アビガン薬害の元凶とは
―能天気なお医者様達へのお節介―
医師の処方乱用による副作用被害の歴史
医師の処方乱用は稀な副作用による健康被害に繋がる。その被害を防ぐのは、「新しい薬は経験が少ない故にどんな副作用があるかわからない」という単純な常識である。この単純な常識は医師免許の有無とは関係がない。人間の作ったものには必ず欠陥がある。その欠陥は実際に使ってみなければわからない。薬が、そしてアビガンが、この単純な常識の例外のはずがない。
表はこの常識が欠如した医師達によって引き起こされた健康被害である。その中でもアビガンが最悪である。アウトカムが死亡だからという理由だけではない。アビガンの薬害はいくらでも回避できたのに最悪の結果を招いたのは、お医者様達が最低限の常識さえも弁えずに処方箋を乱発したからだ。なお、イレッサ [1] もキノホルム [2] も、副作用による健康被害を「薬害」とは私は呼ばない。なぜなら、いずれも一部の医師の処方乱用がその被害の原因だからである。薬そのものに害があるのはアビガンだけである。故にアビガンの場合のみ「薬害」と呼ぶ。
医療事故を業過罪に仕立て上げた「朝ズバッ!」、小泉政権による医療崩壊。およそ医師であれば、医療のことなど何一つ知らないマスゴミや政治家に散々な目に遭ってきたはずである。「薬の”くの字”も知らない連中にも絶対に媚びへつらわない」それがお医者達の矜持だったはずだ。なのになぜ、リスクてんこ盛りのアビガン祭りに嬉々として参加したのか?
アビガンは何の病気にも効能を持っていない。もちろんCOVID-19にも未承認である。一方用量はしっかり決まっていた。つまり、お医者様達が効能(いわゆる適応症)と用量という、医薬品処方の最低限の常識さえ遵守していれば、アビガンは誰にも投与されなかった。つまり患者さんは死なずに済んだ。
→「アビガンは毒薬」を立証した「観察研究」
厚労省に責任転嫁できない理由
スモン、イレッサ、どちらの副作用被害でも、肝心のお医者様達は全てを厚生省と企業に押しつけ、自分たちは知らぬ顔の半兵衛を決め込んだ。『なあに、すわ「薬害」となれば、無節操なマスコミが馬鹿の一つ覚えで役人を吊し上げてくれる。その騒ぎの陰に隠れて息を潜めてさえいれば、大丈夫』。もしかしたら今度もお医者さん達はそう思っているのだろうか。だとしたら、悪いことは言わない。余計なお節介だと言わず、今一度上記の表を見てもらいたい。キノホルムもイレッサも、どちらの場合も承認後に処方され、効能と用量を遵守していた。ところが、アビガンの場合にはCOVID-19は未承認効能、用量も既承認の2.5倍。どちらも厚労省は認めていない。この表を見ただけで、誰に責任があるかは明らかだ。
「観察研究」とやらは臨床研究法の適用を受けない、つまり厚労省による規制が及ばない無法地帯で行われた医師主導研究である。だから観察研究の結果責任は全てお医者様達にある。「誰が何と言い掛かりをつけようと、これは観察研究である」と高らかに宣言し、臨床研究保険に加入しない、すなわち、どんな悲劇が起こっても自分たちが責任を持つと決断したのは、他でもない「観察研究」を推進したお医者様達である。
一方厚労省は、添付文書で、そしてもちろん審査報告書でも、観察研究の6年も前から、如何なる疾患にも有効性を示せず、重大な副作用だけが明らかとなったアビガンに対して厳重に警告してきた。それにもかかわらずお医者様達は、今まで人類が経験したことのない謎の病気相手に、承認用量の2.5倍という、その無謀さでは大東亜戦争に勝るとも劣らない、「ヒト対象非臨床試験」を強行した。クリスタルレイクの湖底からジェイソン・ヴォーヒーズを解き放つような真似をしたのはお医者様達自身だったのだ。そんな暴挙に厚労省が責任を負う理由はどこにもない。
残る頼みの綱は「報道しない自由」だけ?
いかなる研究であれ、被験者の安全は何よりも優先される。しかし、2020年7月2日にポツダム宣言ならぬ薬害オンブズパースン会議から「観察研究」の中止勧告が出てから3ヶ月半が経った現在でも、研究が中止されたとは寡聞にして知らない。「観察研究」に邁進したお医者様達や富山化学はひたすら沈黙を守るだけだ。アビガンヨイショで裸踊りを繰り広げた官邸政治家達は完全に行方をくらました。こうしてただ時間だけが過ぎていく中で、今もアビガンを投与されている患者さんがいる。だから今日もアビガンのために患者さんが亡くなっているかもしれない。普通に考えれば、国全体を揺るがすスキャンダルだ。なのに、この静けさは何を意味するのだろうか?アビガン祭りで踊り狂った人々は「きっとまた北陵クリニック事件のように、マスゴミお得意の”報道しない自由”がアビガンの薬害も揉み消してくれるに違いない」。そう信じてひたすら祈りを捧げているのかもしれない。祈るよりもずっと大切なこと、今直ぐにでも行動に移さねばならないことがあると思うのだが。
[1]”イレッサ”の逆襲:イレッサの副作用被害を私は薬害とは呼ばない。百害あって一利もないことが6年も前からわかりきっていたアビガンこそが紛れもない「薬害」である。
[2]川田恭子. スモンの会全国連絡協議会・薬害スモン関係資料公開の意義と課題. 大原社会問題研究所雑誌.2019; 730: 3-18. .スモンの原因がキノホルムだと突き止められるのは、1958年にスモンの第一例が報告されてから、その12年後の1970年、井形・豊倉らよってキノホルムがスモンの原因であることが明らかにされ、ようやくキノホルムが販売停止,使用中止となってスモンが激減してからである。これもウイルス説が繰り返された後にようやくキノホルムが原因と判明したのであって、最初からキノホルムの毒性が明らかだったわけではない。それゆえ、スモンをアビガンと同列に「薬害」として論じることはできない。
→「空気」が生んだ薬害アビガン
→「アビガンは毒薬」を立証した「観察研究」
→コロナのデマに飽きた人へ
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