研究成果
亜急性硬化性全脳炎に対するリバビリン療法に関する研究(野村恵子)
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)に対するリバビリン療法について、全国の実施施設に対しアンケート調査を行い18症例について回答を得た。患者家族の同意が得られた場合のみ主治医が回答し調査票からは個人が特定されない様にした。
治療開始前には、患者家族への十分な説明の上、インフォームドコンセントを得ること、及び各施設の倫理委員会の承認が必須となる。またリバビリンは安全有効域が狭いため、治療中、髄液中濃度モニタリングが重要となる。
1歳未満で麻疹に罹患している例では予後が悪く、また早期に診断された例でも急速に進行し増悪する例があった。臨床症状スコアが比較的低い内にリバビリン治療を開始できた群では、調査時の臨床症状スコアが比較的低い傾向にあり、治療効果を認めている。従って早期診断・早期治療が望ましいと考えられる。一方、初発症状でSSPEと診断がつく例は少ない。小児科医の啓蒙により、早期診断に結びつく様な工夫が必要と考えられる。
本治療中に見られた有害事象の内、血圧低下と頻回の穿刺が誘因と考えられる髄膜炎には注意が必要である。それ以外はいずれも重篤ではなく、治療中止や休薬により回復を見ている。