研究成果
Fyn欠損はプリオン病の神経変性に 影響しない (村本 環)
- Fynノックアウトマウスと野生型マウスにプリオンの接種実験を行った。
- 両マウスはいずれも約140日の潜伏期間の後に発症した。
- 両マウスの大脳組織に同様の海綿状変性が認められた(下図)。
研究分担者による「GPIアンカー欠損マウスにおけるプリオン病の研究」(2004年度報告)では、GPIアンカーがプリオン病の神経変性形成に重要な役割を果たしている可能性を示唆した。チロシンキナーゼFynは、PrPから発せられるシグナルを、GPIアンカー構造を介して細胞内に伝達すると考えられている分子である。研究分担者は、「プリオン病においてPrPから発せられる異常シグナルをFynが細胞内に伝達することが神経変性形成に重要な役割を果たしている」との仮説を立て、これを検証するために、Fyn欠損マウスにプリオンを接種し、神経変性が生じるか否かを検討した。その結果、Fyn欠損マウスでは、野生型マウスと同様の病変が生じることが確認された。