✅ 対象となる方
以下の(1)〜(3)のすべてを満たす方が対象です。
- ・同意取得時の年齢が18歳以上のカップル
- ・遺伝カウンセリングの中で検査の意義について十分な情報提供を受け、理解された後にお二人から同意が得られた場合
- ①胎児超音波検査で一つ以上の形態異常を認める場合※染色体疾患の可能性が明らかに増加し、かつ胎児治療・出生後の早期治療・分娩施設の決定に関わると判断される超音波所見
- ②カップルのいずれかに染色体均衡型転座などの染色体構造異常が確認されている場合
- ③PGT-AまたはPGT-SRでモザイク胚を移植して妊娠が成立した場合
- ④染色体疾患のお子さんの出産既往(12週以降の死産を含む)がある場合
①〜④それぞれについて、くわしい説明はこちら ↓
🚫 対象とならない方
以下のいずれかに当てはまる場合は、本研究の対象外となります。
- 検査前後の遺伝カウンセリングを受けない場合
- 品胎(三つ子)以上の妊娠の場合
- 妊婦さんご自身が悪性腫瘍と診断され、完治していない場合
- 妊婦さんご自身が染色体の重複または欠失を有していることが事前に判明している場合
- 妊婦さんご自身が臓器移植を受けている場合
対象基準を満たし、本検査を希望される方へは、より詳細な内容を遺伝カウンセリングを通してご説明します。ご不明な点は受診される医療機関にご相談ください。
①〜④のくわしい説明
それぞれの項目をクリックすると、どのような場合が当てはまるのか、どのくらいの割合で染色体の変化が見つかるのかなど、くわしい内容をご覧いただけます。
①胎児超音波検査で一つ以上の形態異常を認める場合
妊婦健診や胎児超音波検査で、赤ちゃんの体のつくりに通常とは異なる所見(形態異常)が見つかることがあります。所見の種類によって幅がありますが、こうした場合に染色体の変化が見つかる割合はおおよそ10〜20%程度と報告されており、複数の部位に所見がある場合はより高くなります。逆に言えば、多くの場合は染色体に変化を認めません。
この研究の対象となるのは、そうした所見のうち、胎児治療の必要性、出生後の早期治療の準備、分娩する施設の決定に関わると担当医が判断した場合です。染色体の情報を妊娠中に知ることで、出生後の医療体制をあらかじめ整えたり、必要な設備のある施設での分娩を計画したりすることにつながります。
ただし、形態異常に関連する染色体の変化には、本検査では検出できない小さな欠失・重複も多く含まれます。本検査で異常を認めなくても、確定的検査(羊水・絨毛検査)や、そこで行うより詳しい解析をお勧めする場合があります。どの検査が適しているかは、遺伝カウンセリングで所見の内容に応じてご相談します。
②カップルのいずれかに染色体均衡型転座などの染色体構造異常が確認されている場合
均衡型転座や逆位は、染色体の一部が入れ替わったり向きが変わったりしている状態ですが、染色体全体の量に過不足がないため、ご本人の健康に影響しないことがほとんどです。ご自身の検査や、これまでの妊娠の経過をきっかけに判明することが多くあります。
一方で、卵子や精子がつくられる過程で染色体の一部に過不足が生じ、赤ちゃんに部分的な欠失(足りない部分)や重複(多い部分)として伝わる可能性があります。その多くは妊娠のごく初期に自然に流産となりますが、妊娠が続いて不均衡のある赤ちゃんが生まれる確率は、およそ数%から20%程度と報告されています。この幅は非常に大きく、転座や逆位の種類、どの染色体のどの位置で入れ替わっているか、保因されているのがどちらか、これまでのご家族の経過によって変わります。たとえば、以前に不均衡のあるお子さんが生まれている場合は高め(20%前後)、繰り返す流産をきっかけに判明した場合は低め(数%程度)になる傾向があります。ご自身の場合の見通しは、遺伝カウンセリングで核型の内容を確認しながらご説明します。
一般的なNIPTは21番・18番・13番染色体の数の変化を調べるもので、こうした部分的な過不足は対象外です。本検査は全染色体の数の変化に加えて、G分染法と同程度の大きさの欠失・重複も調べるため、選択肢の一つになります。
ただし、入れ替わっている部分が小さい場合には、生じうる過不足も小さく、本検査では検出できないことがあります。そのため、ご夫婦の染色体検査の結果報告書を受診の際にお持ちください。切断点の情報から、本検査で確認できる範囲かどうかを事前に検討し、確定的検査(羊水・絨毛検査)を含めてどの方法が適しているかを一緒に考えます。
③PGT-AまたはPGT-SRでモザイク胚を移植して妊娠が成立した場合
PGT(着床前検査)は、胚の一部の細胞を採取して染色体を調べる検査です。「モザイク」は、その中に染色体の変化がある細胞とない細胞が混ざっていると判定された状態を指します。
モザイク胚の種類によって、妊娠の経過は異なります。1,000例のモザイク胚移植を集計した報告では、出産に至った割合は次のように報告されています。
| 移植した胚 | 出産に至った割合 |
|---|---|
| 染色体の変化がない胚(参考) | 約52% |
| 染色体の一部分だけのモザイク | 約43% |
| 染色体まるごとのモザイク(低頻度・50%未満) | 約36% |
| 染色体まるごとのモザイク(高頻度・50%以上) | 約19% |
つまり、変化のある細胞の割合が低いほうが、また、染色体がまるごと変化しているよりも一部分だけの変化のほうが、妊娠が続いて出産に至る割合が高い傾向があります(なお、一部分だけのモザイクでは、細胞の割合による明らかな差は報告されていません)。流産の多くは心拍が確認される前の早い時期に起こることも知られており、妊娠が順調に続いている時点で、経過としては良い方向に進んでいると考えられます。
ただし、これらは「妊娠が続いて出産に至るか」を示す数字であって、「生まれた赤ちゃんに染色体の変化があるかどうか」を示すものではありません。調べたのは赤ちゃん自身ではなく胚の一部の細胞であるため、実際の赤ちゃんの染色体がどうなっているかは、妊娠してから改めて確認する必要があります。モザイク胚から生まれたお子さんの多くは染色体に変化を認めませんが、確認を希望される方には羊水検査の選択肢が提示されます。
超音波検査で所見があった場合は、羊水検査をお勧めします。絨毛検査は胎盤の細胞を調べる検査で、PGTで調べたのと同じ由来の細胞にあたるため、この場合は赤ちゃん自身の細胞を調べる羊水検査が適しています。所見がない場合に、本検査を受けるか、検査をせずに妊娠を継続するかは、ご夫婦のお考えで選んでいただけます(所見がない場合でも、羊水検査を選ぶことはできます)。
本検査は採血のみで全染色体を幅広く調べられますが、モザイクのタイプによっては検出できないことがあります。変化を持つ細胞の割合が低い場合や、変化している範囲が小さい場合は、採血で得られるDNAの中では変化がごくわずかにしか現れず、検出できません。その場合は確定診断検査をお勧めすることがあります。
受診の際は、移植した胚のPGTの結果がわかる報告書を必ずお持ちください。何番染色体の、まるごとか一部分か、モザイクの割合はどの程度か、という情報がわかると、本検査で確認できる範囲かどうかを事前に検討できます。
④染色体疾患のお子さんの出産既往(12週以降の死産を含む)がある場合
これまでの妊娠で、染色体疾患のあるお子さんを出産された方(妊娠12週以降の死産を含みます)が対象です。
次の妊娠で繰り返す確率は、前のお子さんの染色体の変化がどのタイプだったかによって大きく異なります。
最も多いのは、卵子や精子ができる過程で偶然に染色体の数が変化する場合(21トリソミーなど)です。この場合、次の妊娠で繰り返す確率は、ご年齢に応じたもともとの確率に、わずかな上乗せ(0.5%程度、若い方ほどやや大きい)が加わる程度とされています。従来は「約1%」と説明されてきた数字です。決して高くはありませんが、同じ経験をされたご夫婦にとって不安が残ることは自然なことです。
一方、前のお子さんの染色体の変化が転座などの構造の変化によるものだった場合には、ご夫婦のいずれかに均衡型の構造異常(②をご覧ください)が隠れていることがあります。転座型のダウン症では約3分の1がこれにあたり、その場合の繰り返す確率は母親が保因されている場合で10〜15%、父親の場合で約3%と高くなります。まだご夫婦の染色体検査を受けておられない場合は、その検討からお勧めすることがあります。
このほか、ご夫婦の血液検査では変化が見つからなくても、卵巣や精巣の細胞の一部に変化がある場合(性腺モザイク)があり、繰り返す原因となることがあります。同じ変化を2回以上経験されている場合には、より詳しい検査を検討します。
いずれの場合も、前のお子さんの染色体検査の結果報告書があると、どのタイプにあたるのか、今回どの点に注目すべきかがはっきりします。受診の際にお持ちいただくか、紹介状にご同封いただくようご依頼ください。