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(2020年5月11日更新)
ガンマナイフが日本に導入され30年が経過し、聴神経腫瘍の治療オプションのひとつとして定位放射線治療の有用性が確立されました。治療法を選択する上で、大きさ、年齢および有効聴力の有無、患者の嗜好などが重要な因子となります。開頭術では術者の技量、定位放射線治療では治療計画、照射線量が治療結果に影響するため、術者により選択基準が異なることが考えられます。本ディベートセッションでは、治療法の選択について意見が分かれ得る症例をディスカッションすることで、現在の開頭術と定位放射線治療の両者の立場で情報を共有し、未来へとつなげたいと考えています。
これまで、塞栓術後の定位放射線治療成績は不良と考えられてきました。しかし血管内治療の進歩、Onyxなど新しい塞栓物質の登場によりAVMの治療戦略が変化しています。本ディベートセッションを通して、実際の症例を提示しながら、AVM治療での定位放射線治療と塞栓術の併用、定位放射線の単独治療、さらに開頭術の優劣など、治療方法の選択について現時点におけるさまざまな治療アプローチがあることを共有したいと考えています。特に塞栓術の併用の可否、併用する場合のタイミングや塞栓物質の選択などを中心に症例ごとに検討したいと思います。
脳転移に対する治療として定位放射線治療が大きな役割を担っていますが、適応とする病巣の大きさや数に関しては施設間で差があるのも事実です。また、最近では従来の定位放射線治療に加え、ICONによるガンマナイフの分割照射や、リニアックを用いた single isocenter/multi-target照射の出現など、定位放射線治療の手段も多様化してきています。本ディベートセッションでは実際の症例に対する治療法を話し合う中で、様々な治療戦略があることを理解し、明日からの臨床の糧としたいと考えています。