新着論文紹介
Prognosis of patients with adult T-cell leukemia/lymphoma in Japan: A nationwide hospital-based study
日本における成人T細胞白血病リンパ腫患者の予後:全国調査
ジャーナル:Cancer Science.
著者:Yoshitaka Imaizumi, Masako Iwanaga, Kisato Nosaka, et al.
筆頭著者の所属:長崎大学病院血液内科
https://doi.org/10.1111/cas.14658
要約・インパクト
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、4つの病型(急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型)に分類されます。この病型分類は、1980年代に日本で行われた全国調査の結果に基づいて報告されました(Br J Haematol, 1991)。我々は、同様の方法を用いて全国調査を実施し、2010年から2011年に診断されたATL患者について疫学的特徴を報告しました(Cancer Science, 2017)。今回、その研究の登録患者を対象に追跡調査を行い、治療法と生存期間を検討しました。評価可能であった770人のうち、391人(50.8%)が急性型、192人(24.9%)がリンパ腫型、106人(13.8%)が慢性型、81人(10.5%)がくすぶり型でした。急性型とリンパ腫型の初回治療法は、VCAP-AMP-VECP療法(及び類似の治療)が、それぞれ38. 5%と41.7%、CHOP療法(及び類似の治療)が、それぞれ14.6%と13.7%でした。同種造血幹細胞移植は、急性型の15.9%とリンパ腫型の10.4%で実施されていました。急性型、リンパ腫型、慢性型(予後不良因子あり)、慢性型(予後不良因子なし)、くすぶり型の4年生存率(生存期間中央値)は、それぞれ16.8%(252日)、19.6%(305日)、26.6%(572日)、62.1%(1,937日)、59.8%(1,851日)でした。急性型とリンパ腫型の4年生存率は過去の報告と比較すると改善を認めましたがともに20%に満たず、生存期間中央値も1年未満でした。ATLの生存期間は以前と比較すると改善を認めるものの、依然として不良なことが明らかになりました。