新着論文紹介
Genetic profile of adult T-cell leukemia/lymphoma in Okinawa: Association with prognosis, ethnicity, and HTLV-1 strains.
沖縄県におけるATLLの遺伝子異常プロファイルと予後、地域性、HTLV-1サブグループとの関連
ジャーナル:Cancer Science
著者:Sakihama S, Morichika K, Saito R, et al.
責任著者:琉球大学 医学部 保健学科 血液免疫検査学分野 (崎浜秀悟)
名古屋大学大学院医学系研究科 高次医用科学 臓器病態診断学 (加留部謙之輔)
https://doi.org/10.1111/cas.14806
要約・インパクト
島嶼地域である沖縄県の住民は、日本本土の住民と異なる遺伝的背景を持つことが知られています。私達のグループは以前、沖縄県ではtaxA型のHTLV-1が日本本土と比較して高頻度であることを報告しました (Leuk Res, 2017)。そこで本研究では沖縄県の地域性、特にHTLV-1 tax遺伝子型に焦点を当て、成人T細胞白血病・リンパ腫 (ATLL) の遺伝子異常を解析しました。沖縄県におけるaggressive ATLL患者89例を対象に、51遺伝子を標的としたターゲットシーケンシング、およびSNPアレイを実施しました。遺伝子変異およびコピー数異常のプロファイルは過去の報告と概ね一致する一方で、GATA3およびRHOAにおける変異はtaxA型HTLV-1を有する患者に有意に偏って検出されました。また、遺伝子変異およびコピー数異常を組み合わせた解析により、TP53、CDKN2A、PRDM1、TBL1XR1およびITGB1には高頻度に両アレル異常が起こっていることが確認されました。生存解析を行ったところ、過去の報告と一致してPRKCB変異と予後不良との関連が確認されるとともに、PRDM1両アレル異常と予後不良との関連が示唆され、変異およびコピー数異常の両方を解析する重要性が示されました。