新着論文紹介
Prognostic analysis of smoldering ATLL with skin eruptions based on genomic aberrations
ゲノム異常に基づく皮疹を伴うくすぶり型ATLLの予後解析
ジャーナル:Journal of Dermatological Science
著者:Kosuke Mochida, Shingo Nakahata,Yutaka Suzuki,et al.
責任著者:宮崎大学医学部 感覚運動医学講座 皮膚科学分野
https://doi.org/10.1016/j.jdermsci.2023.02.001
要約・インパクト
本研究は、皮疹を伴うくすぶり型成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の予後に関するゲノム解析研究である。
(研究の概要)
皮疹を伴うくすぶり型ATLL患者27例の皮膚生検標本に対し、280遺伝子の標的シークエンスを実施した。その結果、247のゲノム変異(108遺伝子)が同定され、1症例あたり平均9.2変異、ドライバー遺伝子は平均3.2変異であった。パスウェイ解析により、HTLV-1感染関連経路の活性化が確認された。
(主要な発見)
多変量解析の結果、70歳以上の年齢とSTAT3変異を予後不良因子として、TBL1XR1変異を無増悪生存期間の危険因子として同定した。特にSTAT3変異は、皮疹を伴うくすぶり型ATLLにおける重要な予後予測マーカーとして位置づけられた。
(臨床的インパクト)
本研究は、従来の臨床分類だけでは評価困難だったくすぶり型ATLLの予後を、ゲノム変異に基づいて層別化できる可能性を示した。STAT3変異陽性患者の早期同定により、より適切な治療戦略の選択や厳重な経過観察が可能となり、個別化医療の実現に貢献することが期待される。ただし、症例数が限られているため、今後のさらなる大規模研究が必要である。












