第38回日本外科感染症学会総会学術集会

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ご挨拶

第38回日本外科感染症学会総会学術集会
会長 森兼 啓太
(山形大学医学部附属病院検査部・感染制御部 部長)

このたび、第38回日本外科感染症学会総会学術集会の会長を拝命しました。2025年11月7日・8日の両日、山形において主催させて頂きます。伝統ある本学会の会長を拝命することは大変名誉なことであり、関係各位に厚くお礼申し上げます。

私は現在、山形大学医学部附属病院において検査部と感染制御部の部長を務め、外科臨床には従事していませんが、1989年に東京大学を卒業して第一外科の門を叩いて以来、10年以上にわたり外科臨床に従事してきました。様々な周術期合併症を経験し、日々それらに向かい合う中、その予防に関心を持つようになり、とりわけ周術期感染症の予防に高い関心を持つようになりました。

外科感染症は外科的侵襲に起因する側面が大きく、疾患の治療や制御において外科医療が必要である以上、外科感染症もある程度避けられない合併症であるとも言えます。古くは抗菌薬がまだ発見されていなかった19世紀以前において、外科感染症の制御は非常に困難であったことは想像に難くありません。

20世紀に入り、フレミングによるペニシリンの発見やリスター・ゼンメルワイスらによる消毒法や手指衛生の発明・発見とその臨床応用により、外科感染症は次第に制御されていきました。その結果、私が外科医になった1990年頃は外科医の感染症に対する関心がかなり薄れていた時期であったと思われます。そのしっぺ返しとも言えるMRSA腸炎などの外科感染症は、我々に外科感染症が克服されたわけではないこと、その理解と防止および適切な治療が欠かせないことを教えてくれました。

外科感染症の良好な制御には、その病態生理に関する理解と、医療現場で手術医療に関わる様々な職種の協力が不可欠です。そこで今回のテーマを「みんなで取り組む外科感染症」としました。良質な手術医療の実践と外科感染症の制御には外科医の技術および知識が重要であることは言を俟ちません。しかし、それだけでは到底なしえないことも事実であり、術前から術後に至る様々な場面で多様な職種が協力することで、はじめて実現可能です。

私が外科感染症学を主な専門領域とするに至ったきっかけになった手術部位感染サーベイランスも、日本では当初外科医が主に実施していましたが、現在は感染管理認定看護師や感染制御実践看護師が実施する場合が多くなっています。これらの資格を有する看護師が、様々な外科感染症対策を医療機関内で提案し、同じく看護師が術前の周術期感染症予防に関する様々な処置・ケア等を行っています。手術部では看護師が患者の側で感染防止の役目を担い、滅菌技士が手術器具の感染防止に責任を持って取り組んでいます。微生物検査技師、呼吸療法士、栄養管理士など様々な職種が、周術期感染症の診断や治療、予防に関わっています。

本総会・学術集会では、今後外科感染症の制御がますます進むように、医療における様々な職種の連携をテーマに活発な議論が展開されることを願っています。

会場となる山形ですが、本学会の学術集会は初めて開催されます。東京から新幹線で3時間弱の山形は、自然が豊かで食べ物も美味しく、皆様の日頃の疲れを癒やす温泉も多く所在しています。11月上旬は紅葉の時期にあたり、市街地を囲む山々が色づきはじめる頃です。蔵王や山寺などの景勝地も近く、気分転換にお出かけになるのも良いでしょう。最近、東京をはじめ各地で外人訪客が増加し、ホテル代も高騰していますが、山形は比較的その影響をまだ受けてない状況です。会場はJR山形駅に隣接した利便性の高いロケーションで、周辺にはホテルも多く所在します。

皆様を秋の山形でお待ち申し上げております。

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