臨床研究無法地帯:イレッサの悪夢再び
承認されたってへいちゃらさ.だってアビガンを勧めるような破廉恥なお医者様はお断りすればいいんだから
自分の命は自分で守ろう!!
アビガン:その終わりの始まりにあたって
日本医師会の会長さんは言わずと知れた熱烈なアビガンファン,というよりアビガンのセールスマン(今風に言えばMR)である.セールスマンらしく,彼はアビガンの治験結果の予知能力も持っている.結果が出る前から,「高齢者などハイリスクな患者に対して、入院初期からの投与を積極的に推進」という効能効果を予知できる能力である.彼はまた,アビガンを売っている会社の会長さんと裏口承認の立役者との三人組でアビガンのプロモーションに日夜大活躍していらっしゃる.有料購読者数(42,500部) No.1を誇る総合医学週刊誌(2018年7月1日現在).それが言わずと知れた日医の実質的な広報誌,日本医事新報である.それゆえ,アビガンのセールスマン会長の意を受けて,アビガンの広告よいしょ記事てんこ盛りである.そこには,アビガンのセールスマン会長肝煎りの「観察研究」の記事が載っている.(下記)
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アビガン投与、現場の医師判断で 県医師会が「福岡県方式」検討(西日本新聞 2020/5/1)
福岡県医師会は30日、福岡市で記者会見を開き、新型コロナウイルスの治療薬として期待される新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の投与について、現場レベルの医師の判断で決められる態勢を構築する方針を明らかにした。県と協議中といい、県医師会は「国の許可が得られれば『福岡県方式』の5月中のスタートを目指したい」としている。全国的にも珍しいという。(中略) 厚生労働省によると、アビガン投与には、国が支援する研究機関が行う観察研究などに参加する方法がある。通常は、各病院が観察研究の参加手続きを行う必要があるが、「福岡県方式」では、県医師会が一括して実施する。
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この「福岡県方式」の根拠となっているのが,2020年4月27日付の事務連絡である.(新型コロナ感染症へのアビガン使用、医療機関要件を周知─4月下旬時点で2000例以上に投与 2020/5/3).
(クリックするとPDFが現れます)
その肝心の「事務連絡」とやらと見ると,直ぐにおかしなことに気づく.たとえば,左は,都道府県水道行政担当部(局)、厚生労働大臣認可水道事業者及び水道用水供給事業者 宛ての事務連絡で,内容は「水道事業におけるアセットマネジメント(資産管理)「 簡易支援ツール 」 の改良 について」で,全2ページの簡単なものである.それでも事務連絡を出した部署,宛先が明記されている.
一方,それよりはるかに重大な問題であるはずの,アビガンの適応外使の投与実験の妥当性を説明する「事務連絡には,」差出人も宛先も日付も,全て記されていない.さらにページ数も入っていない!!この「事務連絡」とやらは,高校生のレポート以下の書類であることが,表紙を見ただけでわかる.末尾に記されているのは,以下の通り,高校生のレポート未満である
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■研究に関すること
藤田医科大研究事務局 covid-19@fujita-hu.ac.jp
NCGM レジストリ研究事務局 registry.covid@hosp.ncgm.go.jp
■副作用等の薬剤の情報に関すること
富士フイルム富山化学株式会社 fftc-avigan@fujifilm.com
■その他、薬剤の提供等に関すること
厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室 chikensuishin@mhlw.go.jp
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これも実に奇っ怪な「連絡先」である.なぜならば,通常の厚労省の事務連絡には右のように,厚労省の担当部署と担当者,住所,電話,FAX,そして最後にメールアドレスが記されているからである.厚労省の事務連絡は非常に多くの人が目にし,これを元に多くの組織と人が動くのだから,連絡手段も,直接の来訪,郵便,電話,ファクス,メールと人により,時と場合により,そして用件により,様々可能性を配慮した上でのことである.それにもかかわらず,メールアドレスしか記されていないということは,これは「厚労省の事務連絡ではない」ということを宣言しているも同然である.
さらに以下のような,厚労省の事務連絡にはあり得ない,奇怪な文章が並ぶ
●あたかも観察研究が臨床研究ではないかのような記載
『現在、観察研究をはじめ、臨床研究や治験においても、有効性等の検証を行っています 』(1ページ 観察研究が臨床研究とは異なるかのような偽装)
『コロナウイルス感染症に対するアビガンの使用については、医療機関が研究班による観察研究※に参加し、患者本人の同意があり(中略)※
観察研究とは、医療機関内の倫理委員会等の手続を経て患者の同意を得た上で、本来の適応とは異なる投与等を行った治療について、治療結果等を集積し、分析
する研究です。』(1ページ これは介入研究そのものの説明)
●しかし安倍首相はこの研究を臨床研究と認めている
アビガンについては、安倍晋三首相が3月28日の記者会見で「これまで数十例投与が行われ、症状の改善に効果が出ているとの報告もある。今後希望する国々と協力しながら臨床研究を拡大する」と発言。藤田医科大などが患者を対象にした臨床研究を進めている。(野中良祐、三上元 コロナに効く既存薬、見いだせるか アビガン研究の今 朝日新聞 2020年4月7日 10時28分)
●本研究が臨床研究であるとの記載は一切なく,「観察研究」であるの一点張り.すなわち,本研究は観察研究である.「観察研究は臨床研究ではない」との誤った主張が貫徹されている.
●紛れもなく臨床研究にもかかわらず,本研究には臨床研究法が適用されていない=被験者は臨床研究法の保護を受けられない.適応外使用の臨床試験であるにもかかわらず,被験者の安全確保はあくまで「努力義務」に過ぎない.
なお,この「観察研究」とやらは,富士フイルムが行っている治験(第3相臨床試験国内臨床試験のデータベースの登録番号:JapicCTI-205238)とは全く別物である.
以上総合すると,この「事務連絡」とやらが宣言するのは,以下の如くであると強く推認される.このアビガンの適応外投与「研究」は,厚労省が所管する臨床研究法の枠から外れた「脱法研究」であって,被験者に何があろうとも,その事故は臨床研究法の外で「処理」されることになる.被験者(患者)の人権をないがしろにしたヘルシンキ宣言違反のトンデモ研究である.裁判では敗訴必死.
承認されたってへいちゃらさ.だってアビガンを勧めるような破廉恥なお医者様はお断りすればいいんだから
自分の命は自分で守ろう!!
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