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食品衛生法に基づいて、食中毒を診た医師は届け出を義務づけられている[食品衛生法第58条]。その届けで兵庫の事例では速やかに保健所がJTを管轄する東京都に連絡を行い。品川区保健センターの係員が出向いている。しかし、ここで有機リン中毒の情報が欠落してしまっていたらしい。
グリコ森永事件の反省に基づいて、捜査を円滑にするとともに、回収など食品会社の経済的な打撃を緩和させる、法律が整備されている。
残念なのはこの法令が第三条で「故意により」混入と規定していることである。
しかし、故意か否かは流通食品により健康被害が生じたかは判りにくいものである。
JTやCO-OPといった企業には第八条によって資金の斡旋を含む経営の安定への支援が盛り込まれている。そのかわり「製造業者等は、その営業に係る流通食品につき、流通食品への毒物の混入」を知った時点で届け出ることが義務づけられていて罰則も添えられている。
1/7の保健所からの連絡を受けた兵庫県警も、食中毒としてでなく、毒物を特定し得なくても餃子による有機リン中毒をして、この法令を準用していれば、速やかな情報伝達が可能であり、被害の拡大を予防し得た上で、対策についての資金をどこから調達するか?という難問も、1/10頃には解決していた可能性がある。
特定の今回であればメタミドホスという物質の特定を待たずとも、餃子による有機リン中毒という網を早期に掛けるべきであったろうし、疫学的にメタミドホスにたどり着く前に、12/28の花見川の事例と1/5の高砂の事例だけで機動的に解決が図られるべきであったであろう。
医療機関からは瞳孔が小さくなるなどの神経症状が報告され、県の検査ではウイルスや細菌が検出されなかった。 このため、県加古川健康福祉事務所は六日、兵庫県警に連絡。ほかに同様の症状を訴えていた人がいなかったことから、県警捜査一課は、薬物などが故意に混入された疑いがあるとの見方を強め、原因物質の特定を急ぐとともに殺人未遂容疑も視野に捜査を進めた。[神戸新聞 2008-01-31]
警察は殺人事件より、公衆の安全を配慮すべきであったこと、また広域の捜査のあり方について、グリコ森永事件から学んでいない。また、有機リン中毒としての松本サリン事件からも学んでいない。そのときも被害者の河野さんは強く被疑者として扱われ、東京のサリン事件まで取り調べだけでなく、メディアスクラムにさらされた。