新着論文紹介

Inhibition of PRMT5/MEP50 Arginine Methyltransferase Activity Causes Cancer Vulnerability in NDRG2lowAdult T-Cell Leukemia/Lymphoma.

PRMT5/MEP50アルギニンメチルトランスフェラーゼ活性阻害は成人T細胞白血病/リンパ腫において脆弱性を引き起こす

ジャーナル:International Journal of Molecular Sciences
著者:Ichikawa T, Suekane A, Nakahata S, et al.
責任著者:埼玉医科大学 医学部 微生物学
https://doi.org/10.3390/ijms25052842

要約・インパクト

成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)において、がん抑制遺伝子NDRG2発現低下が情報伝達系分子の異常なリン酸化を惹起し、発症に関与していることを明らかにした。さらに、NDRG2発現低下に伴いATLでPRMT5のセリン335の高リン酸化型が核から細胞質への移行していることを示した。この細胞質PRMT5がHSP90Aをアルギニンメチル化しシャペロン活性を増強させ、がん促進クライアントタンパク質群の発現や活性を促進し、腫瘍形成に寄与していた。そこで、PRMT5活性阻害がATLで薬剤標的となるかどうかを検証した。 PRMT5および結合パートナーであるMEP50の発現をノックダウンすると、ATL細胞でAKTおよびNEMOのタンパク質分解を介して細胞増殖が著しく抑制されたのに対し、NDRG2発現細胞ではクライアントタンパク質の安定性は損なわれなかった。PRMT5阻害剤を用いた検討では、HSP90アルギニンメチル化の阻害とクライアントタンパク質分解を介して、NDRG2発現細胞よりもATLにおいてより薬剤に対する感受性が高かった。PRMT5/MEP50とNDRG2発現低下の関係は、新たな脆弱性と治療標的となる可能性を示唆している。

新着論文紹介一覧に戻る

Page Top