研究成果
カニクイザルを用いたSSPEモデル動物の開発
国立感染症研究所動物管理室:網 康至
麻疹ウイルスの脳内侵入経路を明らかにする目的で、麻疹ウイルスを経鼻接種後、ウイルス血症の極期である感染7日後に、末梢血より単核細胞を分離し、同一個体の視床に接種したカニクイザル2頭(no.4564,4565)について、脳内における麻疹ウイルスの持続感染について検討を行っている。感染後約250週においても、そのうちの1頭(no.4565)においては、高力価の血清中麻疹ウイルス中和抗体(図1)、脳脊髄液中の麻疹ウイルス中和抗体が持続して検出され(図2)、中枢神経内に麻疹ウイルスが持続感染していることを示唆するものと考えられる。しかし、麻疹ウイルス特異的刺激における細胞内γIFNの産生T細胞反応は減少し、有意な産生は認められなくなった。特異的細胞性免疫反応の消失は、報告されているSSPE患者の免疫学的状態と類似し、発症の可能性を示唆する。