新着論文紹介
Tackling HTLV-1 infection in ophthalmology: a nationwide survey of ophthalmic care in an endemic country, Japan
眼科領域におけるHTLV-1感染症への取り組み:HTLV-1が蔓延する日本における眼科医療の全国調査
ジャーナル:British Journal of Ophthalmology
著者:Kamoi K, Okayama A, Izumo S, et al.
責任著者:鴨居功樹(東京科学大学 眼科)
https://bjo.bmj.com/content/104/12/1647
インパクト
HTLV-1感染とぶどう膜炎の関係性は1990年代に確立され、その後、医療施設でのHTLV-1ぶどう膜炎に関する認識が浸透してきました。本調査では、日本の大学病院や主要な眼科施設にアンケートを実施し、115施設中69施設(回答率60%)から回答を得ました。
調査結果によると、全国で86.8%の施設がぶどう膜炎の診断時にHTLV-1抗体検査を行い、58.3%が定期的に実施していることが分かりました。しかし、抗体検査の実施割合が比較的低い地域もあり、例えば中部地域で77.8%、近畿地域で66.7%にとどまることが明らかになりました。また、67.6%の施設がHAU患者の診療経験を持ち、85.5%の施設ではHAU患者数が減少していないと回答しました。さらに、免疫抑制剤や生物製剤の使用に伴うリスク、HTLV-1抗体測定の必要性に関する情報が不十分であることが課題として挙げられました。
本研究の結果から、教育活動を通じて日本の眼科医にHTLV-1ぶどう膜炎への対応が広く普及している一方で、いまだHTLV-1ぶどう膜炎が見逃されている可能性も指摘されました。