研究成果
SSPE(亜急性硬化性全脳炎)の発病リスクとしての乳児期麻疹罹患(高須俊明)
- SSPEは、麻疹に罹って治癒した小児の脳内に消去されずに残り、持続感染状態に入った麻疹ウイルスが、数年を経た後に起こしてくる脳炎であり、いったん発病すると致死的であり、この脳炎を治す方法は現在存在しない。
- SSPEの発生を予防するには麻疹に罹らないようにすること、乳児期に麻疹に罹らないようにすることが重要である。
- ただし、乳児期麻疹のSSPE発生リスクとしての重要性(症例‐対照研究におけるオッズ比の値の大きさ)は報告によってかなり大きく異なっている(下表参照)。我々が得たパプアニューギニア国におけるオッズ比値は非常に高い。(下表で、AM1y:1歳未満で罹った麻疹、AM<2y:2歳未満で罹った麻疹)
- 我々は今回パプアニューギニアのオッズ比を2変量解析で検討したが、AM<2yの有意性を損なう交絡因子となったものはなく、各交絡因子の影響を除外した後のAM<2yの調整オッズ比は19.70から220の範囲にあったので、パプアニューギニアにおけるAM<2yは独立した強力なSSPEリスクと考えられた。他の報告では交絡因子の影響は検討されていない。
(厚労省プリオン病及び遅発性ウイルス感染調査研究班、班長:水澤英洋、研究協力者:高須俊明、共同研究者:三木健司、東郷将希、水谷智彦、田村正人、田宮崇、中村好一)