将軍様が松の廊下で刃傷沙汰
-もう,どうにも止められない「クロロキンゲート」-
「クロロキン,トランプ」で検索すると,日本語記事だけでもこれだけ出てくる.ロシア疑惑など吹っ飛んでしまう「クロロキンゲート」を我々は今,目の当たりにしている。しかし,このスキャンダルを追求する動きは肝心の合衆国内でも全く見られない.特ダネ記者も、オンブズパースンも、そして人権派弁護士も、民主主義を標榜してきた国から,みんなみんな消えてしまった。いや、もともとそんなものは存在しなかったのだろう。アメリカ市民対するこれだけ酷い仕打ちを見て見ぬ振りをするどころか、そのお手伝いをしてやるというのだから。ただし、FDAのやり口には全く驚かない。何しろ薬害エイズを我が国に輸出した前科がある役所なのだから。
松岡由希子 アメリカが期待した「クロロキン」、ブラジルで被験者死亡で臨床試験中止(ニューズウィーク日本版 2020年4月15日)
抗マラリア薬のひとつ「クロロキン」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に効果があるのではないかと注目されてきた。しかしこのほど、ブラジルの研究チームが臨床試験を実施し、「クロロキンの高用量投与は、安全性に問題があるため、新型コロナウイルス感染症の治療に推奨すべきでない」との見解を明らかにした。この結果をまとめた未査読の研究論文は2020年4月11日、医学分野の査読前論文プラットフォーム「メドアーカイブ」で公開されている。
新型コロナ治療に抗マラリア薬 米が迅速承認へ 【2020年3月20日 AFP】
ドナルド・トランプ米大統領は19日、米国は新型コロナウイルス治療薬として、抗マラリア薬「クロロキン」の迅速承認を進めていると表明した。トランプ氏は記者団に対し、「この薬がほぼ即時に利用可能になる」と説明。薬が米食品医薬品局(FDA)により「承認されたapproved」(*1)と述べた。だがFDAのステファン・ハーン(Stephen Hahn)長官(*2)はその後、同薬はまだ正式には承認されていないものの、「コンパッショネートユース(人道的使用)」制度の適用によって利用可能な範囲が拡大され、当局がより多くのデータを収集できるようになったと説明した。
*1 記事タイトルの「迅速承認」は真っ赤な嘘であり、コンパッショネートユース(人道的使用)が正しい。両者は全く異なる。しかし、AFPを責めるわけにはいかない。なぜならその真っ赤な嘘をついたのはアメリカ合衆国大統領だったからだ。
*2 前任者は2019年4月にFDAを辞めてからたったの3ヶ月で,ファイザーの取締役に天下った。
トランプ大統領が「ゲームチェンジャー」と呼ぶマラリア治療薬は新型コロナに効くのか? 米で臨床試験開始 2020/3/21
「これは一般的なマラリアの薬で、強いリウマチにも使われている。長い間使われてきたから、効かなかったとしても、飲んで死ぬような薬じゃない。早期の結果だが、ものすごく有望な結果を示していて、この薬ならほとんどすぐにでも使えるようにできる」と、大統領はぶち上げた。しかしその直後、スティーブン・ハーン米食品医薬品局(FDA)長官があわてて登壇。「確かに大統領の言う通り、クロロキンはマラリアやリウマチ治療で承認されてます」とフォローしつつ、「しかしながら、COVID-19への使用では承認されていないので、その有効性と安全性を試験する必要があります」と訂正した。
注:米大統領の戯言は、日本では明らかに薬機法第六十六条(誇大広告等の禁止)違反である。アメリカではFDA長官が課徴金を科すどころか、御乱心の殿を庇ってくれる。
トランプ氏が言及した抗マラリア薬、ナイジェリアで複数の中毒例 AFP 2020年3月22日
ラゴスの保健衛生当局者によると、トランプ氏の発言以前から、インターネット上では新型コロナウイルスの治療薬としてクロロキンの名前が取り沙汰されてい
たが、トランプ氏の発言以降、「クロロキンを買い求めようとする人々が薬局の前で、すさまじい列をつくっている」という。すでに中毒患者2人が入院してお
り、さらに中毒例が増える恐れがある。
「大統領の言うことを信じないで」新型コロナの感染予防にクロロキンを服用、死亡した男性の妻が涙の訴え Business Insider Mar. 25, 2020
新型コロナウイルスから自分の身を守るために「リン酸クロロキン」を摂取して死亡したアリゾナ州の男性の妻は、「大統領が言うことは一切信用」せずに医師を頼るよう訴えた。「わたしたちはテレビ —— あらゆるチャンネル —— で、トランプ大統領やその仲間がこれを安全だと話すのを見ました」とNBC Newsに語ったこの女性も、夫とともにリン酸クロロキンを摂取していて、今も治療を受けている。「トランプ大統領はこれが良い治療薬になると言い続けていました」と女性は話した。
トランプ大統領は、抗マラリア薬のクロロキンが新型コロナウイルスの治療に「非常に有効だ」と繰り返し宣伝し、食品医薬品局(FDA)によって治療薬として承認されていると誤った主張をしていた。今、人々に訴えたいことは何かと聞かれた死亡男性の妻は「何も飲まないで。大統領やその部下の言うことは一切信じず…… 医師に連絡して」とNBC Newsに語った。
トランプ氏期待の抗マラリア薬、米FDAが新型コロナ治療で限定使用を許可 AFP 2020年3月30日(上記の記事が出た5日後だ)
米食品医薬品局(FDA)は、ドナルド・トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療を一変させる「ゲームチェンジャー」だと評した抗マラリア薬2種について、緊急時の限定的な使用を許可した。クロロキンとヒドロキシクロロキンについてトランプ大統領は先週、「神からの贈り物」になり得ると発言していた。ただし専門家らは、効果が実証されていない治療法を過剰評価するのは危険だと警告。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長をはじめ、研究者の多くは、大規模な臨床試験によって小規模な複数の研究結果が立証されるまでは慎重を期すべきだと国民に呼び掛けていた。
新型コロナ治療にトランプ氏が推した薬品、本来の患者が入手できず Bloomberg 2020/4/2
新型コロナウイルス感染(COVID19)の治療薬として有望だと、トランプ米大統領が公に売り込んだ薬品が不足している。マラリアや一部の自己免疫疾患の治療に使われるヒドロキシクロロキンが、米食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで不足薬品のリストに加えられた。関節リウマチやループスなどの患者の中には、新型コロナが流行する前から頼ってきたこの薬品を入手できなくなった人たちがいる。COVID19への使用が認可されるかもしれないと米国外の医師たちが指摘した後、需要が急速に拡大したためだ。
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