COVID-19はCBTネタ
−感染コントロールのために働いている全ての皆さんに感謝して−
2020/4/6 Updated
はじめに:CBT=ツッコミ,そのPhobiaはゴミ箱へ,10年前も今も日本は世界一の優等生 「患者数」という名のデマ, 神風は吹かない,余談:「COVID-19との戦い」の意味
→COVID-19関連パニック障害 (CAPD) の病態と治療(別ページ)
はじめに:CBT=ツッコミ
COVID-19はスペイン風邪になれない:スペインかぜ5000万人死亡の理由:『1918年に大流行したスペインかぜ(インフルエンザ)では世界中で5000万人が死亡したが、犠牲者が主に若い健康な成人だったのはなぜなのか、これまで明らかになっていなかった。 答えは驚くほどシンプルだ。』
CBT(認知行動療法)の基本は認知の歪みにツッコミを入れることである。では肝心の患者は誰か?当然自分である。ここを読んでいるような方々は、「自分には認知の歪みな
ど一切ない」と思い込むほど馬鹿ではない。つまり自分に認知の歪みがあると自覚している。だったら一番手軽な実験台である自分の認知の歪み(ここではCOVID-19 Phobia
)を是正することから始めるがいい。そもそも自分の認知の歪みを正せずして、他者の歪みを正せるわけがないのだから。
世の中のお祭り騒ぎは認知の歪みの氾濫によって生じる。だから、COVID-19 PhobiaはCBT訓練の千載一遇の好機なのだ。この機会を逃さず、まずは自分にCBT適用してみて、その後、家族や知り合いとの話の中で使ってみて、自分のCBT技術を磨くがいい。
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「アビガン」論文取り下げ中国でのコロナ治療国内研究は継続 日本経済新聞2020年4月4日
新型コロナウイルス感染症の治療を目的として、抗インフルエンザ薬の「アビガン」と同成分の薬を実際の患者に投与して有効性を確かめたとする中国の論文
が、3日までに取り下げられたことがわかった。アビガンは富士フイルム富山化学が開発した薬。国内でも新型コロナ向けの治験や臨床研究が進む。現段階では
効果が明確に否定されたものではないとみて国内研究は継続する。
取り下げられたのは、中国の科学誌に掲載された中国の南方科技大学などのチームの論文。アビガンと同成分の薬を投与した患者35人と、抗エイズウイルス
(HIV)薬を投与した患者45人を比較した。ウイルスが検出されなくなるまでの期間が抗HIV薬の平均11日に対し、平均4日となるなどの治療効果が得
られたとしていた。
アビガンの治療効果を確かめた治験の論文はこれまで、この論文の他に論文誌に掲載前の1本を含む計2本が確認されていた。軽症者向けの臨床研究を進める藤田医科大学は「引き続き夏をめどに効果の検証を進める」としている。
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1.そのPhobiaはゴミ箱へ:大丈夫,祟りは起きないから
CBTは常にゼロベースから出発する。そもそも、そのPhobiaは何のためなのだろうか?自分がCOVID-19 Phobiaを維持し続けることによって、「政治家や官僚を思い通りに動かし、「自分が日本を変えられる」という昭和型の幻覚妄想状態に陥っているのだろうか?「こんな日本になっちまって」という台詞は、そんな日本にしちまった、死に損ないの張本人どもに、冥土の土産として持って行ってもらえばいいだけではないか。あなたは「日本を憂う」必要はない。時間の無駄だ。そんなことは暇人どもに任せておけばいい。大丈夫,あなたを苦しめている幻覚妄想をゴミ箱行きにしても,何の祟りも起きない.あなたがやらねばならないことは、他にたくさんあるはずだ。そこに気づければ以下を飛ばして→認知行動療法を使いこなす
2.ツッコミに使える記事・歴史的事実:愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ (Otto von Bismarck)
今起こっているお祭り騒ぎ、終末思想の大廉売は決して新しいものではない。自分の認知の歪みにツッコミを入れる作業は、まず過去のお祭り騒ぎがどういう顛末を辿ってきたかを振り返ることから始まる。もしあなたが下記のお祭り騒ぎをすっかり忘れてしまっているとしたら、それこそ、その「事件」が「日本を憂う人々」によるでっち上げに過ぎなかったことの何よりの証拠である。
●新型コロナ裁判−「スペイン風邪の再来」というでっち上げ−
●人類滅亡教 あるいは『1941』の興行成績が散々だった理由
●菊田英明 新型インフルエンザ感染症で分かったこと-基礎から臨床まで-
●岡部信彦 パンデミック(H1N1)2009発生から1年を経て (Vol. 31 p. 250-251: 2010年9月号)
●Which is the real pandemic - coronavirus or the hysteria that follows? | Euronews Reality Check last updated: 06/02/2020
●米国でコロナウイルスの検査に行ったら35万円。請求額に息も絶え絶え:検査しない方が長生きできるというお話です。
●新型インフルエンザ2009(Pandemic influenza A/H1N1 2009):「スペイン風邪の悪夢が再来」との触れ込みでやってきた「超大型新人」は、後に季節性インフルエンザに格下げになり、名称も「Influenza A/H1N1」という平幕扱いになってしまった。
●COVID-19はスペイン風邪になれない:スペインかぜ5000万人死亡の理由:1918年に大流行したスペインかぜ(インフルエンザ)では世界中で5000万人が死亡したが、犠牲者が主に若い健康な成人だったのはなぜなのか、これまで明らかになっていなかった。 答えは驚くほどシンプルだ。
●BSE(牛海綿状脳症 俗称狂牛病):このお祭りのスローガンは「ゼロリスク探求症候群」。
●北陵クリニック事件:医療をネタにしたでっち上げ裁判の嚆矢となった「事件」。「毒殺魔の看護師」をぐるになってでっち上げた、マスメディア、警察、検察、裁判所が構成する裁判真理教集団にとって、至って厄介な「不都合な真実」。
3.10年前も今も日本は世界でトップクラスの優等生:対人口10万死亡数による比較:
まず,COVID-19での対10万死亡数(データは COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMICより)
上記は対人口10万の死亡数で各国の高齢化率は考慮していない.別の表で,OECD加盟36ヵ国の高齢化率訂正後の対100万死亡数を示してある.一番低いのが日本(5.0)(2020/7/24現在),続いてニュージーランド(同5.0),3位スロバキア(同5.8)となっている.
過去ももちろん優等生だった下記が(当時の)新型インフルエンザ2009の各国の死亡率比較である.御覧の通り,新型インフルエンザにおける対10万死亡数は日本が世界最低である。また、あれほど騒いだ中国でのCOVID-19の流行も、対10万死亡数0.32という数字は、その日本の0.16とドイツの0.31を除くと、世界各国のどの国の新型インフルエンザによる対10万死亡数より低い。COVID-19流行時の中国で、そして現在の日本で繰り広げられているどんちゃん騒ぎは、いずれも肝心の自国のデータを完全に無視して繰り広げられていることがよくわかる。
(厚生労働省 新型インフルエンザの診療に関する研修 2011年11月6日 岡部信彦先生のスライドより.
注:上記表で米国での死亡数は「推計」となっているが、決していい加減なものではない。CDCの発表に基づいている(An Overview of Swine Flu (H1N1 Flu)
The Centers for Disease Control and Prevention (CDC) estimates that swine flu infected nearly 61 million people in the United States and caused 12,469 deaths. アメリカで特に死亡数が高かったこと理由は、以下のように、流行が始まったのがアメリカからだったためのようだ。
The 2009 H1N1 pandemic originated in the United States before spreading around the world. The U.S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC) estimated that from April 12, 2009 to April 10, 2010, there were 60.8 million H1N1 cases, with 274,304 hospitalizations and 12,469 deaths in the U.S. alone. They also estimate that worldwide, 151,700 to 575,400 people died from (H1N1)pdm09 during the first year. Unusually, about 80% of the deaths were in people younger than 65 years of age.(Mark Tery Compare: 2009 H1N1 Pandemic Versus the 2020 Coronavirus Pandemic. Biospace Mar 19, 2020)
また、日本での季節性インフルエンザによる死亡数は、2009年〜2018年の10年間では、161〜3325人、対10万にすると0.12〜2.63となる。(参考:インフルエンザによる死亡数主要国比較)これに対して米国での新型インフルエンザ2009の対10万死亡数は3.96。一方、2020/3/3現在のCOVID-19による対10万死亡数は、中国が0.21、イラン0.08、イタリア0.09、韓国0.05。それに対して日本は6/1280=0.005(ダイヤモンド・プリンセスを入れたとしても、12/1280=0.009)と、先発組の中国よりも二桁少ない (2020/3/3現在)
参考:Mark Tery Compare: 2009 H1N1 Pandemic Versus the 2020 Coronavirus Pandemic. Biospace Mar 19, 2020
「患者数(感染者数)」という名のデマ:患者数(感染者数)はCOVID-19による脅威の指標にはならない。上記で単位人口(10万)当たりの死亡数を用いたのも、COVID-19の脅威の指標として、患者数(感染者数)は全く当てにならないからだ。その理由は以下の通りである。
参考:コロナウイルス、中国は症状のない患者をカウントしていない。科学者でも分かれる賛否 ハーバー・ビジネス・オンライン 2020/03/01
患者数を偽造する−「感染者数」という名のデマ
●「患者」って誰だ?季節性インフルエンザと異なり、無症候の「患者」の多さ、潜伏期間の長さといったCOVID-19特有の因子により、そもそも医療者が共有できる「患者」を定義することが極めて困難、というか不可能である。
●検査の信頼性を台無しにする数々の因子
−(上記の「患者」の定義と関連して)そもそも誰を検査するのか?
−(これも上記の「患者」の定義と関連して)ゴールドスタンダード、カットオフポイントの設定もいい加減(なまま出荷しなければならない)
−検体の採取方法、採取時期についても標準化されていない。
こういうことが分かってない大馬鹿者の見本が元FDA長官のスコット・ゴットリーブ→『元米FDA局長、「新型肺炎、日本は韓国ほど検査していない」(中央日報日本語版2020.02.25)』←そりゃ、おめえ、とにかくやみくもに検査をすれば患者は増えるに決まってるじゃねえか。こんな子供だましで韓国人が喜ぶとでも思っているのか?このタコ!!こいつの頭の中身は自分をFDA長官に任命した大統領と同じレベルだということがよくわかる記事。
4.神風は吹かない:ワクチン・治療薬に対する認知の歪みを是正する
インフルエンザでさえ四苦八苦しているのに,COVID-19に対して、入院や死亡という臨床的に意義のあるエンドポイントで有効性を持つワクチンや治療薬がそんなに簡単にできるわけがない.
●インフルエンザワクチンが死亡率や入院を減少させるというハードなエビデンスはない(Isolated flu vaccination of elderly may not decrease hospitalization or mortality rates, Ann Intern Med 172:445-452)。そんなエビデンスがあたかもあるかのように主張するのは、インフルエンザワクチンの臨床試験の難しさ、特殊性を知らない人間である。
●治療薬もワクチンも、その開発にはとてつもない時間がかかる。今回の流行にワクチンや治療薬が間に合うなんて正にデマそのもの。
「国民を守れるワクチンを確保できたと完全に自信を持てるまで少なくとも1年〜1年半かかる」(アンソニー・フォーシ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長)
●特にワクチンは治療薬よりも承認後に実地臨床で使用された後に新たな副作用が判明するリスクが高い。近年ではデング熱ワクチンの例がある。さらに性急に開発されるインフルエンザワクチンではリスクが一層高まる。中でも有名なのは、1976年の豚インフルエンザワクチンにおけるギラン・バレ−症候群である。いずれにせよ、COVID-19に対する治療薬・ワクチン承認は今回の流行が収束した後になるのだから、無意味な期待は持たないように。
Mark Tery Compare: 2009 H1N1 Pandemic Versus the 2020 Coronavirus Pandemic. Biospace Mar 19, 2020
Despite the launch of several clinical trials of vaccines against
COVID-19, the most optimistic timelines don’t have one commercially
available for at least 12 months and possibly longer. It’s also worth
noting that no one knows if the “seasonality” seen in influenza
outbreaks applies to the coronavirus. Even in influenza, seasonality is
not a well-understood phenomenon.
●史上最大のワクチン事業 〜その挫折と教訓〜1976年、米で新型インフル流行の恐怖 日経新聞 2020年6月15日
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「アビガン」論文取り下げ中国でのコロナ治療国内研究は継続 日本経済新聞2020年4月4日
新型コロナウイルス感染症の治療を目的として、抗インフルエンザ薬の「アビガン」と同成分の薬を実際の患者に投与して有効性を確かめたとする中国の論文が、3日までに取り下げられたことがわかった。アビガンは富士フイルム富山化学が開発した薬。国内でも新型コロナ向けの治験や臨床研究が進む。現段階では効果が明確に否定されたものではないとみて国内研究は継続する。
取り下げられたのは、中国の科学誌に掲載された中国の南方科技大学などのチームの論文。アビガンと同成分の薬を投与した患者35人と、抗エイズウイルス(HIV)薬を投与した患者45人を比較した。ウイルスが検出されなくなるまでの期間が抗HIV薬の平均11日に対し、平均4日となるなどの治療効果が得られたとしていた。
アビガンの治療効果を確かめた治験の論文はこれまで、この論文の他に論文誌に掲載前の1本を含む計2本が確認されていた。
軽症者向けの臨床研究を進める藤田医科大学は「引き続き夏をめどに効果の検証を進める」としている。
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●1976年の豚インフルエンザ:拙速開発のワクチンによる副作用:ギラン・バレー症候群500人以上。うち30人が死亡。
1976年の豚インフル:集団予防接種で副作用による死者多発(WIRED 2009/04/30)
不活化インフルエンザワクチンとギラン・バレー症候群の関連についての文献的考察. 日本公衛誌 2010;57(8):605-611
Sencer DJ, Millar JD. Reflections on the 1976 swine flu vaccination program. Emerg Infect Dis 2006;12(1):29-33.
●タミフルも、タミフルのゾロ(に過ぎないのに値段はタミフルの3.6倍、オセルタミビルカプセル75mg「サワイ」の7.5倍)のゾフルーザにも、有症状期間を5日から4日ないし3日に短縮するだけの効果があるだけで、逆立ちしても死亡率や入院を減少させるエビデンスなど出てこない。(下記の表は各薬剤の添付文書から転載)
有症状期間に対する各薬剤の有効性
投与群 |
例数 |
中央値 (hr [95%CI]) |
投与群 |
例数 |
中央値 (hr [95%CI]) |
タミフル |
301 |
78.2 [72.0-88.0] |
ゾフルーザ |
455 |
53.7 [49.5-58.5] |
プラセボ |
309 |
112.5 [101.5-119.9] |
プラセボ |
230 |
80.2 [72.6-87.1] |
|
|
p<0.0001 |
|
|
p<0.0001 |
つまり、有症状期間を1-2日短縮するだけで、死亡や入院を減少させるだけのエビデンスを備えた薬がないという点では、新型インフルエンザ2009もCOVID-19 も全く同じであり、ここでもCOVID-19 Phobiaを維持する正当性は失われる。なお,このページは,「世界の英知を集めればCOVID-19に対する有望な新薬・ワクチンが3ヶ月から半年以内で開発できる」などという、「筋弛緩剤殺人事件」顔負けのデマを信じるような人は、よもやこのページを読んでなどいないだろうという想定の下に制作されている.
→An Online Intervention for Disabling Worry About the COVID-19 Pandemic NEJM Journal Watch December 15, 2020
(Peter Roy-Byrne, MD reviewing "Wahlund T et al. Brief Online Cognitive Behavioural Intervention for Dysfunctional Worry Related to the COVID-19 Pandemic: A Randomised Controlled Trial Psychother Psychosom 2020 Nov 19")
→アビガン事件
→COVID-19関連パニック障害 (CAPD) の病態と治療
→Peter C. Gøtzsche. Corona: an epidemic of mass panic. Deadly Medicines and Organised Crimes. Published on 21. March 2020.
→コロナのデマに飽きた人へ
→COVID-19ワールドカップ:日本の素晴らしい介護・医療チームを応援しよう!!
→表紙へ