本学会について

日本移植・再生医療看護学会 第6期 理事長ご挨拶

 第6期 日本移植・再生医療看護学会理事長を拝命しました添田英津子(そえだ えつこ)です。この学会は、先端医療である移植医療と再生医療の両方をテーマにした、国内外を見渡しても珍しい、唯一無二の学会です。今回、かじ取り役を引き受けるにあたり、決意を新たに、学会の発展のために尽くす所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 移植医療が、他の治療と異なる点は、移植を受けるには提供者から臓器や組織をいただかなければならないということです。それは、移植とは、人と人との関係で成り立つという必然的に感情的な治療であることを意味します。患者にとって、移植を受けるか受けないかという決断は、自らの「生命」について考えるだけではなく、人と人との「きずな」について考えることにもなります。患者は、いつ訪れるかわからない死を意識しながら、孤独に悩むのです。

 一方で、提供者とその家族がいます。病気や突然の事故で脳死状態になり、臓器を提供する脳死ドナーや、家族のために臓器あるいは臓器の一部や組織を提供する生体ドナー、また、自らも移植を受けつつ、ほかのだれかへ臓器を提供するドミノ移植の生体ドナーもいます。愛するものの死や病気という最悪の状況のなかで、「誰かの喜ぶ顔が見たい」というまったくの善意によって提供が成り立ちます。その方々の勇気から、私たちは「生命」の尊さと「きずな」の大切さを、日々、教えていただいています。

 この学会は、2005年10月に日本移植・再生医療看護研究会として京都で創立し、その翌年には、日本移植・再生医療看護学会として活動を始めました。2025年には、創立20年を迎えます。移植医療と再生医療という先端医療の発展は、ここ20年で目覚ましいものがありました。しかも、COVID-19によるパンデミックや地震・災害・戦争など、世の中は劇的に変貌しつづけている中、移植医療と再生医療の現場では、実践・研究・教育を止めることなく、続けて参りました。それは、学会会員の皆様が同じ志を持って、患者・家族の「生命」と「きずな」を大切にし、学術的成果を積み重ねてきた地道な努力の賜物だと思います。

 今後も、移植医療と再生医療の現場での活動の質をさらに向上していくことが、社会から求められていると考えます。実践・研究・教育を通じて、移植医療と再生医療に関する健康と福祉に貢献する役割を、担って参りたいと存じます。皆様のご協力のもとに、少しずつでも着実に前進していけるよう努めて参ります。なにとぞ、本学会へのご参加とご理解、ご支援をお願い申し上げます。

日本移植・再生医療看護学会
理事長 添田 英津子
(慶應義塾大学看護医療学部)

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