 (限界[HCO3-] >18)
慢性:Δ[HCO3-]=0.50 × ΔPco2 (限界[HCO3-] >12)
ΔPco2=1.0-1.3 × Δ[HCO3-] (限界Pco2 >15)
・代謝性アルカローシス
ΔPco2=0.5-0.7 × Δ[HCO3-] (限界Pco2 <60)
・呼吸性アシドーシス
急性:Δ[HCO3-]=0.1 × ΔPco2 (限界[HCO3-] <30)
慢性:Δ[HCO3-]=0.35 × ΔPco2 (限界[HCO3-] <42)
・呼吸性アルカローシス
急性:Δ[HCO3-]=0.2 × ΔPco2 (限界[HCO3-] >18)
慢性:Δ[HCO3-]=0.50 × ΔPco2 (限界[HCO3-] >12)
- 同じ検体で測定した血清Na・Cl・アルブミン(Alb)濃度から以下の「電解質ギャップ(Electrolyte Gap: EG)」を計算
- EG = [Na+] – ([Cl-] + [HCO3-] + 2.5x[Alb])
- EGはいわゆるAnion Gap(AG)からアルブミンの陰性荷電をのぞいた値
- 正常値: 0 (±2) Anion
Gapから10を引いた値
- 電解質ギャップ(Electrolyte Gap: EG)が正常:高Cl性代謝性アシドーシス
- EGが低下している場合:高ガンマグロブリン血症の有無を確認
- 血清総タンパク(TP)が正常なら中毒(リチウム,ハロゲン化物(臭化物/ヨウ化物))疑い。
- EGが増大している場合:Anion Gap(AG)増大型代謝性アシドーシス(主にケトアシドーシスか乳酸アシドーシス
- EG増大分を[HCO3-]に加えた補正[HCO3-]値を計算
- 補正[HCO3-]値>24の場合は代謝性アルカローシスの合併と診断
- AG増大型代謝性アシドーシスと高Cl性代謝性アシドーシスの合併
- AG増大型代謝性アシドーシスに高Cl性代謝性アシドーシスが合併していることがあるが、血液ガス分析で合併の有無を診断するのは困難で
ある。AG増大型代謝性アシドーシスで[Cl-]が高値である場合で臨床症状を伴う場合(腎不全等)合併を疑う。
>>酸塩基診断「進化型」 はこちら
[HCO3-]の診断には25を用いる方が適当かもしれませんが、一般に24が使われているので24を採用しました。
正常値
動脈血サンプル
pH 7·38–7·42、pCO2 38–42 mm Hg、[HCO3-] 23–27 mM
静脈血サンプルでは
pH 7·36–7·38、pCO2 43–48 mm Hg、[HCO3-] 24–28 mM
を用いることを推奨します。
理由はHenderson-Hasselbalchの式をご参照ください。
>>Henderson-Hasselbalchの式