洗いは茹だったかな?

2015-06-08

守屋
6 原因食品 
5月29日(金曜日)に提供された主なメニュー
鳥洗い、とり茶漬け、とりわさ、やきとり、つくね、すなぎも、もつ焼き、から揚げ、チキンライスなど
7 病因物質:カンピロバクター・ジェジュニ
8 措置 :原因施設に対して、6月8日(月曜日)から営業禁止
(なお、同施設は、6月4日(木曜日)から営業を自粛しています。)

変な話、カンピロバクターは、冷蔵した湿潤な環境では長く生きる。
25度で乾燥した状況では一晩も経てば死んでしまう。
魚の刺身の菌、腸炎ビブリオでは冷蔵で凍えて死んでしまうのだが、冷蔵庫の方がカンピロバクターは長持ちする。


焼き肉焼けたかな?

2009-06-01

食品安全委員会から、カンピロバクターについての評価書がまとまった。(案)が示され、パブリックコメントが募集されている。
 主に、トリの腸内に棲み出荷段階での虫垂での検出率は「最低値11.1%、最高値77.8%、中央値は57.9%の状況にある。」とされ高率である、精肉処理の段階などで、皮や精肉に付着し、流通の段階では凍結融解では菌量の減少はなく、増殖こそしなくても、口から人のからだに僅かでも入ると感染し、下痢(泥状便、まれに膿や粘血便)や胃痛の他に38度の熱・咽頭痛や頭痛といった感冒様症状を呈するのがこの菌の特徴である。お腹の風邪、夏風邪と称して来院する患者さんが多い。頻度は低いが消化器症状のあと、暫くして末梢の神経痛や筋力の衰えで発症する、ギランバレー症候群の一因でもある。
 当院では14件の検便でのカンピロバクター陽性事例が平成20年度にあった。病原性大腸菌群2例やサルモネラ1例に較べて、細菌性腸炎の中で圧倒的に多い。呼吸器疾患のない夏では7月3件で全細菌検査のうち7.7%がカンピロバクター陽性の検便が占めるほど、高頻度に見られる疾患である。
 しかし、大衆に驚くほど認知されていない。信用のおける店だからという甘言も言われているが、流通段階の陽性率は「国産鶏肉については、最低値32%、最高値96%、中央値75%(平均値65.8%) 」と高率の汚染状況にある。カンピロバクターフリーの製品は見当たらないと言っても良い。
もっとも、除菌のために抗生剤を使いすぎると、MRSAに見られるように、また、別のリスクアセスメントが不可欠になる。
報告書では、鶏肉に焦点があたっているが、厨房での交差など、牛肉や豚でも安心はできないし、野菜についても懸念がある。

鶏肉料理の喫食に伴うカンピロバクター食中毒については、一食当たりの感染確率の平均値は、鶏肉を生食する人については、家庭で1.97%、飲食店で5.36%、生食しない人については家庭で0.20%、飲食店で0.07%、一人当たり年間平均感染回数は、生食する人では3.42回/年・人、生食しない人では0.364回/年・人であった。平均延べ約1.5億人が年間に感染することが推定されたが、うち80%が生食する人で占められていることが示された。

懲りずに生食など繰り返すので、人口より多くの人が罹患する。困った病気である。しかも輸入品より国産の方が頻度が多い。調理段階で、鶏肉には火を通しても、同じ俎板でサラダを作りそこに「スタンプ」されて口に入る事例も想定される。


「生食用鶏肉への指導基準の適用等規制的手法」

「非汚染農場を検出するための統一された手法等の開発」

 健康被害を起こし得る危険な食文化であるということを社会全般としてとらまえる、目に見える施策が、ふぐ同様必要である。
 死亡事例が少ないために、行政として措置がとりにくいのは判るが、鶏肉やレバーなど、精肉の刺身については、ふぐ同様に免許制をしき、生産流通段階からカンピロバクター・フリーの製品のみを扱う店にのみとする事を提唱したい。
免許制にすることで、視覚的に「あの食習慣は特殊な危険な物」という認知がされ得る。

「社会心理学的な行動変容アプローチなど効果的な普及啓発の推進」

 当院では14件の検便でのカンピロバクター陽性事例が平成20年度にあった、全細菌検査のうち2%強にあたる。病原性大腸菌群2例やサルモネラ1例に較べて、細菌性腸炎の中で圧倒的に多い。呼吸器疾患のない夏では7月3件で全細菌検査のうち7.7%がカンピロバクター陽性の検便が占めるほど、高頻度に見られる疾患である。
 焼肉店などの病歴の聴取があった事例については、積極的に保健所に報告を行っているが、症例の集積がなく、孤発例として処理され行政が動いた事例はない。
 20頁にある、カンピロバクター食中毒の発生状況は過小評価である可能性も高い。
 潜伏期が長く、ごく少量の菌量で発症するため、疫学的なリンクが掴みにくいが、生食を許容する食文化そのものを是正しないと、改善はないと考える。
 欧米ではBBQなどを除き、食卓で調理する習慣が無い。鍋や焼き肉などにおける、交差の防止:「つつき箸」や動線を分けることが、より広く周知される必要もあろう。
 個人宅や料理店については、カルキフリーを是と誤解し「浄水器」を愛用したり、スーパーから水を運んでくる場合すらある。塩素濃度管理については、食肉処理場だけでなく、家庭や料飲店に至る川下まで、重要性を広く広報して欲しい。


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